2008年12月31日水曜日

2008年 締めくくり

今年は暗いニュースばかりで終わろうとしている。 
1.失業率は6.5%で1994年以来の最高、これかまだ増えつづけ7.5%まで行くと予想されている。
2.住宅価格の下落率は前年比13.2%で(主要20都市では18%)1939年の大恐慌以来の記録である。
3.12月の車の販売台数はGM,Toyota,Fordとも30%以上落ち込みクライスラーにいたっては53%も落ちている。 
3.Consumers Confidenceは史上最低の38まで落ち込んだ。

今まで何度も不況-深刻な経済の落ち込み-はあったけれども今回のようにすべての経済社会でしかも世界的規模で崩壊を始めたのは初めてのことだ。 

原因はなにか? 失業した人や資産を失ってしまった人でなくとも犯人探しをしたくなる。

今回の経済危機は米国のサブプライムローン破綻が引金であった。 この金融事件の仕掛けと仕組みは充分論議されているにもかかわらずサブプライムローンの関係者は誰もとがめられていない。 理由は国内住宅金融システムに乗っかって顧客にリスクのある融資を実行しただけだから。 その後リスクの高い住宅金融債権を(ババであることを知っていたとしても)大手金融機関に転売したことも通常の取引の範囲内である。
“ババ”は大手金融機関の手に移ったが大手金融機関は他の金融商品に組み入れて世界中の金融機関に売りさばいた。 この商品はMoodysやStandard & Poorsなどの格付け会社が信用度の高い格付けをしていたから世界中の金融機関は利回りの良いこの商品に飛びついたわけだ。 海外の金融機関は別としてアメリカ国内の当事者はいずれも高いリスクは承知していたはずである。

私は当初サブプライムローンの不良債権総額が大きいからといってなぜ世界中の巨大金融機関が経営危機に落ち込むほどのインパクトになるのか理解できなかった。 おそらく投資銀行や大銀行のトップや政府関係者でさえこのような状況になるとは誰も思っていなかっただろう。

私は後半になってこの金融危機の原因は膨張した“レバレッジ”取引にあったとの結論に達した。 
レバレッジを効かせるとは、「テコの原理を効かせる」ということ。例えば、株の取引の場合には信用取引を行えば自己資金の3倍程度まで株を買うことができる。
この場合は当然ながらリスクも3倍になる。個人の場合は銀行・証券会社を通じて取引を行うので損の場合は制度的にストップかかかる。 銀行には巨大な資金がある。しかも誰の規制も受けずに自己取引が出来るから10倍も20倍ものレバレッジを効かせることができるのだ。 成功すれば巨大な収益が見込まれる。 結果として巨額のボーナスが待っている。 これがいわゆる成功報酬型給与制度であり金融機関のエグゼクティブやトレーダーをクレージーにする原因だ。 しかも一度成功して普通の人が一生かかって獲得するボーナス金額を一期で手にするわけだから一度やったら止められない。 失敗しても自分の金ではないので自分の懐は痛まない。 
取引金額も桁違いなら手にする報酬も桁違い。 彼らにとってはいくら金額が張ろうとも個人的にはリスクフリーなのである。 毎年ウォールストリートのボーナスの平均が00万ドルと伝えられ世間の羨望の的になっていた。 しかしエグゼクティブが0000万ドル、20代30代のトレーダーでさえ50万ドル-100万ドルのボーナスが支給されるとすればそれだけの収益がなければならない。 今年の原油マーケットのように一生に一度の大相場に出くわしたときならいざ知らず毎年莫大な収益を上げるための打出の小槌があろうはずがない。 いや打出の小槌はあった。 それがレバレッジ取引である。 時には打出の小槌を効かせるために人為的な情報操作したかもしれない。 公私にわたり金銭感覚は麻痺し取引は雪だるま式に拡大する。 “Go for Break” 行き着くところまで行かないと止まらない。
ヘッジファンドのBernard Madoff(元Nasdaq会長)が$50Billion(4.5兆円)の赤字を出して詐欺容疑で逮捕された。多くの億万長者、有名人、金融機関が巨額の被害を被った。 今回の金融危機の象徴的な事件である。

成功報酬型の報酬制度が企業のリスク管理と株主・従業員・社会一般への責任を忘れ短期の収益確保のために暴走する原因になったと思っている。 ウオールストリートでは銀行、証券,保険を問わず全社が同じパターンに落ちってしまった。
企業が取引先だけでなく直接的にも間接的にも社会に大きくかかわっていることを知らされた年でもあった。 
あらためて企業の社会的責任を考えなければならない時期だと思う。

2008年12月29日月曜日

不況と差押え救済策ー超低金利をどう家計に生かすか

未曾有の金融危機、大不況に対処するためアメリカは超低金利政策(0.0-0.5%)を取らざるをなくなった。 プライムレートは3.25%に下がりそれに対応してモートゲージ・ローンレート(住宅ローン・レート)も5%前後まで下がっている。 
金融危機の発端であるサブプライムローンは初期の一定期間に超低金利で貸付けその後プライムレートにプレミアムを上乗せしスライドスライドする仕組だからプライムレートが上がれば数年後には毎月のローン返済額がダブルになってもおかしくない。 将来のリスクに目をつむりとりあえず夢のマイホームを手に入れた人々にとっては数年経ったら支払不能・銀行差押という悪夢が待っていた。 
このシステム(変動金利住宅ローン)自体は目新しいものではなくマーケットが正常であった時から存在していた。 
一般的にローンの種類はFixed Rate(30年、15年) Adjustable Rate (10/1, 7/1 ….) Interest Only (10/1, 7/1….) 3種類ありPoint(先払い金利) (0,1,2)によってレートが異なる。 (Chase Mortgageの例をとれば33種類のローンがある)
アメリカは労働市場が柔軟で転職は常識である。(したがって転職により転居する場合が多い)また齢が若ければ5年で所得が2倍になることは良くあることだ。
また結婚して子供がいなければ2LDKで十分だろうが子供が出来れば大きな家に引っ越すのは当然の流れである。 したがって自分の人生設計にそって家の大きさやロケーションを変更してゆくのが一般的である。 自分の年齢、家族構成、将来の所得Upの見通しによって最も適切なローンを選択できる。 多様なローンの選択が可能なことは消費者にとっては良いことだが目先の支払に惑わされず支払いの仕組みと自分の支払い能力をよく理解してローンを選択しなければならない。

変動金利の返済方法を選んだために金利が大幅に上がって支払いに苦しんでいる人にとっては超低金利で再融資が受けられれば正常な生活をとりもどすことが出来る。 こんな人はしばしばクレジットカードも限度いっぱい使って多額の負債を抱えているものだ。 銀行はこのような人に対してDebts Consolidation と称して次のようなリファイナンスをオファーしている。

例として30万ドル(金利8%)の住宅ローンを抱え2万ドルのクレジットカード負債に12%の金利を支払っているとしよう。 金利支払だけの単純な計算をすると
現状(住宅ローン支払い月$2,200、 クレジットカード月$200)月額支払合計 $2,400 となる。 両方の負債をまとめて合計金額$320,000を新規低利融資(5%) に切り替えた場合、毎月の支払額 $1718となり$682もセーブできる。 これが今全米で問題となっている銀行差押(Foreclosure)を回避する方法として銀行が推奨している。

これは何も差押に直面している人にのみ適用されるわけでもない。
私にも毎日のように銀行から再融資のオファーが入ってくるので一応リファイナンスを考えてみることにした。 既存の顧客に再融資するのは銀行にとって調査の手間がかからず顧客にとっても手続が非常に簡単で話が進みやすい。
話が早いのは現在保有している住宅(不動産)が融資額を十分上回る価値を保持していることが前提である。

私の場合は住宅ローンの残りのリファイナンス、リース車の買取、キッチンのUpgradeを含めて12万ドルを5%でリファイナンスすると現行の月ごとの支払に比べて$300ほど少なくなる計算になった。 通常リースや簡単な家屋の改造には長期の融資は受けられないが今回のDebts Consolidationの特別オファーを利用すれば車もキッチンのリノベーションの費用も30年(360ヶ月)に薄めて支払いが可能だからである。 しかも低利で通常リファイナンスにかかる費用($2,000-$3,000)が$400ぐらいですむ。

車やキッチン・リノベーションには前述の30年Fix RateでのローンでなくHome Equity Line of Creditといって一定の融資枠内でローンを受ければそのバランスに対して金利のみの支払うローンを組むことも出来る。 ローン本体に対する支払はいつでも余裕のあるときに任意で支払うことが出来る。 まとまった金額の支払のための資金捻出のため低迷したマーケットで株や投資信託を売らなくてすむ便利な取引である。 金利はプライムレート+ 0.5% (or
More) だから現状では非常に安い。 
一週間前にChaseの支店を訪ねてRefinanceとHome Equity Line of Creditの説明を聴いた。 昨日必要書類(2年間の確定申告書、所得明細、銀行残高)を携えてMortgage Officerに合いローンの正式申し込みをした。 後はローンレートを確定し正式書類にサインするだけである。 

Mortgage OfficerはRickといい50台後半の落着いた紳士であった。 ローンの手続は20分ほどで終わり後は一般的なアメリカの経済の話をした。 
銀行家だから企業の内部事情や個人の懐具合を良く知っている。 ビッグ3の経営危機はローカルにも影響大でまずローカルの車のディーラーがつぶれそうだという。 全国的な規模の大手リーテーラーもクリスマスセールがダウン、しかもブランド物も含めて全商品50%Offでは利益が出ない。来年3月までに数件潰れるとみている。 個人の家計はもともと目いっぱいだったものがクレジットカード金利がいっせいに上がったので支払延滞が急激に増えた。 
Debts Consolidationで負債を先送りしても消費パターンを縮小しない限り家計の健全化は無理だという。 失業増と個人の消費減で構造的にはデフレ、ドルの信用不安から急激なドル安に転じているが原料から製品に至るまで多くを輸入品に頼っているアメリカはコストインフレが避けられない。 両方がどのように影響するかは予測は難しいがどちらもいい話ではない。 
私はアメリカは切替が早いから不況脱出も3年ぐらいで可能かと考えていたが彼は現状は今までの不況とはちがって非常に深刻で潮目が変わるには4-5年かかるといっている。
経済のグローバル化が進んでアメリカの健康度がすぐに世界に波及してしまうのでアメリカ経済が早く健康を回復しなければならないのだが彼の話を聴いていると回復にはまだまだ時間がかかるような気がしてきた。 オバマ大統領には一段と大きな負担がかかっている。 

2008年12月20日土曜日

ビッグ3緊急融資

12月19日にブッシュ大統領はビッグ3へ174億ドルの緊急融資を行うことを発表した。勿論条件はついているがこれは2週間前に下院で可決された救済法案とほぼ同じで今回の大統領の決断は筋書き通りの出来レースみたいなものだ。
上院が同法案を否決したのは共和党が再生のキイはUAWの譲歩にありとみてUAWが大幅な歩み寄りを見せない限りビッグ3は救済できないとの強力なメッセージであった。 現実論としてはすべての人がびっぐ3は潰せないと思っているから最後にブッシュ大統領が出てくることは見え見え、とりあえずはつなぎ融資が出来て良かったのではないか。 しかし誰もこれで問題が解決できるとは思っていない。 融資は短期であり単に問題が先送りされただけである。
問題は単にビッグ3・自動車産業だけの問題ではないから政府、議会、会社、労組一体となって再建に取り組んでほしいものである。 

2008年12月18日木曜日

迷走するビッグ3救済策

ビッグ3の救済策が決定しないで迷走している中で逐次新しいニュースが入ってくる。
12月17日 クライスラーは全工場の一ヶ月の創業停止を決定した。
12月17日 GMとクライスラーはBail Outを容易にするため一旦白紙に戻した合併を再検討している。(GMは否定)
12月18日 ブッシュ政権はGM, クライスラーの”Ordinary Bankruptcy”-管理倒産-を検討中と報じられた。  管理倒産というのは倒産する会社が資産や組織がばらばらになって再生不可能にならないよう政府の管理下で倒産を図ろうとするものである。 

これは一種のUAW対策ともいえるだろう。 なぜならUAWの大幅労務費カットを実現しなければ再生は無理だけど倒産をすれば対組合政策は初めからやり直しが出来るからだ。

事態が切迫しているにもかかわらず救済策が一向に進展しないのは問題が大きくかつ複雑で失敗した場合のインパクトが計り知れないからだと思う。 すべての人は事態を十分理解しているが政府を初め議会も世論も救済の成功率が極めて低いと考えている。 

「ビッグ3の再生は困難であり倒産は避けられない。 しかし自動車産業自体が巨大で周辺産業への影響を考えると倒産させるべきではない。 政府が直接救済に乗り出すのは法的にも難しく国民の理解も得られそうにない。」 このようなジレンマが終わりに近づいたブッシュ政権とまだ稼動していないオバマ政権のハザマにあって具体策が出てこないのがますます事態を悪くしている。 

不況が深刻化しつつあるなか自動車産業再生の成否がアメリカ経済社会の将来を占う上で最重要であることは言うまでもない。 過去2-3ヶ月アメリカ自動車産業の危機が取りざたされて以来TVのスクリーンにはGMやFordの工場の作業現場、従業員や家族へのインタビュー、デトロイトのオートショウなどの映像がたびたび写しだされるがいかにも老大国という印象を持たざるを得ない。 画面に映るのは文字どうり中年以降の年配者ばかりで若い人の姿が全く見当たらないのである。 最も華やかな自動車ショウで新車の説明に当たっているのが全くスピーチにも魅力を感じさせない高齢のEVP。
これはアメリカの会社がリストラをするときには入社年次の若い順に解雇するので必然的に年配の労働者が残る。 リストラを繰り返せば繰り返すほど社員の高齢化が進んでゆく。 アメリカには定年制度がないので老舗の企業ほど従業員の高齢化が進んでゆく。 有能な若者が育つどころか定着しない。 自動車産業のイージーなリストラの付けが今如実に現れてきたといっても良いだろう。
社員の年齢が若ければよいというものではないがベテランの知識や経験と若い人の新鮮なアイデア、エネルギーがバランス取れてこそ会社は安定した成長を遂げるのではないだろうか。

2008年12月12日金曜日

再びビッグ3救済策

一昨日の日経コラムの記事に対して投稿するため下記の原稿を準備していた。
<Quote>
私は1968年以来アメリカと日本を往復し滞米31年になりました。 ニュージャージー州の私が住んでいるコミュニティでは60%が日本車になっています。 20年前から取引先の多くのアメリカ人言っていました。 「Buy American 賛成だけど私が買う車は日本車」

90年代前半まではまだキャデラックやリンカーン・コンチネンタルはステイタス・シンボルでした。 今はノスタルジック・カーでお年寄りしか乗っていません。現在では日本車もアメリカ車も性能は大して変わりません。 アメリカ車が売れない理由はいろいろありますが一番の原因は魅力のある車がないのです。 車は現代人の最大のファッションですから性能や乗り心地を含めた総合的に魅力のある車でないと売れないのです。
一年前の今頃は世界販売台数ではトヨタとGMが970万台あたりでトップの座を争っていました。 そのとき発表された決算内容はトヨタが2007年度9月中間連結決算で営業利益が1兆2721億円に対しGMは2007年7-9月期だけで389億6300万ドル(約4兆4400億円)の赤字でした。 両者とも土俵はほぼ同じなので経営の差としか言いようがありません。 この差はトヨタとその周辺企業の長年の企業努力の賜物でしょう。 1960年代からアメリカにおける日本車を知っているだけに感無量です。

しかし一方では“Japan as No. 1”との言葉に惑わされいかにも日本が経済の世界ではNo.1になったかのような錯覚に陥り「慢心と傲慢」になってはいなかったでしょうか。 トヨタの経営幹部がこうならないように自らを戒めていると聞いてさすがだと思いました。


1990年当時の中曽根首相はアメリカ議会で演説し“Japan is Unsinkable Battleship”と大見得を切ったのは「慢心と傲慢」の頂点であったように思います。 その後すぐにバルブがはじけて日本経済は長期に浮上できない潜水艦になってしまいました。 バブルは経済偏重・物質主義偏向を生み本当の豊かな生活を経験することなく見かけの繁栄は短期間で終わってしまいました。また多くの企業にとって生産や技術は一流でも経営は旧態依然、社会の急激な変化についていけず経営に果敢なリーダーシップがなかったことも原因でしょう。 全体で言えば日本は確かに経済的には成功しましたが経済以上のものにチャレンジする目標を見出せなかったののも原因でしょう。 経済以上のものに挑戦することで新しい経済が生まれることを日本の社会が早く認識してほしいと思っています。

12月10日アメリカの下院でビッグ3の救済策が130億ドルに縮小してやっと可決されましたが多くに議員さんたちはまだ反対の意見を表明したりビッグ3の再生に疑問を投げかけています。
私もビッグ3の回復は無理だと思っています。 巨大企業の文化は一丁一石には変えることはできません。 Fさんのコラムを読んで特にその感を強くしました。
ビッグ3はいずれChapter 11(会社更生法)を宣言して再出発する以外方法はないでしょう。

日本の企業は「慢心と傲慢」を戒めると共に「果敢な挑戦」を忘れないでほしいと思います。
<Unquote>


前回第一回目の投票は下院で否決されていたので下院を中心に反対派の説得工作が続けられていた。 今回これが功を奏して下院では賛成237、反対170の大差で可決、上院でも当然賛成多数で可決されると思っていた。 
ところが上院の共和党の多数の議員が救済策は内容が再建には不十分で賃金が日本の自動車メーカー並に引き下げねばならないと現在の救済案には反対していた。 つまり現状ではつなぎの140億ドルの救済資金をつぎ込んでも再建は不可能とみているのだ。 大抵の経済人ならこの意見は理解できるだろう。 実質的にはUAW(全米自動車労組)に賃金引下げを要求しているわけだがUAWは昨夜即座にこの要求を拒否している。 これで上院議員の多数を硬化させてしまって結局はビッグ3救済法案は廃案になってしまった。 
GMとクライスラーは資金繰りが年末ぎりぎりと言われておりいよいよ倒産に追いやられようとしている。 
しばらくは対策がなく来年1月発足のオバマ新政権を待たざるを得ないのか? さすがに不安がよぎる。 1930年台のように大不況・大失業時代がやってくるのか。 本日12月12日の市場のの反応を見てみよう。

2008年12月5日金曜日

ビッグ3公聴会・2日目

昨日の上院公聴会に続いて本日は下院の金融委員会(Financial Committee)にてビッグ3救済の公聴会が行われた。
上院下院とも議員さんの3分の2はLaw School を出ており弁護士や検察官の資格を持っている。 その他の議員さんも地方議会や市民活動を経て中央政界にでてきた議論のベテランばかりである。 彼らはプロフェッショナルとして十分鍛えられているので審議・尋問は鋭く核心を捉えている。 曖昧な答弁は許されない。 情緒的で曖昧な答えはさらに追求され自分の面目を失うばかりか本来の目的である自動車産業への支援も失いかねない。 議員さんは国民に対する説明責任と自動車産業破綻という国家的経済危機をどう乗り切るかの重大な責任を負っているので議論も真剣そのものだ。 この公聴会を聞いていると自動車産業のみならずアメリカ産業の実情がよく理解できる。 日本の政治家も産業人もこの公聴会に注目して他山の石とすべきであろう。
救済反対派は1)公的機関でない自動車産業3社に340億ドルの税金をつぎ込むのは自由主義経済の原則に反する。2)再建策に十分な確信が持てない。UAWの譲歩が十分ではなく賃金とベネフィットの大幅な削減がなくては会社は十分な利益を確保することが出来ず競争には勝てない。 3)長年ぬるま湯につかった巨大産業を改革することは容易なことではなく近い将来巨額の負債を返済できる可能性が少ない。
注目すべき意見はクライスラーは80%の株式を投資会社・サーベラスが保有してる非公開会社であってサーベラス自身は巨額の利益を保持しているので親会社のサーベラスがクライスラーを援護すべきであり非公開会社に税金をつぎ込むのはおかしいという議論がある。 反対派は自由経済の原則論を主張している。
救済賛成派はとにかく今は大不況の入り口にあり何とか歯止めをかけないと自動車産業とその周辺産業だけでもさらに300万人の失業者が出ることとなりアメリカ経済全体がさらに沈み込み最悪のブラックホールに落ち込んでしまうと懸念している。 つまり理屈よりも現実論である。
全員が何とかしなければならないという共通の認識に立っているからおそらく救済策は可決されると思うがクライスラーがはずされる可能性もある。
論議は煮詰まっており対策は急を要するので来週には採決に持ち込まれるだろう。

これに比べて日本経済はアメリカほど窮地に立っているとは思えないが早急な措置が必要にもかかわらず日本の国会での論議は情緒的で論議がかみ合わない。 国語の不得意な首相と議論と演説が嫌いな野党党首が2大政党のヘッドである政界であるから形だけイギリスやアメリカの政治をまねたところでまともな論議・質疑は出来ないだろう。
そもそも質問者自身が論理的な議論を展開できないのでたとえ国会の証人喚問がおこなわれても本来の目的を果たせないのである。
これは多くの国会議員が地縁・血縁・金縁をベースに選出されてくるので何も経験のない大学在学中の子弟が議員に担ぎ出されたり何の実績もリーダーシップもない二世議員が順送りで大臣になったりする。 かかる国会では質の高い政治が期待できるわけがない。 結局は何だカンだいいながら同じような国会議員を送り出している国民に責任がある。 残念ながら日本の国会は国民の政治レベルを表していると言わざるをえない。

2008年12月4日木曜日

ビッグ3の救済と議会

12月4日上院(Banking Commitee)によるビッグ3の2回目の公聴会が開かれた。 前回の公聴会ではビッグ3の首脳の対応があまりにもお粗末で今回改めて再建策を聞くことになっていた。

現ブッシュ政権がもとめているビッグ3への救済策を与党の共和党議員が頑固に反対しているのは倒産すれば社会的影響が大きいからといって巨額の税金をつぎ込むのは自由主義経済の原則に反するというものだ。 反対しているのは民主党の議員も同じであるが次期大統領オバマが緊急な援助が必要との認識にたっていることとナンシー・ペロシ下院院内総務の強力な指導のもと一応条件を付けて過半数が賛成に回り救済法案を可決する準備は整っている。

上記のような政権と議会・議員の行動は政治体制が異なるとはいえ日本の政治には見られない風景である。
日本の場合は議員内閣制で首相は衆院議員の選挙で選ばれ通常与党の党首が首相に就任する。 当然のことながら首相と議員の関係は非常に密接であり首相=与党といっても過言ではない。 双方意見が異なる場合でも表向きには事前に調整されて首相=与党の構図は変わらず首相に与党議員が法案をめぐって強力に反対することはありえない。 また日本の場合は党議拘束が通常的で反対は裏切りとみなされしばしば党の懲罰を受けることになる。
首相も勿論衆議院議員であるから立候補した選挙区の選挙民に選ばれたことには違いないが一般国民との距離は非常に大きい。

アメリカの大統領は国民によって直接選ばれるので国民との距離は非常に近く親近感がある。 また議員さんたちも国民によって選ばれているわけだが「民意の代表」という認識が日本の議員さんに比べて格段に強く国民の意見・感情に非常に敏感であって議員と選挙民は非常に密接である。 逆説的に言えば国民の政治意識が議員の国民に対する意識を高めているともいえる。 CNNが今週初めに行った世論調査では国民の61%がビッグ3のBailoutに反対、賛成は31%。 自動車産業の地元ミシガン州でも53%の人がBailoutに反対というから世論に敏感な議員さんたちが党の首脳が賛成しているからといっておいそれと賛成票を投じるわけには行かないのである。

またアメリカの場合は党の方針よりも自分の政治信条と選挙区の意見を優先する傾向にあり大抵の法案に対して共和党、民主党双方に賛成・反対票があり日本の議会のように与党が全員賛成、野党は全員反対とはならない。
現在の日本の政治は国民の意図を離れて議会は政局ゲームの場となってしまった。
日本はねじれ現象で議会運営がデッドロックになり国民生活に支障をきたしているのだが一度党議拘束をはずして無記名投票にでもすれば民主主義が復活し政治が活性化するのではないかと思うのである。

2008年11月21日金曜日

オバマの組閣作業

オバマ政権の組閣作業がシカゴの本部で進められているがオバマ時期大統領はキャンペーン中から共和党を含めて広く人材を集めると公約しているので各方面にバランスを取った組閣をしなければならず慎重に作業を進めているように思われる。 つまり地域・人種のバランス、女性・マイノリティの登用、選挙で貢献した人達への論功行賞などを考慮しながら人選せねばならない。 それでも連日メディアの情報ではかなり早いスピードで適材をポストにはめ込んでいることが伺われる。 前例のない大問題が山積している状況の中ですぐに仕事が出来てしかも失敗が許されない船出となるので即効性のある人事が行われているように恩う。

中でも重要なのは国務長官と財務長官で国務長官はヒラリー・クリントン上院議員、財務長官は現NY連銀総裁ティモシー・ガイスナーで決まりだろう。 クリントンは民主党の結束と国際関係改善に貢献するネームバリューを持っている。 ガイスナーは現財務長官ポールセンと協力してベアースターンズの救済、リーマンブラザーズの破綻、AIGの救済に直接かかわっており金融危機と大不況を引続き取り扱うには最適人と言えよう。 国防長官は共和党現職のゲイツの留任、国家安全保障省長官にはナポリターノ・アリゾナ州知事(現在直接移民問題に対処している)
 法務長官にはクリントン時代に副長官を務めたホールダー氏、商務長官にはシカゴの実業家。。。いずれも手堅い即戦力の実務家を揃えた。 ヒラリーを除いてまとまりのよいキャビネット・メンバーのように思われる。

一方日本のニュースは政治の混迷をますます深めるような首脳同士の発言にげんなりしてしまう。 麻生首相は思慮の足らない低次元の発言が多く一国の首相としては軽すぎる。 漫画は私的な趣味の範疇にとどめて大所高所からの発言と政局ばかりに振り回されないしっかりしたバックボーンを示してほしいものだ。 一方民主党の小沢代表は誰のための党首なのかさっぱり判らない。 人と話すのは苦手、 重要政治課題を政局の道具にしか見ていない。 健康に重大な問題がある。 これで政治が務まるのか? 彼は政治家と言えるのか? 小沢さんを党首に擁いて何も言わない、何もいえない民主党員はいくじなしばかりではないか。
政治家は年齢制限ではなく経歴制限をして通算15年以上は議員を続けられないことにしてはどうだろう。 一旦外の永田町から出て仕事をしてみれば世間のことがよくわかると思う。 

2008年11月19日水曜日

ビッグ3が危ない

サブプライムローンの破綻で始まった金融危機はついにアメリカの自動車メーカー・ビッグ3を倒産の危機に追い込んでいる。 過去2年にわたるガソリン価格の高騰により大型車が売れなくなり大型車中心の生産を続けていたビッグ3は連続して大幅な赤字を出していた。 金融危機によってクレジットクランチがおこり巨額の運転資金を必要とする巨大な自動車メーカーが窮地に追い込まれている。 

昨年9月に3年ぶりにアメリカの同じ土地に戻ってきた時廻りの環境も人もまったく変わらなかったが「車の事情」だけが変わったように思った。 
1.日本車の数が異常に増えていた。
2.アメリカ車を除く日本車・欧州車の高級車が増えたこと。
3.アメリカ車はSUVが目立った。 全体の3分の1はSUV
4.アメリカメーカーのセダンはスタイルが野暮ったく見えてまったく魅力がなかった。

一年前にも巨額の赤字決算を発表、一方トヨタは破竹の勢いでGMを抜いてNo.1メーカーになることは誰の目にも明らかだった。 全くの門外漢で自動車には素人の私にさえビッグ3の凋落があまりにも目に付くぐらいだから内部は相当ガタガタで崩壊が進んでいたのかも知れない。 しかし誰も一年後に倒産の危機に追い込まれるとは予想していなかった。 ビッグ3の危機はガソリンの高騰と金融危機のせいと思われがちだがそれがなくとも遅かれ早かれ深刻な経営危機は訪れていたと思われる。長期的に経営困難が予想されていたにもかかわらず経営陣はなぜ抜本的な対策を講じてこなかったのだろう。


先週議会で開かれたビッグ3救済のための公聴会で3人の経営トップには会社危機に対する真摯な態度と具体策がなかった。 これには救済しようと努力していた民主党議員からも怒りをかって採決さえ見送られてしまった。 次回の公聴会で再建案を提出するまで支援は延期されてしまったのである。 経営危機はさらに深まりGMの経営者は倒産さえ選択肢に加えはじめた。 このような傲慢な経営トップの会社には議会ひいては国民の理解、協力を得られないだろう。


半世紀にもわたる会社全体の傲慢さは危機に際してもすぐに転換できるとは思えない。 環境問題で世界的課題である自動車のガス規制もブッシュと協力して反故にしてしまった。 自らチャレンジする精神をなくしてしまっては現代の競争社会を生き残れるわけはない。 自由主義を信奉し競争こそが進歩のエネルギーであると説いているアメリカ社会にあってビッグ3の姿勢は反社会的、反アメリカ的存在である。 企業化精神を忘れた会社には優秀な技術者、チャレンジングな若者は集まらない。 だから彼らが製造する車のスタイルや技術に魅力的なものがなく売れないのだと思う。 彼らは販売不振の原因を高値のガソリンのせいにしているが根本的な原因ではないのである。

もうひとつの原因はUAW(全米自動車労働組合)という自動車産業組合の存在がある。 アメリカの労働組合は会社別組合ではなく産業別の組合だから会社の経営状況に合わせた会社別の交渉というわけには行かない。 日本と比べて相対的に組合の力が強く取るものは徹底的に取るという常時敵対的な関係で会社と協力して生産性を高めようなどという意識は全くない。 結果的にビッグ3の労働者は6桁の収入を得ることができた。 それだけではない。 フリンジベネフィットも至れりつくせり、退職後でさえ十分なペンションと健康保険の給付を受けられるなど信じられないほどのベネフィットを受け取っている。(最近経営を圧迫する原因だとして徐々にベネフィットは削られているが) しかしよほど生産性が高くなければ平均で6桁以上の給料を払って経営が成り立つとは思えない。 市場が悪化すればすぐに人員整理、これが景気に対する最大の調整弁であるとすればあまりにイージーすぎる。 


生産性の低下ー開発投資の減少ー新車/魅力のある車の不足ー人材の流出・新規確保補充の困難ー販売不振ー利益の現象ー生産性の低下といった悪循環を長年断ち切れないでいる。 経営陣もすぐには会社再建案を提出できないのは当然と思う。


しかし世の中はビッグ3が倒産してもらっては困るのである。 失業者は増え景気はもっと悪化する。 これ以上株価が下がればデフレがいっそう深刻化する。 大恐慌になればアメリカ国民だけでなく世界の人々が大迷惑だ。 何とかせねばならないと思っているのはオバマ時期大統領だけではない。 

しかしビッグ3という巨象は年老いて深刻な病に冒され何時倒れるかわからない状況だ。 蘇生のためにカンフル注射をしたところで何時まで持つか疑問視されている。 これが議会が救済のための資金注入をためらっている一番の原因である。 しかし今倒れてもらっては影響が大きすぎてみんなが困る。 何とかせねばならないと思っているのはブッシュもオバマも同じこと。 大きなディレンマを抱えてオバマ政権はスタートしなければならない。

2008年11月18日火曜日

日本も移民が必要

日系ビジネスOnlineの森永卓郎氏のコラム
「日本経団連の移民受け入れ策は亡国の政策」に対しての意見
(NBOnlineに投稿)

森永さん 世界の現実をしなやかに見てください。
アメリカではメキシコ、中南米からの移民は低位労働力として農業や清掃、造園などに従事していますが不足している医者、IT技術者などの高度労働力もヨーロッパ諸国、アジア、インド、中東諸国の輸入(移民)に頼っています。 ご存知のような労働や文化の軋轢はありますが移民はアメリカ経済の活力の源泉であり経済成長の多くを担っています。 特にIT業界ではインド人、中国人技術者抜きではアメリカの技術の進化は考えられません。 彼らにとっても新しい技術とびビジネスに挑戦できる大いなるチャンスであり経済的にも自国とは比較にならない高給を食み生活をエンジョイすることが出来ます。 実力のある人がチャンスをつかめる平等な競争社会であることはYahooはじめ多くのITベンチャー企業のトップが若い外国人で占められていることで判ります。 

メキシコを初め中南米諸国はアメリカ新政権の移民政策の動向に神経質になっています。 何しろ1200万人もの違法入国者が居住している国ですから日本の移民問題とは次元が違うでしょうがこれらの移民輸出国(合法、違法を問わず)はアメリカが移民を低賃金で働かせていることに意義を唱えているわけではありません。 移民を厳しく制限することに大反対なのです。 つまり物の流通を自由にすると同時に労働力(人)の移動も自由にするように要求しています。 移民を送り出す国も受け入れる国も双方にメリットがあるので世界の移民は拡大しています。 EU域内ではすでに人も物もお金も自由に動けるようになりました。 域内の自由化が浸透するにつれ経済は活性化しユーロが強くなりました。 
EUの中には人口が一千万に満たない国が多く含まれていますが高い生活水準と文化を維持しています。 勿論一ヶ月以上の休暇は当然のことだしサービス残業などはありえない。 いずれの国も移民によって不足している労働力を補完し活性化と競争力を維持しています。 逆に保護された高賃金は競争力を失って現在のアメリカの自動車産業(ビッグ3倒産の危機)のようになってしまいます。

経団連が「日本型移民政策」を発表した意図は将来の人口減少を見据えてのことだと思われるが企業が人件費コストの削減に努力することは当然のことでひとつの手段として移民を考えることは悪いことではありません。 森永さんは移民のマイナス面ばかりを強調されているように思うがプラス面も考えてほしいと思うのです。 受入れ態勢が整っていなければ早く受け入れ態勢を整備すればよいのでそうだからといって移民を否定するのは本末転倒です。

所得が増えれば人口が増えるなどというのは現実を見ていない証拠でしょう。 所得が増えれば若者が結婚できるチャンスは確かに増えるでしょうが少子化に歯止めをかけることは出来ません。 宗教的な制約がない限り先進諸国の例が示すように所得が上がるにつれて出生率は下がり人口は減少します。 日本は必ず急速に人口減少に向かいます。 出生率を上げる工夫をするより人口減少を前提とした現実的な政策を模索するほうが懸命です。

さらにこのコラムに対するコメントを読んでさらに驚きました。 
日本のメディアの影響が大きいと思いますが移民に対するマイナス意見と日本の現状と将来に対する悲観論が一般的ですね。 日本から世界の一部を覗くのではなく世界から日本を見つめてみれば日本ほど恵まれた国はありません。 マイナス面ばかりを数えて行動できないのは日本人の悪い癖です。 日本をもっとオープンにして製品だけでなく労働力も高度の頭脳も輸入しましょう。 間違いがあれば訂正すればよい。軋轢があれば調整すればよい。 日本人の閉鎖性が日本の社会の停滞を招いているのです。

2008年11月9日日曜日

世界が期待するオバマ

11月4日夜オバマ新大統領の誕生で全米が歓喜にわいた。 ほぼ半数近くが共和党支持者だから”全米が”という表現は間違いかもしれないがアメリカ国民全員がオバマ大統領の誕生を心から歓迎しているように思えるほど喜びに沸いているのだ。 シカゴのグランドパークに集まった15万の群衆の中には20年ほど前に大統領予備選に立候補したジェッシー・ジャックソンもいた。 あふれる涙をぬぐおうともせず感極まった様子で立ち尽くしている。 オプラ・ウィンフリーもいた。 「こんな日がくるとは思わなかった。 これでアメリカは何でも可能であることを証明した。 素晴らしい」と後のインタビューで答えていた。 
普段は冷静なはずのTVキャスターも評論家もスターもこの時ばかりは言葉を詰まらせ涙をうかばせた。  長い間アメリカにいるがこんなシーンは見たことがない。 
「こんな日がこんなに早く来るとは思わなかった」のはオプラだけではない。 黒人はもとより白人もマッケーンに投票した保守派もオバマを支持した若者も外国のメディアもそして私も。 1960年代の終わりに始めてアメリカにやってきた時はまだトイレもバスも白人と黒人は別々であった。 公立校で生徒をミックスするためにバッシングが行われていた。 バッシングが行われていた地域からは白人が逃げ出していた。 公民権法案が施行されてもまだまだ現実に差別は続いていた。 今でもすべてが平等かというとそうではない。 特に黒人の人にとっては我々が知らない世界でまた人々の心の奥底でまだ差別を感じているに違いない。 白人もそれを知っているから今回の選挙は白人自身の本能にも似た感情の壁を選挙という形で打ち破った。 彼らもそれを誇りに思っている。 アメリカは選挙結果以上のものを勝ちえたといえるだろう。

2年前にオバマがイリノイ州のスプリングフィールドで旗揚げしたときは殆どの人が彼を知らなかった。 1年前に民主党の第一回ディベートが行われたときも彼が民主党の指名を獲得するなど誰も信じていなかった。 1月3日のアイオワ・コーカスで大方の予想(ヒラリー・クリントンが有利)を裏切り彼が1位に踊り出たときさえ初打席のまぐれヒットのように考えていた。 予備選が進むにつれオバマとヒラリーの一騎打ちになったが時が経つにつれてヒラリーの言葉が上滑りになりオバマの熱情が国民の間に浸透していった。 7月にはヒラリーが資金難に陥り自ら$500万をキャンペーンに融資せざるを得なくなった。 一方オバマの支持者はインターネットを通じて$25、$50とポケットマネーを送り続けた。 9月には$6500万もの献金を集めた。 選挙が終わってもオバマは資金が余っており慈善団体にか公共機関に寄付するそうだ。 1月にアイオワで芽を吹いたオバマなる樹が10ヶ月の間に市民の間に深く根を張り枝葉を伸ばし11月には大輪の花を咲かせた。 オバマの言葉どうりこの花はオバマの花ではなく国民全員の花である。 この花が大きな実をつけるかどうかはオバマ自身と今後の国民の意識にかかっている。
期待しているのはアメリカ国民だけではない。 世界中がこの選挙に注目しオバマの当選を歓迎しアメリカの変化に期待している。 イランのアフマディネジャド大統領でさえ祝福のレターを送ってきたほどだ。 ブッシュ政権は世界中に敵を作ってしまった。 不必要な緊張を拡大し続けてきた。 ブッシュとオバマでは世界観がまったく違うからまず世界の緊張がほぐれるだろう。 オバマは公約どうり世界と対話を始めなければならない。 世界の首脳は彼と合って彼の人となりを知り政策を理解し彼を大統領にしたアメリカを再評価してアメリカとの距離を縮めることになるだろう。 オバマはキャンペーン中リードしても浮かれず非難中傷を浴びても落ち込まずいつも沈着冷静でぶれなかった。 目先のことにこだわらずいつも遠くを見つめているようなオバマ。 彼がアメリカの再生と世界の緊張緩和を実現してくれることを大いに期待している。

2008年11月5日水曜日

米大統領選挙(49) オバマが教えてくれたこと

愛と希望があるから生きられる。

人種差別、ケニヤ人の父と白人の母を持ったアイデンティティの混乱、Food Stampに頼る貧困,  荒廃したサウスサイド・シカゴでの生活 いずれを取ってもオバマの半生は厳しく困難なものであったに違いない。 いくら高邁な志があるからといっても途中で挫折してもおかしくなかった。
彼だけが厳しい人生を強いられただけではない。 ケニア人と結婚した母、シングルマザーになった母、オバマを引き取って育てた祖父母、 決して裕福ではない家庭でオバマの成長に心血を注いだ。 祖母はオバマに学校に通わせるため昼夜無く働いた。  

1960代年から1970年代にかけてアメリカは今では想像できないほど人種偏見、差別が存在していた。 公民権法案は成立したものの人々は頭と心の中をすぐに変える事はできなかったのだ。 白人社会の白人家庭で黒人の少年を育てることはとても勇気のいることであり理不尽な中傷にも耐える忍耐が必要だった。 そのような環境の中で母親と祖母はオバマ少年に出来る限りの愛情と教育を与えた。

彼が誰にもぶつける事ができない苦悩を乗り越えて大統領にまでなれたのはまず母親と祖父母の愛情とともに教育に対する投資を忘れなかったからでこれは彼自身が一番よく知っている。 だからキャンペーン中にも教育の充実が政策のひとつの柱であると公約していた。 学校では「TVのスィッチをきりなさいと言えないのです」としばしばキャンペーンで世の親たちに訴えていたのは家庭教育の重要性を認識していなければいえることではないと思う。 家庭教育をしっかりやらなければ根本的な社会の問題は解決できないと確信しているからである。 この一言でもってオバマが家庭でどのような躾を受けていたかがしのばれる。 

ハーバード大学に入って彼は次第に将来の目標が定まってきた。 彼は自分の生い立ちを振り返って恵まれない人のために力になろうと考えた。 もっとも最短距離で目的が達成できるのは政治家になることだ。 彼はハーバード・ロースクールを卒業しても高給が約束されている弁護士や投資銀行のエリート社員にならずシカゴの弁護士事務所を振り出しにサウスサイド・シカゴのコミュニティ・オーガナイザーとして貧困地区の再生に取り組んだ。 それ以降イリノイ州の上院議員になろうがイリノイ州選出の上院議員になろうが次期大統領に選出されようが「他人のためになろう」という彼の信条は変わらない。 彼はリンカーン大統領が好きでリンカーンの言葉や信条をよく引用するが彼の頭の中にはいつも「人民の人民による人民のための政治」というのが頭にあるようだ。 彼にはこのような信条がありそれを実現するための野心はあるが私心が見えない。 半生をかけて培ってきた信条は少々のことではぶれない。 キャンペーン中にもライト牧師の暴言、 シカゴの不動産業者との関わり、 過激派エイヤーとの交流など直接関係の無いうわさの捏造、ばかばかしい中傷など民主党の対抗馬や共和党の候補からあらぬ非難や中傷を浴びてもオバマはいつも冷静で最低限の反論しかしなかった。 オバマキャンペーンの間でも彼の冷静さが物足りない、やられるならやり返すというのがアメリカ流だからもっと相手を攻撃したほうが良いという内部の意見があったが彼は彼流の冷静さを貫いた。 ヒラリー・クリントンは演説が滑らかだが各地で多数派に媚を売るような有権者べったりのリップ・サービスを繰り返していたが結局のところ一貫性が無く国民にそっぽを剥かれることになってしまった。

オバマは初めから「改革は痛みを伴う。 すべての人に良い政策はありえない。 すべてのことを一度に解決できるわけはない。」と初めから国民に向かって訴えている。 彼の政治の目標がはっきりしているのでどのような場面に直面してもぶれないのだろう。 そして最後に国民の信頼を勝ち得たのである。


オバマはいつも遠くを見ているような眼をしている。 大統領選を勝ち抜き勝利したその夜でもバイデン以下キャンペーンの仲間たち、シカゴのグランドパークに集まった15万の群集も一回に喜びを爆発させていたがオバマ自信は笑っていなかった。 来るべき試練と大きな責任に気持ちを引き締めているような厳しい顔をしていたのが印象的である。


オバマがハーバード大学とハーバード・ロースクールを卒業したきわめて優秀な人物であることは間違いないがハーバードというトップ・ブランドが社会の表と裏でとても大きな役割を果たしている。 一般社会でもハーバード卒なら普通の関門はノーパスでOK. 特に大統領選挙では民主党・共和党を問わず候補者がハーバードかエール卒業である場合はハーバードマシーンやエールマシーンがフル回転するといわれている。 ハーバードのアメリカでのネームバリューは東大の日本におけるネームバリューよりの上だろう。 何しろ世界の秀才が集まり激しく論議して幅広くネットワークを構築していくダイナミックな組織だから非常に多くの才能が開花し実社会に出てゆく。 単にアカデミックな知識を誇る学者の館ではないのである。

高度な教育を受けた者ほど偏見が少なく広く先が見える。 教育程度が上がるほどオバマ支持率が上がるというのは選挙結果の分析で明らかだ。


これからオバマに関する書籍は今後長く出版されると思うが執筆する人もエピソードが多くて楽しいと思う。

オバマが私に一年かけて教えてくれたことをまとめてみれば

1.子供を育てるには一にも二にも愛情が大切であること。

2.信条とそれを達成する希望を持って決してぶれないこと。

3.常に上を向いて勉強を怠らず広くネットワークを築くこと。

オバマ次期大統領は大統領になる前からアメリカ国民に良い刺激を与えているようだ。









 

2008年11月4日火曜日

米大統領選挙(48) 新大統領の誕生

11月4日大統領選挙の日、朝の天気は曇り空だった。 天気予報では東海岸は大体曇りか雨、西海岸も全般に曇りか雨。 これまでの統計では雨の日は全体で投票率が1%落ちる。 そのなかでも民主党の投票率は2.5%落ちるとの統計がある。 上記の全米の天気予報は民主党が有利な地域の投票率が落ちることを意味している。 しかし私はこの統計は今回の大統領選挙には当てはならないと思っている。 なぜならこの選挙に対する国民の意識は異常なまでに高く天候が大きく影響するとは思えない。 また民主党の方が若年層の支持者が多く年齢が上がるにつれて共和党の支持者が増える。 全米を通じて投票所には長い列が出来て2-3時間待ちはざらという状況だから高齢者にとっては厳しい状況である。 それでも自分は歴史的な大統領選挙にぜひ一票を投じたい、新しいアメリカを創るために自分も参加したいというアメリカ国民の気持ちがこれまた記録的な投票率となって表れている。

インディアナ州とケンタッキー州で全米で最も早く午後6時に投票が締め切られた。 午後7時にはヴァージニア、ジョージア、フロリダなど東南部中心に7州が続く。 つぎつぎと開票の途中経過が報じられる中、CNNの出口調査の結果バーモント(3票)はオバマ、ケンタッキー(8票)はマッケーンとCNNのProjection(当確)がアナウンスされた。 ヴァージニアではまずマッケーンがリードだが開票数が少なく当てにならない。 インディアナは両候補が抜きつ抜かれつのデッドヒートを展開している。 

8時には 獲得代議員数がオバマ102、マッケーン34となりオバマ有利と展開が数字となってあらわれてきた。 8時半にCNNがペンシルヴェニアはオバマ当確アナウンスした。 ペンシルヴェニアこそ天下分け目の戦いでオバマもマッケーンも最重要のキー・ステートとして最後の最後まで キャンペーンを続けていた。 ペンシルヴェニアがオバマの手に落ちたことで勝負あったと見た。
11時にはCNNがカリフォルニア(55) オレゴン(7) ワシントン(11)の3州を締め切りと同時にオバマの勝利として加えオバマの獲得数が過半数の269を越えたのでオバマ新大統領が誕生したことを伝えた。
最終結果はオバマ349票、マッケーン163票でオバマの圧勝となった。

全米が沸き立ったことは言うまでもない。 今回の選挙は共和党か民主党かという問題ではなく苦境に立っているアメリカがどちらに向かうのか国民も世界も注目した選挙であった。
先の見えない現状にオバマもマッケーンも”チェンジ”を唱えるがオバマが変革の旗手であることは誰が見ても明白である。 マッケーンが次第にネガティブ・キャンペーンに傾斜していったのに比較してオバマは予備選の初期から党派を越えてまとまり国民がアメリカ再建に協力
するよう訴えた。 オバマの思考と人格が多くの人に受け入れられる純粋さと広がりをもっていた。 インディペンダントの3分の2がオバマに投票したことが証拠である。

オバマの勝利はオバマ自身が勝利演説で述べたようにオバマに投じた人たちだけでなく国民全体の勝利である。 黒人やヒスパニックなどマイノリティだけの勝利ではない。 マイノリティが100%オバマに投票しても70%を占める白人の多くがオバマに投票しなければオバマ大統領は誕生しなかった。 投票結果は詳細に分析されているがマッケーンが過半数を獲得したのは65歳以上の高年齢者のみでその他のカテゴリーではすべてオバマが上回っている。 間違いなく新しいアメリカを目指す人たちの勝利である。
アメリカはオバマを選んだことで自らの過ちを訂正し方向を修正する民主的な国家であることを証明した。 アメリカの国民は方向修正したことで安堵と自信を取り戻すだろう。 同時に世界の信頼も回復することを期待している。

2008年11月3日月曜日

米大統領選挙(47) 選挙前日

大統領選挙を明日に控えてオバマ、マッケーン両候補とも朝早くから夜遅くまで最後の遊説を続けている。 時差を利用して東から西まで順を追って飛んでゆけば通常より3時間は多くキャンペーンできる。 実際の投票は10日ほど前から始まっている。 いわゆる不在投票だがアメリカは選挙前10日間ならいつでも投票所で投票できるし郵送もできる。 11月3日朝現在すでに4200万人が投票したという。 しかも殆どの選挙区で2-3時間並ばなければ投票できないほど有権者が投票に向かっている。 長時間立ちっぱなしで順番を待ってまで自分の一票を投票しようというのだから選挙民の熱意のほどがわかる。 日本の選挙では考えられない。 日本ではおそらくそのような事態になれば殆どの人が投票せず帰ってしまうだろう。 
このような状況なら投票マシーンを増やすか従来の不在ペパー投票の期間を事前に拡大すればよいと思うが今回の選挙には間に合わない。 とにかく投票率が予想をはるかに上回るようでそれが不在投票にも表れているようだ。 

今回の選挙がこんなに盛り上がる理由は

1. 曲がり角に立っているアメリカにオバマという新しいスーパースターが誕生しつつあり彼に希望を託すという機運が大いに高まっている。 

2. 若者のの新規登録が大幅に増えている。 

3. オバマという黒人候補が立候補したことで今まで選挙に関心の薄かったマイノリティ層が投票しようとしている。 

4.オバマが2週間も前から各地の演説で選挙日を待たずすぐに投票に出かけるよう促していることも大きい。 

5. 予備選のときから民主党は指名争いが拮抗しヒラリー(女性)対オバマ(黒人)というどちらがなっても初の大統領という大きな話題があった。 

6. 本選終盤では劣勢のマッケーンにペイランという女性副大統領候補が躍り出て一気に話題をさらってしまったこともある。

マッケーンはオバマに平均して5-6ポイントのリードを許していたにもかかわらず最後の追い上げは凄まじいものがあった。 この迫力を一ヶ月以上までに示していたならば国民の反応の少し変わっていたかも知れない。 冷静なオバマも最後の数日は「最後まで気を抜くな! 投票が終わるまで結果はわからないのだ」と支持者に訴えている。 私はオバマの楽勝と見ているがさて明日の投票結果はどうなるだろうか。

オバマさんのおばあさんが今日亡くなった。 ここまで信念を貫いて大統領になることが確実になったオバマさんだがおばあさんの愛情と献身が無ければ今のオバマさんは無かったであろう。 オバマさんが大統領になる前におばあさんは亡くなったがおばあさんとしてはこれほどの幸せはなかっただろうと思う。 アメリカで最も偉大なおばあさんとして名が残った。

2008年10月21日火曜日

米大統領選挙(46) パウエル元国務長官オバマを支持

コーリン・パウエルといえば元帥、元統合参謀本部議長、元国務長官、現在も共和党の重鎮でアメリカ人で知らない人はいない。 現在のアメリカでは党派、人種、年齢、性別の問わず最も尊敬される人物で彼に並ぶ人はいないと思う。 大統領選挙に出馬すれば確実に選ばれる唯一の人物といわれていた。 一年以上前に立候補を促す声もあったが奥さんと家族の強い反対で踏み切れなかった。またはパウエル氏自身が共和党内のネオコンとの対立があり自分では思うように共和党を引っ張れないとの思いがあったに違いない。
パウエル氏の胸のうちは異文化を理解しないで他国との協調、平和の維持は出来ないと思っておりブッシュ大統領とは基本的にスタンスが異なる。 

彼はNBCのインタビュー番組でオバマを支持すると明言した。「アメリカ国内での両党の対立解消や世界各国との協調を実現できるのはオバマしかいない。 彼には新しい時代を展望する希望があり今の困難な時期に指導者としてアメリカを引っ張っていくのは彼が適任である」と述べている。
大きなニュースに違いないがインパクトが大きくてメディアも当日は事実を伝えるにとどめ論評を控えているように見えた。 2日目からいっせいにニュースと共に解説を始めたがダメ押しとも取れるパウエル氏のEndorsementでオバマ・リードに一段と拍車がかかったと伝えている。

メディアはもともとオバマひいきで予備選でもヒラリー・クリントンからもフェアでないとクレームがついていたがここに来てChicago Tribune, NY Times, Wasington Post,LA Timesなど大手メディアがいっせいにオバマ支持を表明している。 
理由はワシントンを刷新し分裂したアメリカをまとめられるのはオバマであり彼自身が選挙戦を通じて成長しているとしている。 一方マッケーンは革新性に乏しく政策・政見がぶれている。 ネガティブ・キャンペーンに終始して明るさが見えない。 決定的なのは副大統領候補に指名したS.Palinは大統領としての資格が無いと見られておりこのような人物を副大統領候補として指名したマッケーンは大きく判断を誤ったと決定づけている。
逆に言えばマッケーン・ペイラン陣営は自らの性格や資質、政策・経験を訴えてもオバマ・バイデンには及ばないのでオバマをこき下ろすしか対策は無いのである。

Pollはオバマのリードが広がるばかりでマッケーンはもはや勝ち目は薄いと見られているものの選挙は水物。 当日結果を見るまで予断を許さない。
(追加ニュース)
これを書いた数日後23日に数ヶ月前までブッシュ大統領の広報を勤めていたスコット・マクレラン報道官がオバマを支持するとCNNの番組で表明した。 これには司会者も驚いたがすべての人が驚いたに違いない。 ブッシュ政権はここまで身内に見限られるとは地に落ちたのもだ。 共和党のマッケーンは終盤に来てハードなワンツー・パンチをくらった。 

2008年10月17日金曜日

ベッドミンスター 秋

天気の良い日は屋内にいるのがもったいないと思うほど10月の気候は気持ちが良い。
9月の終わりから比較的気温の低く乾いた日が続いたので今年の紅葉は早くきれいだろうと予想してたがそのとうりになった。 このあたりはもともと自生のメープルが多いが住宅地の中にもメープルと共に何種類かの紅葉する樹木が植えてあり10月の中旬から11月の初旬にかけて自然の色の変化を日々鑑賞することが出来る。 


我が家の周りにも早々と秋がやってくる。 タウンハウスでは落ち葉かきも枝払いも業者がまとめてやってくれるので気が楽だ。 齢がいってからは一軒やよりもタウンハウス住まいのほうがよい。

車で10分も走ればFarm(牧場兼別荘)が広がる。 このあたりはサラブレッドのブリーディングを行っている牧場が多く馬のために道は舗装していない。 このダートのみちを高級車やSUVが土煙を上げて走る。

道端にFarmでとれたリンゴを売っている。 形は小さいがもぎたてのフレッシュな味がする。 一袋10個入って$3.00はグローサリーで買うより大分安い。

10月に入ればハロウィンのためにカントリーストアではパンプキン、リンゴ、コーン,菊の鉢植えがいっせいに並ぶ。 秋の風物詩だ。

紅葉は種類により色も異なるしピークの時期が異なる。 それぞれの樹の最も美しい紅葉は3日ももたないが多くのメープルが入れ替わり立ち代り色づいてくるのでここでは比較てき長い間紅葉を楽しむことが出来る。 わざわざ遠出して紅葉狩りに行かなくても毎日買物の行き来に自然を楽しめるのは結構なことだ。

2008年10月16日木曜日

米大統領選挙(45) 第3回ディベートとNY夕食会

あと20日残すのみとなった大統領選挙だが第3回のディベートがNYで行われた。
個人的にはオバマの楽勝と見ているだけに今までほどディベート観戦にも力が入らない。
問題の争点も詳細にわたり論議し尽くされているので関心を引くのは後れを取っているマッケーンがどのような切り替えし作戦に出るのかだけだった。

マッケーンは今まで以上にOffensiveで意欲だけは見せたが所詮内容に新しいものが無くネガティブ・ファクターでオバマを攻撃しようとするがオバマの交友や利益団体につき拡大解釈や事実を捻じ曲げて非難しておりまったく的外れでむしろ信用を失っている。 非難される側のオバマはクールでまったく動じない。 ディベートは次第にオバマペースとなり今回も満場一致(CNN)でオバマの勝利となった。 Pollもしだいにオバマのリードが拡大していることを示しまずオバマ大統領の誕生は間違いないだろう。

面白かったのは翌日のNYでの夕食会。 カソリック協会とNY市長主催のDinner Partyには政界・財界・マスコミ・宗教関係者のお歴々が集まる最もランクの高い夕食会でマッケーン、オバマ両候補も主賓としてひな壇の中央左右に席を与えられた。 キャンペーンからはなれてリラックスした夕食会とはいえスピーチで失敗すれば選挙への影響は免れない。
二人ともMain Speakerでジョークを競い合った。 Speach Writerが書いた演説とはいえマッケーンのジョークは秀逸で初めから終わりまで聴衆を笑わせた。 オバマは本来はジョークを身に付けたスマートな人物と思われるがこの日はさすがに硬さがみられ笑いの量はマッケーンの半分にも満たなかった。 彼のスピーチの後半は真面目な選挙キャンペーンとなりこの場にはそぐわなかった。 リラックスする夕食会では徹底したエンターテインメントにするべきである。 夕食会での勝負は完全にマッケーンの勝ち。 選挙中にこのような笑いの競争があるのが目いっぱい戦っている両陣営の息抜きになりジョーク好きの国民にも一息入れるいい機会になったと思う。

2008年10月9日木曜日

世界市場の連鎖崩壊

まさかと思っていた世界市場の連鎖崩落が始まって地球の自転にあわせて次から次へと株式市場の暴落が繰り返されている。 今回の暴落には銀行・証券・保険の大手金融機関の破綻が伴って資本主義のシステムそのものが危機になっているのだ。 
直接の原因はサブプライムローンの破綻ということになっており異論はないが制度そのものは低所得層にも持ち家をということで悪いことではない。 しかしその運営が無節操、無制限でしかもそれを証券化して世界中にばら撒いたことであろう。 
10年ほど前に私が今の家を買ったときも不動産業者(Weichart Realtor)からまずローンのオファーがあった。 金利は30 years fixedから条件に合わせて各種オファーされたがこのなかに変動金利も含まれていたように思う。 当時すでに金利が歴史的に低い水準にあったので変動金利では将来高い金利を払わされると思って30 years fixed rateでローンをセットしたと記憶している。 何ヶ月かあとにMortgage Co.がChase Mortgage Co.に変わったとの通知を受け取った。 私のローンはサブプライムローンではないがこれもWeichartがMortgageをChaseに売ったのだ。

法律上はともかくまともに考えれば貸し手も借り手も行き詰ることがわかっているような融資行為を”意図的に”薦めて貸し手はすぐさま債権化して売り逃げる。 これではあまり詐欺行為と変わらない。 しかしある程度それを知りながら手を出した大手銀行、世界の商業銀行も被害者であると共に共犯者といっても言い過ぎではない。 銀行は内でも外でも競争にさらされており利益至上主義から危ないと判っているような証券にも手を出さざるを得なかったということなのだろうか。 それとも格付けを信用して内容を知らずに買い込んだということなのか。 また証券会社・投資銀行は業績がよければエグゼクティブなら数百万ドル20代のトレーダーでも50万ドルのボーナスを手にすることが出来る。 たとえ損失を出してもボーナスが減るだけで彼らが責任を負うことはない。 これなら誰でも行き着くところまで言ってしまうだろう。 金融機関の救済策を練っている政府・議会もおそらくこの点には気づいていると思う。 だから救済に当たってはエグゼクティブの巨額のボーナスを制限する条項を盛り込もうとしているのだ。 国民は自分たちが収めた税金で無責任経営の金融機関を救済することに抵抗感を感じている。 しかも自分たちが少しずつ積み立てた401Kなどの退職積立金が大幅に目減りしているというのに。 もっとも割り切れないのは異常な市場環境でクレジットクランチがおき運転資金が借り入れられずに倒産した企業の従業員たちである。 世の中いつも不合理でしわ寄せは常に弱者のところにやってくる。

一昔なら当然取り付け騒ぎが起きていただろう。 世界金融恐慌を回避するため米政府、FRB,各国政府・中央銀行も緊急対策と昼夜を問わず対策に追われている。 G7の緊急救済準備金設置は評価される。 いたずらに自国の防衛にとどまることなく各国が協調しているのは毎年開催している首脳会談で今のような非常時に即対応できるコミュニケーションシステムが出来ていたからだろう。 西側国際社会のいい面が始めて証明された。 不幸中にも喜ばしいことである。

アメリカは確かに行過ぎた。 それに対してブッシュ政権は何もプロアクティブな対策が取れず改めて無能ぶりを発揮してしまった。 これはビジネスの行過ぎた自由主義のみならずアメリカの国民の過度な信用膨張生活にも原因があると思う。  双子の赤字(財政と国際収支)はとどまるところを知らずもはやUncontrollableなレベルまで来ているような気がするがいずれにせよ今までのような成長拡大一辺倒の経済運営は期待できないし方向転換すべきだろう。

国民は変化を求めておりアメリカは歴史の曲がり角に立っている。 新しい大統領にかかる責任はいままでのどの大統領よりも重いしリーダーシップを発揮してアメリカ再生に取り組んでほしい。 

2008年10月8日水曜日

米大統領選挙(44) 第2回ディベート

2回目のディベートがテネシー州ナッシュビルで行われた。 オバマのリードが広かる中マッケーンとしてはこの機会に挽回しなければ逆転はますます難しくなる。
今回のディベートは聴衆からの質問に答えるタウンミーティング形式で行われ今最も重要かつ緊急を要する経済危機とイラク・アフガニスタン問題に的が絞られたので双方の議論がかみ合って最も良いディベートであったと思う。
マッケーンはタウンミーティングでの議論を得意としており昨夜も今までとは違って迫力があった。 しかし過去の実績や政界での経験の深さを強調するばかりでにポリシーの具体性に欠け、将来の展望と期待、説得力という点でははるかにオバマに及ばなかった。 
マッケーンは陰でありオバマは陽である。 オバマには期待と希望がある。 ケネディにせよクリントンにせよ若い候補は未経験・未知数といわれながらも国民に希望を持たせることによって大統領になった。 各地の集会でもオバマの聴衆は笑顔が絶えない。 一方マッケーンの聴衆は固い。 
モメンタムは完全にオバマに傾きNational Poll(オバマ48-マッケーン44)もこれを証明している。 Key Swing Statesである次の5州でもオバマが追いつき追い越した。 Ohio(オバマ50-マッケーン47) N. Carolina(オバマ49-マッケーン49) Florida(オバマ48-マッケーン46) Missouri(オバマ48-マッケーン47) Colorado(オバマ44-マッケーン44) 
わたしはもう勝負あったと見ている。

2008年10月4日土曜日

Bailout Planは終わりか始まりか

Bailout PlanとMarket Reaction

一度否決されたBailout Planは預金者保護を$25万まで引き上げるオマケを付けて再び上程され上下院双方で可決された。 ブッシュ大統領が署名して早速発効する。 

アメリカ発の金融危機が世界に波及せぬようにと何とか今週末で決着をつけようとの大統領、財務長官、上下院首脳部等の必死の努力の甲斐あってやっと全面的な支援策が決定した。 審議の進展と投票の推移は国会チャンネルを通じてライブで放映されていたのでNY Stock ExhangeのFloorでも注目されていた。 朝方は今日はBailout Planが可決されるだろうとの見方とWachovia BankがWells Fargoに政府の支援なしに買収されるとのニュースが楽観論として流れマーケットは昼すぎには約300ポイントも上げた。
Bailout Planの可決がほぼ確実となったのは午後2時ごろなのでまだマーケットはオープンしていた。 私はマーケットはこれでもっと上を目指して強含みに推移するものと思っていたがマーケットは逆の反応を示しずるずる後退し-157.47で引けた。 安値で引けた理由は定かではないがBaikout Planno の内容が明らかになるにつれてマーケットを救済するには十分でない、即効性はないとという見解がながれたためか。 それとも先週の失業者登録が159,000人と急増したことによるのか。 
いずれにせよ金融市場の安定と再建はこれからであり危機の終焉とはいえないとの解説で今のところは期待より不安が勝っているということだろう。

私見では金融機関、大企業の金融支援はこれで一段落したと思う。  問題は個人の家計である。 一般的に言ってアメリカ人は生活を先食いしているといわれている。 目いっぱい借金して豊かな生活をキープているのだ。すなわち国も個人もその付けを将来払わねばならない。 過去10年以内に家を買った人は多額の住宅ローンをかかえている。 その上クレジットカードを数枚保持していてこれも目いっぱい借りている。 クレジットカードは自分の支払い能力内で毎月清算できればこれほど便利なものは無い。 しかし一旦自分の支払い能力で回らなくなると超高金利の支払いでいわゆる”サラ金地獄”に陥ることとなる。 クレジットカードといえば格好良く聞こえるがサラ金となんら変わるところは無い。 
その人たちにとっては金融市場が安定しようがしまいが彼らの問題は解決しない。 今後クレジットクランチにより金利が上がれば上がるほど生活を圧迫することは目に見えている。
サブプライムローンは住宅という目に見える”物件”が担保となっているがクレジットカードの場合は何も無い。 今のアメリカは国も個人も超スピード自転車操業、スピードを緩めればこけてしまうのでとことん走り続けねばならない状況だ。 

日本もヨーロッパも中国もその他の国々も今まではアメリカと一身同体で寄りかかりつつまた支えながら一緒にランニングしてきたけれど誰かが倒れればもはや支えられる人がいなくなって総倒れになってしまう可能性がある。 だからいやが負うにも協力しなければならないのだ。 世界に自由と富をもたらして来た”自由主義”と”民主主義”が崩壊しないよう祈るばかりである。

2008年10月2日木曜日

米大統領選挙(43) VPディベート

VPディベートとしては今まで最も注目されたディベートである。 

9月1日の共和党党大会直前に決定されたVY候補アカスカ州知事サラ・ペイランは影の薄かった共和党大統領候補ジョン・マッケーンを舞台の中央に引き戻し自らも怪しい社会面ニュースを撒き散らしながら一気にアメリカ国民の関心を集めた。 最初の演説の滑らかさと強気は共和党保守派と女性の支持獲得に力を発揮しPollでは数日でオバマを逆転してマッケーン リードに導いたのである。 マッケーン キャンペーン陣営の作戦が功をそうしたというべきか。
しかし9月14日のABCもインタビューで早くも中央政治と国際問題に関してはまったくの素人であることを露呈してしまった。 しかもインタビューでの自信の無さ、的外れの答えはデビュー直後の熱気を吹き飛ばして批判一色に塗り替えられてしまったのである。当然ながらマッケーンのPollは急落し逆転どころか各地で大きく水を開けられてしまった。

バイデンは上院外交委員長、法務委員長を勤める議会のベテランである。 各国の首相、外相にも面識の多いアメリカの顔でもある。

バイデン対ペイランのディベートは新入幕の関取が大関に初挑戦するようなもので勝負は初めから決まっている。 関心はペイランがどこまでボロを出さずに質問に答えることが出来るか。 (多くの共和党支持者はディベートで共和党の評価がたがたに崩れるのではないかと恐れていた。) バイデンは知識や経験からしてディベートで勝利して当然。 ただし調子に乗りすぎて失言(特に女性に対して)しないかと心配されていた。

ペイランは数日前からアリゾナのマッケーン・ランチでディベートの特訓を受けていた。 そのせいだろうか自分が答えられない質問に対してもうまくはぐらかして、またはすべてアラスカ州知事の経験にすり替えてしまった。 知識の無いことは相変わらずで繕いようがないがぼろぼろにならずに済んだのは上出来というべきか。 

一方バイデンはさすがに国際問題ではトップのベテランである。 特にマッケーンの姿勢をブッシュとなんら変わりないことをアッピールしていかに早期にイラク戦争を収拾することが大事であるのか、アフガニスタンの対テロ戦争に軍事力を集中してビンラディンのアルカイダをとタリバンを壊滅することが大事なのかを数字を挙げて力説した。 これは大いに説得力があり中間派、独立派の票獲得に力を発揮することになるだろう。

結果は両者とも期待以上の出来であった。 しかしこの結果が大きく大統領選挙に影響があるかというとそうではないだろう。 あくまで大統領候補、マッケーン対オバマの選挙であって
まだ後2回本人同士のディベートが残っている。 このディベートでマッケーンがオバマをノックダウンするほどのビッグパンチを繰り出さないとオバマ有利のモメンタムを逆転することは難しいだろう。

2008年9月29日月曜日

米議会 Bailout Plan 否決

Bailout Plan 否決

思わぬことが起った。 まさかこのような経済危機に政府が提案した経済救済策($700Bil. 不良債権買取法案)が議会で否決されるとは思はなかった。 私の常識などまったく通用しなかった。 この問題に関しては民主党も共和党も議員を拘束して投票しているわけではない。 投票結果 民主党(賛成140、反対65)共和党(賛成95、反対133) 総計205-228で否決された。

Bailout Planに賛成している議員は経済危機の救済が第一であるとの認識に立ち、反対している議員は巨額の救済資金を国民の税金でまかなうことが基本的に間違っているとの認識に立っている。 しかし現在の危機状態を認識しそれが自分の生活にどれほど深刻な影響があるのか、世界経済にどれほどの影響を及ぼすかが判っておれば法案の正当性よりも緊急性を優先するべきであった。 

アメリカの国民がいかに税金に対してSensitiveであるかを物語る一幕でありアメリカの議員さんたちがいかに選挙民を意識しているかの証拠でもある。

Wall Streetは失望売りで史上最大の下げ幅($777)を記録し国民に少なからず動揺を与えたようだ。 アメリカ国民はRisk Takingには慣れている。 投資に対するリスクもよく理解している。 過去に何度も大幅な市場の下落を経験しておりその際も一般国民は狼狽売りに追随していない。 昨日までは未曾有の金融危機といいながら人々は通常の暮らしをしており取り付け騒ぎも起きていない。 不思議なほど平常である。

明日からの各地の市場反応が注目されるが世界の市場を混乱させる発信もとでありながらその対策を否決するとは真に身勝手であり世界中から無責任との批判を浴びることになるだろう。

ブッシュ大統領と両党首脳部は法案再提出に向けて協議し議会と再交渉するはずだが米国市場のみならず各国市場への波及が心配だ。 

2008年9月26日金曜日

米大統領選挙(42) 最初のディベート対決

一度はディベートの延期を提案していたマッケーンが予定通りディベートに臨むことになった。 議題は経済問題特に現在協議中のBailout Plan ($700 Billion)とイラク戦争を中心とする国際問題が論議された。 議題があらかじめ準備・通知されていたことや今まで双方ともディベートを重ねてきたこともあり議論の内容には新鮮味がなく退屈であった。 関心は質問に対する答え方、お互いに相手の政策に対してどう切り込むのか、どう切り返すのか。 国民に対して明確に自分の信条を伝え、どれほど説得力のある論理の展開が出来るのかに集まった。
国際問題に関してはマッケーンに長年の経験があるので国際問題分析については一日の長がある。 しかしマッケーンが共和党の指名候補である限り不人気な現ブッシュ政権の影を払拭することは出来ないのである。 しかもマッケーンの話はベトナム戦争での捕虜経験からすべてがスタートしており過去の人との印象が強い。 イラク戦争の正当化はブッシュ以外は無理な話とわかっている。 アメリカとアメリカ国民にとっても何とか名誉ある撤退を期待している気持ちはわかるがこれにこだわっている限りイラクからの撤退は実現できない。 経験が正しい判断を生むとは限らない。
オバマは現実と将来を見ている。 はっきり言葉には出さないがイラク戦争を早急に収拾しないと現在の問題は何一つ解決できないと思っている。 
議論の内容はまったく退屈であったが両者の性格、自分の信条と将来の展望、論理の展開がにじみ出たディベートであった。 マッケーンは経験のメリットよりも懸念された高齢のデメリット(頭が固く新しい展望が開けない)が確認され、一方オバマは経験のなさよりも落ち着きと新しいアメリカの展開を期待させる雰囲気であった。 
私は55-45でオバマの勝ちとする。 来週のPollを見てみたい。

2008年9月25日木曜日

米大統領選挙(41) 金融危機と大統領選

昨夜ブッシュ大統領は大恐慌以来の未曾有の金融危機を乗り切るためにTV演説で国民の理解と法案の支持を求めた。 具体的には議会に提案中の$700Billion(約75兆円)のBail Out Plan(不良債権買取機構の設立と資金の提供)である。 
現在の米国金融市場は5大証券会社が経営危機に瀕しそのうち2社は倒産した。 説明するまでもなく非常事態、異常なマーケットの状況には違いない。 緊急な対策が必要で放置すれば世界市場を巻き込んだ金融大恐慌に発展することは間違いない。 それは判るが何しろ金額が巨大でピンと来ないのである。 アメリカ人口3億人の割ってみれば一人当たり$2,333
(約¥25万)である。 一戸当たり(Per Household)では$6,200(¥66万》になる。 これではいくら国家の危機といえどもすんなりと”Yes”とはいえないだろう。
サブプライムローンの破綻が世界金融恐慌を引き起こすほどの大事件になった原因は何でと”犯人”は誰なのか? いまはこれを詮索する時期ではないかもしれないけれどもともと支払い能力のない債務者を救済する措置を講じ今度は不良債権保有者を救済する措置を講じることになった。 私に言わせれば救済される借り手も貸しても今回事件の犯人である。 それを真面目な一般市民の税金で穴埋めしようというのは筋が通らない。 数百万ドル-数千万ドルに上る投資銀行/証券会社の役員報酬・退職金が理不尽というのは当然であり今後は制限されてしかるべきだろう。 自由主義経済の原則には反するが行き過ぎは調整されるべきである。
ブッシュ大統領は議会にも超党派で緊急に法案を通すよう求めているが各議員は緊急性を認めながらも国民の負担と懸念を知っているだけにおいそれと”OK”とは言えないのが実情だ。
結局25日夜遅くまで続いたホワイトハウスでの政府・FRBと議会主要メンバーの会議では大方の予想を裏切って結論がでなかった。 
ブッシュ大統領は実質後3ヶ月しかない。 この問題の処理は11月初めに選出される新大統領にも引き継がれる。 したがって明日9月26日に控えた両大統領候補のディベートでも当然白熱した議論が展開されるものと期待していた。 ところが共和党マッケーン候補が突然キャンペーンを中止しWasingtonでこの問題につき超党派で協議すべきでありディベートはキャンセルしたいとオバマに申し入れたのである。 表向きの理由は超党派で問題の解決に協力しようと最もらしいことを言っているが実際はこの一週間Pollは落ち目で再びオバマにリードを許していること。 また副大統領候補のペイリンが見識不足、特に外交無知といった弱点に加えアラスカ州知事として権力濫用の疑いがあるとの報道があり検察が捜査中である。
マッケーンとしては体勢を立て直す必要があり試合を中断するため急遽Time Outを取ったと見られる。 ディベートではどちらが優位であるかのPollも出ているがオバマが65-35で圧倒的にリードしている。 
今のところ26日のディベートが開催されるどうか定かではない。

2008年9月19日金曜日

米大統領選挙(40) 泥仕合のキャンペーン

ペイラン効果は何時までもつか?

9月1日に始まった共和党大会を一気に盛り上げたのが副大統領候補に指名されたサラ・ペイランであった。 9月8日のブログで共和党のスター誕生と記したけれど同時に真価を問われるのはこれからでメディアのインタビューにいかに答えどのように自分の中身を表現してゆくかにかかっているとも記した。 
最初のインタビューが9月14日のABCキャスター、チャーリー・ギブソンだったが早くも馬脚を現してしまった。 象徴的なのはギブソンが「ブッシュ・ドクトリンをどう考えるか」と質問したところペイランは「どういう局面について聞いているのですか」と逆に質問したが明らかに彼女はまったく知識がなかった。 一般人ならいざ知らず少なくとも共和党の副大統領になるかもしれない人が“普通のホッケーマム”でもよいが無知では困るのである。 ギブソンのインタビューも彼女の知的水準を見越しての随分意地悪で見下したような質問だったが外交の知識はゼロに近いことを露呈してしまった。 端的に言えばローカルのやり手のおばさんが州知事のスキャンダルを攻撃して批判票を集めて図らずも知事になってしまったというのが事実である。 彼女の知識はせいぜい家計や市政のやりくり程度、何が何でも突っ張りとおして自分の主張を押し通す馬力だけは認めよう。 しかしこれでは国政は任されない。 それを知ってか共和党のキャンペーン陣営はサラのインタビューを受けなくなってしまった。 一方的にまくし立てる演説会のみである。 質問は受けない。
しかし彼女のラリー(演説集会)には彼女を一目見ようと大勢の人が集まるので共和党にとってはまたとない集客広告塔である。 マッケーンの演説会は彼一人では人が集まらない。 このような状況では次第に人気も薄れてこよう。 “口紅を塗ってもブタはブタ”である。

双方ともキャンペーンは政策論争というより揚げ足取りと相手のイメージダウンを狙うダーティ・キャンペーンに終始するようになってしまった。 程度の低い泥仕合に落ちってしまった感がある。特にマッケーン陣営は劣勢を取り返すためオバマの政策をあることないことお構いなしの一方的中傷キャンペーンを流している。
たとえばオバマは$25万以上(総所得者の2%)の所得税を上げそれ以下の人(98%)の所得税は引き下げるといっているにもかかわらずマッケーンはオバマが所得税を上げようとしていると非難しているのだ。 
またマッケーンは“オバマは経済を知らない”とこき下ろしている。 なるほどオバマは経済が専門ではなく経済政策としては実績がないかも知れない。 然るにマッケーンはどうか? ブッシュはどうか? 現場から見れば彼らの方がむしろ経済を知らないのではないかと非難されてもおかしくない。 現在のアメリカ経済の混乱は誰の責任だろうか? 能天気大統領と共和党のせいではないのか?

アメリカでは正直だけでは通用しない。 攻撃されればそれ以上に反撃せねばならない。 常に攻めの姿勢を見せないとアメリカ人は着いてこないのである。 たとえ相手の言っていることが正しくても詭弁といわれようが自分のことを正当化し弁明し攻勢に転じなければならない。 これがディベートであり選挙戦だ。 どちらが正しいかというよりもどちらが勢いがあって“Commander in Cheif”-指揮官として相応しいかが大統領選挙なのだ。 

9月26日にオバマとマッケーンの2人だけのディベートがある。 楽しみにしている。

2008年9月16日火曜日

シアトル旅行(5) 総括

シアトル旅行(5) 総括

旅行から帰ってきてから1週間になるがまだ余韻に浸っている。 今までの旅行は100%観光またはリゾートでの休暇だったが今回はシアトルに行って気に入れば将来引越しようという下調べのつもりがあったのでかなり真剣に住宅街やタウンハウスも見た。 
空気がきれいで緑が多くエレガントな都市というのがシアトルの印象だった。 シアトルの町はアラスカ方面から日本、朝鮮、中国などのアジア諸国の交易で栄えた港町だ。 観光の中心は海岸からすぐはじまる急斜面にひな壇に並べるようにビルが立ち並んでいる旧商館や倉庫を活性化したPikes Marketだ。 そこから丘の頂上までがいわゆるダウンタウンで
他の大都市と同じように高層のオフィスビルが立ち並び中心街はNYとまったく変わらない。
違うのはNYほど人が多くないことだ。 

海岸の丘の上から数マイル東には南北35kmもある大きな湖 Lake Washingtonがあり丘陵地から湖畔にかけての傾斜地はシアトルの高級住宅街、家格も価格もNY周辺とほぼ同じ。 地方だからといって安くてよい家を探そうと思うと当て外れになるだろう。
何しろここ数年シアトルは不動産のブーミングタウンだそうだ。 アメリカ全般に不動産不況が景気の下降に拍車をかけている中でシアトルの不動産価格は高止まり。 まだ投資の価値はあるといわれている。 ダウンタウンはすでに飽和状態にあるので副都心ともいえるBellevueの新都心ではあちこちに建設中の高層オフィスビルと高層タウンハウスが見られ郊外でもオフィスビル、タウンハウス、一戸建住宅の建設ブームだ。 マイクロソフトを代表格とするソフト、IT業界が不況知らずということもあろうが目に見える範囲ではちょっと行き過ぎのような感じがする。

シアトルはどこに行っても起伏が多い。 スロープにできた都会は内からも外からも景色がいい。 晴れた日にはどこからでも雪を頂いたMt.Rainierが富士山よりも大きく見える。まして海と湖に挟まれいたるところに針葉樹の林があるシアトルの街は目で見る限り全米で一番美しい街といってもよいだろう。   

一番初めに定着したのがスカンディナビアンであったそうだが景色と気候からして納得する。(行ったことはないけれど) NYは人種のるつぼで世界のあらゆるエスニックが集まっているにもかかわらずまったく気にならないのだがシアトルは一定の人種があまりにも目だって特異感じがする。 まず目立つのがインド人。マイクロソフトを中心とするソフト業界が多いからかソフト関係の技術者と思しきインド人とその家族が圧倒的に目立つ。 
次がラテンアメリカからの移民。 郊外に出れば野菜畑か花畑、カスケードの東に出ればりんご畑、農産物の収穫は人手がなければ不可能である。ここで農作業をするのはほとんどラテンアメリカから来た人々だ。 NJでもそうだがガーデナー(庭掃除、芝刈り)もラテンアメリカのひとである。 
中国人は昔からバンククーバー(カナダ)、サンフランシスコ、ロスアンジェルスなど西岸各地に住み着いて商いを営んでいた。 シアトルも中国人の歴史は長くチャイナタウンもある。 Pikes Market内の店でもよく見かけるが商店の多くが中国人によって経営されている。 

私たちが訪ねた時は観光シーズンも終わりの9月初めだったがとても天気がよかった。 シアトルは7月から9月にかけて殆ど雨が降らず平均最高気温も25度、最低平均気温が13度。 日本の4月か10月から11月にかけての気温だろう。1週間だけではすべてを判断することは出来ないし特に冬場の冷たい雨が続く雨期に来てみればまったく印象が変わるかも知れない。 (総雨量はNYやボストンよりも少ないらしいが曇りで霧雨似たいな日が多いという。年間120日は曇りで10月から4月に固まるから秋から冬場にかけてはほぼ毎日曇りか雨ということか) それでもまた来てみよう、機会があったら住んでみようと思わせる土地である。 

2008年9月15日月曜日

サブプライム問題と金融不安

サブプライム問題と金融不安

サブプライムローン問題がなかなか収束しない。 そればかりか日を追うごとに各金融機関と世界の負債総額は膨れるばかりである。 ゴールドマン・サックスの計算によればいまや世界のサブプライムローン不良債権総額は1兆2千億ドルに上るという。
ここ数ヶ月リーマン・ブラザーズの経営ききがうわさされていたが昨夜まで続けられていたポールセン財務長官の斡旋も功を奏さずついに破綻してしまった。
次々と大手証券会社がつぶれるのは異常なことであり世界のマーケットに波及しないことを臨むばかりである。

これは総括的に言えばアメリカ人の行きすぎた楽観主義とブッシュ政権の無責任自由主義がアメリカのみならず世界中のマーケットの混乱を引き起こした。
従来の住宅金融制度が変わったわけではない。 住宅金融を低所得者層まで大幅に緩和といえば聞こえが良いが審査基準を超えた放漫貸付とこれを証券化して国際的に流通させたことがサブプライムローン問題拡大の第一原因である。 
しかしこのシステムとリスクを知りながら大量に引き受けかつ多くの金融商品に組み入れて販売した大手金融機関にも大いに責任がある。 
いったい誰が悪者なのかはっきりしてほしいが誰もこのことに言及しないのは「みんなで渡れば怖くない。行かなきゃ損損」と全員が危ない橋を渡ったからかもしれない。
しかしなぜここまでDefaultが膨らみ大手の銀行、投資銀行、証券会社が軒並み巨大な損失をこうむり経営危機に追い込まれたのか未だに理解できない。
メカニズムはっ理解できてもどうして債務超過になるほど損失が膨らむのか想像できないのである。 
昔なら世界金融恐慌になってもおかしくないような深刻な金融混乱である。 幸い今の世界は各国政府が協調して混乱を回避する努力をしているので世界恐慌にはならないだろうが米国のみならず世界各国の経済に与える影響は計り知れない。

アメリカ経済はこれからいよいよ落ち込みが激しくなるだろう。 なぜなら
不況が深刻化すれば失業者が増える。 個人消費はますます縮小する。
フォークロージャーの物件が多い上にさらに失業による売り家が増える。
不動産マーケットが下落して新規住宅建設が低迷する。
クレジット・クランチで金利が高騰し新規重要を冷やす。 
石油高でコストインフレ圧力が強まる。
ドルの信用がなくなりドル安の結果インフレが高まる。
いよいよ株安、債権安、不動産安、ドル安で下方スパイラルが起りそうだ。
これを止めるにははやす新政権が発足しすべてがドラスチックに政策転換しなければならない。
1980年代後半の経済危機をブッシュSr.政権がすばやく大胆な処置に踏み切ったのでアメリカは早く立ち直った。 あのときよりも経済は深刻でしかも複雑に国際化しており立ち直るのは容易ではないと思うがアメリカの国民はわかればすぐに実行するのでそれに期待している。 大統領選挙がイージーな人気取り政策に走らずまじめに論争するのを望むばかりだ。
これから始まる2回にわたる大統領候補同士のディベートと1回の副大統領候補のディベートが注目される。

2008年9月14日日曜日

シアトル旅行(4) N.Cascade国立公園

N.Cascade国立公園

4日目はNorth Cascade National Parkを訪ねることにした。 カスケード山脈の北にある山と氷河と湖の国立公園である。 シアトルからは5号線-20号線-53号線-2号線と回るループの観光ルートがあるが500マイル(全長約800キロ)あるので一日ではとても回れない。 本当は北の20号線が国立公園の中心でここを回るつもりだったがワイフが南側の2号線にあるドイツ村に行ってみようと言うのでルートの南を走ったら景色はきれいが氷河や湖はなかった。 お目当てのドイツ村はドイツの移民が村興しのために観光用として作った町で単なるドイツ風の建物の並んでいるだけ。 色あせた絵はがきを見るようでまったくがっかりした。 いまさら北ルートに回るわけに行かず少し東に進んでカスケード山脈の東側に出た。 西側は太平洋からもたらされる大量の湿気を含んだ重たい空気がカスケード山脈に当たって大量の雨をもたらし針葉樹のレインフォレストを育んでいる。 山を越えると一転して大きいな木や密な林は見られず山肌は枯草色となって景色が急変する。 カリフォルニア・サンノゼ近郊の景色に似ている。 川沿いの低地にはいたるところにリンゴ園があり収穫に入っていた。 そういえばワシントン州はアメリカ一のリンゴの産地である。 日本のリンゴもアメリカ人がここのリンゴを持ち込んで栽培したのがきっかけと聴いている。 アメリカのリンゴは種類が多いが主流は日本のフジに切り替わりつつありリンゴにかかわる日米交流は面白い話だ。 

帰りはボストンからシアトルに至る大動脈Hwy-90を走ってシアトルにもどった。 シアトルに入ってからまだ随分時間があったのでLake Sammamish 湖畔の住宅街を走りながらホテルにかえった。 空振り三振、盗塁失敗、無得点に終わったような一日だった。 ああもったいない時間を過ごしてしまった。 後悔しても始まらないが自分で作った観光メモを前日シアトルのレストランに忘れてきて出発前に十分に観光情報を把握していなかったこととが直接の原因。 それならそれで出発まえに再度情報を集めるべきでした。

2008年9月13日土曜日

シアトル旅行(3) オリンピック国立公園

オリンピック国立公園

オリンピック国立公園はプジョー海峡を挟んでシアトルの対岸のオリンピック半島の中にある。 フェリーで渡るのが最も時間が短くて便利な方法だ。 ちなみに料金は車と運転手込みで$12.50 運転手を除く乗客1人$7:50 二人で$20:00だから安いと思う。 それに初めての乗船であればシアトル湾内の観光クルーズを兼ねたようなもので結構楽しめる。



オリンピック国立公園は太平洋に面した幅100マイルほどの半島だが中央部の山岳地帯に万年雪を頂いた山々がそそり立っている。海岸では泳いでいる人がいるのにすぐ傍の山が夏でも雪がかぶっているのはちょっと想像できない景色である。 Kingstonから1時間ほどドライブしPort Angelsからビジターセンターに立ち寄って国立公園に入ることにした。 しかし入口に工事のため40分遅れがでると表示されていたので危惧していたがひっきりなしに行き交うダンプトラックの後を走っていては面白くない。まして往復80分の遅れが出れば予定が狂うので10分ほど走って途中でUターンして別のところに行くことにした。 
そこからまた東に1時間走ってクリスタル・レイクという氷河湖に到着。 周辺をドライブしてからまた国立公園内の山に入る道があった。 ゲートには係員はおらず中腹のロッジにて料金を徴収するという表示があった。 とりあえずそこまでドライブするつもりで走ったが行けども行けども森の中、 ところどころにトレッカーがクロスする道路標識がある。 ここもまたMt. Rainierと同様トレッキングしなければ本当の自然は体験できないのかもしれないと自分に言い聞かせてまたもや途中で引き返した。 結局海岸線を走りに走ってPort Towngentからフェリーで北周りでシアトルにかえった。  

このドライブには納得が行かなかったので2日後にKingstonにわたり今度はゆっくり南に下ってオリンピック半島東側を楽しむことにした。 入り組んだ海岸線の小さな町は美しく静かで日常生活とリゾートが共存するようなリラックスした雰囲気が漂う。 「この家はよい」「あの家は悪い」と入江に沿った細い道を車で走りながらまるで家探しに来たように家やタウンハウスを物色して回った。 シアトル近郊の売家は家の前のポストに取り付けた透明なボックスの中に売り情報を記載した写真付のチラシが入れてあるので1枚もらえばすべてがわかる。 このシステムは家探しに来た人にはとても便利だ。 オリンピック半島や湾内に点在する小さな町は日常生活には不便なようでも1時間に1-2本フェリーがありそれほど不便ではない。 住環境としては申し分なくしかもシアトルまでフェリーの待ち時間も入れて1時間以内で行けるとなれば市内に住むよりここに住むことを選択する人があってもおかしくない。 まして海や山の好きなリタイアーした人間にとっては理想の土地かも知れないと思った。 

帰りはBainbridge Islandからシアトル行きのフェリー二乗ったが快晴で海から見るシアトルダウンタウンの景色が一段ときれいにみえた。






2008年9月12日金曜日

シアトル旅行(2) Mt.Rainier

Mt.Rainier

Mt.Rainier国立公園の入口までシアトルから車で約2時間かかる。 Mt.Rainierは高さ4400mあり夏でも雪をいただく富士山のように美しい山だ。 別名タコマ富士という。 天気のよい日はシアトルからも良く見える。 
Mt.Rainierの麓に近づくにつれて道幅は狭まり次第に森の中に入る。 このあたりの針葉樹は50mはあろうかと思うほど背が高くまっすぐ点に向かって伸びている。 



道は麓の林を縫って次第に高度を上げ1647mの登山口Paradiseまでドライブすることができる。 ここが雪渓と氷河を上り頂上まで登山する人と夏山スキーをする人のベースキャンプで大勢の人で賑わっている。 周りに駐車場はあることはあるが訪れる車が多いので全部は近くに止まれない。 一方通行の崖っぷちの道の片側に延々パーキングロットが続く。 やっとのことで安全にとまれるスペースを見つけて山を見ると山はガスにつつまれてまったく姿を見ることができなかった。  大きな山は近くに来るとその大きさに圧倒されるがしばしば全容を見ることができず山全体の美しさも見ることができない。  私たちが来た日は天気が良いはずだったがどこからも山の頂上を見ることができなかった。





アメリカの国立公園はできるだけ公園の中心部まで車でアクセスできるようになっているがやはりトレッキングして自ら自然のなかに足を踏み入れないと本当の自然を楽しむことができない。 残念ながら私たちは今まで経験もなく装備もなくていくら素晴らしい自然とはいえ無防備で深い森の中の道を探索する勇気はない。 申し訳程度に500mほど渓谷沿いに歩いて引き返してきた。 それでも氷河が削った深い谷を見下ろしながら昼なお暗い林のなかを歩き酸素が濃くて樹木の匂いのする空気を胸いっぱいに吸い込むと体の隅々までれフレッシュしたような気がした。
ワシントン州の海岸線からカスケード山脈の東側にかけて広い範囲に背の高い杉やヒノキが密生する森(レインフォレスト)が続いているのは相当の降雨量があるからだろう。 7月-9月までは快晴で日中25度前後の快適な気候が続くが10月から4月までは雨の日が多いらしい。 頭の中にシアトルに引っ越してみたいという漠然とした期待があっただけに特に冬場の長く暗い雨期をどう過ごせばよいのか気になる。 いい気候のときに短期の観光で訪れるのと長期に住み着くのでは見方を変えなければならない。 
Paradise から山を下るとき山の急斜面に切り開かれた断崖の道は周囲の山々と延々と谷底を流れるコロンビア川を一望にするパノラマビューのドライブであったが高度恐怖症の私は景色を見る余裕もなく必死でハンドルを握りやっと通りぬけた難所であった。
帰りは時計と反対周りに国立公園の南東から北へ向かい途中で西に折れてI-5に出てシアトルに帰った。

2008年9月11日木曜日

米大統領選挙(39) ペイラン効果

マッケーン・ペイラン効果

マッケーンの氏名受諾演説は旅行中でLiveでは見ることが出来なかった。 その後数日間ニュースの解説や評論番組でスポット的に演説を聴くことが出来たが共和党大会以前とは随分迫力が違うと思った。 また内容がマッケーン本来の主張に戻っていた。 党大会以前は共和党保守派に遠慮してかなり遠慮した発言(明言を避けた曖昧な発言)が多かったが今回の演説では彼本来の見解をはっきりと主張していた。 これは保守派のPalinを副大統領候補に立て党内保守派を抑えたことによる結果であると思われる。 Palinはオバマ支持に傾いていた女性票を大きく揺さぶっている。 マッケーンは支持を決めていない中間層、 民主党・共和党sどちらにも属さない自由独立派の人々を取り込むための新しいキャンペーンスタイルをとり始めた。
今まで共和党全体の支持を得るため現ブッシュ政権とワシントン政界の批判を避けていたが党大会以降は現在の政治の改革を大胆に主張しはじめた。 “改革-Change”は本来民主党のスローガンであったが取り込まれてしまって民主党の影が薄れてきている。
9・11のテロ攻撃から7年目の慰霊行事を目前に控え国家安全保障とアルカイダ対策の重要性を改めて訴えた。 同時にオバマの安全保障に関する未経験とイラク撤退に関する見解を非難している。 これはマッケーンの政策のバックボーンになる国家安全保障の重要性を訴える絶好のタイミングである。
ペイリンで保守派を押さえかつ女性票の獲得に成功しつつありマッケーン自身もイラク対策以外は幅広く柔軟な政策を語り始めて中間層の獲得に効果を発揮しつつある。 Pollは大きくシフトし始めた。 
民主党党大会直後からペイリン演説までの数日はオバマがマッケーンを4-6ポイントリードしていたがペイリン演説から党大会終了までにマッケーンが急速に追い上げ今週に入って各種Pollの平均値は1-3ポイントマッケーンが逆転リードするに至った。
なんというペイリン効果であろうか。  メディアもびっくりといった感じである。
選挙戦も第3コーナーを回りホームストレッチに入ってきた。 いずれにせよ最後までデッドヒートは続くだろう。 2000年のフロリダ州での投票再カウントのシーンが頭をよぎった。 あの時以上にアメリカ国中が緊張するに違いない。 

2008年9月9日火曜日

シアトル旅行(1) シアトル市内

シアトル市内

ニューアーク(NJ)空港よりシアトル(WA)までは約6時間かかる。 時差が3時間あるのでNJを朝8時に出た飛行機はシアトルに午前11時前に着いた。 ホテルのチェックインは午後4時以降なのでそれまでにシアトル市内の観光をすることにした。
レンタカーで空港を出たらすぐに背の高い杉木立に囲まれた住宅街を通って高速に乗る。 他のアメリカの大都市空港と違って周辺は煩雑な感じはなく静かで空気がきれいなのでシアトルはきれいな町なのだろうと直感した。

20分ほど走ればシアトルのダウンタウンに入る。 シアトルのNo.1観光スポット、 パイクス・マーケットを見ることにした。 シアトルの町は海岸線に迫った丘と急斜面に町ができている。 サンフランシスコを凝縮して南北に伸ばしたと考えればよい。

パイクス・マーケットは海岸から道ひとつ隔てた急斜面に建てられた6階建ての元倉庫兼オフィスビル(自分の想像)で最上階がグランドレベル(上から数えれば地上1階)のFirst Ave.と Western Ave.の間に市場が並んでいる。 魚屋、果物屋、野菜、花屋、レストラン、雑貨にコーヒーショップなど(もちろんスター・バックスもある)なんでもある。 日曜の午後とあって観光客と地元の買物客で込み合いなかなか自由に歩けない。
これほどの人出があればお店も気合が入るというものだ。 魚屋では鮭など店頭にある大きな魚が売れるたびに売り子のお兄さんたち全員が囃子言葉(?)で大声を上げ魚をまるごと調理のために店内に放り投げる。 一種のパフォーマンスに違いないが活気があって楽しい。

(市場の通りで演奏するグループ、 軽やかなメロディが心地よく多くの観光客が立ち止まる)
昼過ぎになって時差の関係もあり随分お腹が減ってきたので軽くランチにすることにした。 マーケットのなかで列ができているレストランがあったので覗いてみるとトム・ハンクスと女主人が並んだ写真が飾って合ったので“Sleepless In Seattle”の撮影にでも使われたのかなと思いとりあえずここで食べることにした。 2階(海岸からすれば10階ぐらいの高さになる)の窓際に座り発着するフェリーや観光船、彼方のオリンピック半島を眺めながらのランチは素晴らしかった。 ただしこれは景色だけの話で注文した食事(私はClam Hash、ワイフはClam Chowderにサンドウィッチ)はまったく普通のアメリカン。 シアトルは食べ物がおいしいと聞いていただけに第一打席は空振りの三振に終わった。 (このレストランは日本の観光ブログにも出ていたがレストランの評価ほどあてにならないものはない。 今まで何度も失敗しているが知り合いのない土地ではどうしようもない。 レストラン探しは同年代で同じ趣向をもっている友人の紹介以外はあまり期待しないほうがよい) 
後日ダウンタウンのベトナム料理でランチをしたがここは大変おいしかった。 

ホテルはダウンタウンから10マイルほど離れたRedmondにあるResidence Inn、郊外のショッピング・モールに隣接したモーテル、キッチン付のエフィシェンシー・ルームで普通のホテルの部屋に比べてゆったりしておりBuffeでの朝食付き、 車で2-3分も走ればよいグロサリーもあり7泊滞在するには丁度よい広さと便利さである。 

ダウンタウンからホテルまで20分ほどのドライブだが湖を横切り丘を越え林を抜けるハイウェーは今まで訪れたことのある全米の大都市の中では見ることのできないきれいな景色だった。

2008年9月8日月曜日

米大統領選挙(38) ペイラン起用の理由

新人サラ・ペイラン代打満塁ホームラン

共和党VP候補サラ・ぺイランのベイルがはがれつつある。
マッケーンが彼女をVP候補とした理由は
1.彼女がエバンジェリスト(キリスト教福音派-保守的キリスト教徒)で保守派の支持を固めたこと。
2.予備選の段階で圧倒的ヒラリー支持であった白人労働者階級の支持を取り込むこと。
3.また女性大統領の誕生を願っていた多くの女性票(民主党ヒラリー支持派)を取り込むこと。
マッケーンは党内の支持基盤が弱いのでこのままオバマ民主党と戦うことができない。 選挙戦略として彼女を支持基盤の弱い上記3っのグループとのコネクションを図るため彼女を起用したとすれば十分に納得できる。

日本人と違ってアメリカ人は自分の意見やバックグラウンドを積極的に公表する。 選挙に対しても一般の国民の70%は基本的に誰を支持するかを決めている。 残り30%はSwing Voterとしてキャンペーンを聞きながら後2ヶ月の間に投票する候補を決めることになる。 この30%もかなりはっきりしたグループに色分けされてくる。 つまりマーケティングがしやすいが両党が拮抗しているだけに一歩間違うと命取りになる。

だからVP候補選びは非常に重要な意味を持っている。 オバマ民主党は誰もが納得するような有力議員を選んだ。 常識の線上で最大公約数を取ったと思われる。
一方共和党は無名の女性候補を選んだ。 十分計算づくとはいえ博打である。
皆があっと驚いたと同時に“なぜ”という疑問詞がついた。 娘さんの妊娠騒ぎのおまけまでついた。 しかしこれでメディアはじめ全員の目がそちらに向いてしまった。 オバマ・バイデンコンビはとたんにメディアの主役の座を奪われ霞んでしまった。 
ともすれば派手さに欠けるマッケーン共和党の党大会を彼女の演説で一気に盛り上げてしまった。 大きく差をつけられている共和党の7回裏の攻撃で新人が満塁ホームランを放ち一気に同点にしてしまったのである。
注目していたPollは9月7日で48%対48%となった。 後2回(2ヶ月)残すのみとなった。  つい数日前までオバマの楽勝と読んでいたが予断を許さなくなってきた。
まるでドラマチックなフットボールや野球の試合を見るようなアメリカの選挙の面白さである。

米大統領選挙(37) 共和党スター誕生

共和党スター誕生

共和党大会は9月1日から4日間ミネアポリスで開催される。 同じ日に大型ハリケーン・グスタフがメキシコ湾からルイジアナに上陸するとあって3年前のハリケーン・カトリスによる大被害の二の舞にならないようニューオルリンズの住民は強制避難させられることになった。 TVはこの報道に貼り付けとなって共和党大会は急遽予定を変更せざるを得なくなった。 共和党としては出鼻をくじかれる不安なスタートになった。

注目はなんと言っても数日前に発表された副大統領候補サラ・ペイランの氏名受諾演説である。 彼女のことはほとんどの人が知らないしVP候補として発表された直後に彼女の17歳の娘さんが妊娠5ヶ月であることが報道されこれが保守派 (いわゆるSocial Conservatives) の代表と目される彼女の家庭に “起こりうる“事なのか閑閑諤諤大騒ぎになってしまった。 彼女の問題だけでなくマッケーンが前以てこれを知っていたのか、知っていてなぜ彼女を指名したのか誰もが疑問に思うところである。 取り扱いを間違えば共和党が戦う前に沈没しそうな爆弾ニュースであった。

しかしこんな不安とプレッシャーの重なる中で彼女の受諾演説はすべてをぶっ飛ばすほどの素晴らしい出来栄えであった。 

目だった経歴もなく知名度も低い(全国的には阿智得たことだろう無名に等しい)一人の女性が一躍大政党のVP候補として登場し堂々と国民を納得させるような演説をした。 これがアメリカの底力である。 もっともこの素晴らしい演説を書き上げたスピーチライターが居るに違いないがそれを数日で立派にこなすのは十分な才能である。
演説内容の8割は国家の安全保障とエグゼクティブ・マネージメントの経験に費やされた。 オバマのイラク戦争に対する姿勢を敗北者として捕らえ国家の重大事に関して判断する経験の無さを大統領としての資格なしとこき下ろす戦略である。 同時に自分の家族を紹介するにあたり自分を“Hocky Mom”と称し自分の夫は漁師であり息子はイラク戦争に参戦中、二人で5人の子供を育ててきた普通の家族であることを強調した。 
つまり大都市を除くアメリカの大部分のスモールタウンのスモールファミリーと同じクラスであることを強調してこのクラスを取り込もうとする作戦である。 これは過去2回の選挙でブッシュがとって成功した選挙戦術でもあるのだ。 共和党が練りに練った完全な選挙演説といってよいであろう。 彼女もその役割を十二分にこなしたので共和党はじめメディアの承認を勝ち得たことと思う。
しかしこれはあらかじめ描かれた塗り絵をきれいに仕上げたに過ぎない。 今後メディアのインタビューとVP同士のディベートが待っている。 その時が彼女の真価を問われるぶっつけ本番の試練である。
これで民主党対共和党の勝負は五分五分となった。 次回のPollの数字を見るのが楽しみである。

2008年8月29日金曜日

米大統領選挙(36) 共和党VP候補

共和党副大統領候補 

9月1日(月)から共和党大会がミネソタのミネアポリスで開催されるがそれに先立って本日(8月29日)にマッケーンがVP候補をアラスカ州知事・Sarah Palinにすると発表した。  Sarah Palin, Who? がメディア初め大方のFirst Reactionである。 44歳の女性知事でまだ2年前に初当選したばかり。 中央政界ではほぼ無名でメディアにもサプライズと報道されている。 
実際に彼女を副大統領に指名した理由は単純に考えれば民主党の不満票、ヒラリー支持票を女性候補を立てて集めようということか?  もし女性候補を立てれば女性票が集まると考えるのはあまりにも胆略過ぎる。 また民主党のVP候補 ジョー・バイデンに対抗するには少々役不足ではなかろうか。

彼女を評価するには時間がたりないが今頃各メディアのレポーターが情報集めにアラスカのアンカレッジを走りまわっていることだろう。
民主党党大会でオバマが指名受諾演説をしたあとオバマ支持が5ポイントジャンプした。 今週初めからオバマとバイデンは精力的にキャンペーンに出ている。 どこでも超満員の聴衆、笑顔と歓声で勢いに乗っている。 

先週初めPollではマッケーンとオバマの差は1ポイントまで狭まったがまた開いてしまった。 共和党大会で巻き返しできるかどうか微妙な空気になってきた。

米大統領選挙(35) オバマ受諾演説

四日目民主党大会のクライマックス‐オバマの大統領候補指名受託演説はデンバーInvesco Stadiumに舞台を移して行われた。 通常フットボールゲームで満員になっても65,000人のスタジアムに85,000人ものオバマ支持者がつめかけた。 政治のコンベンションとしては空前の規模である。 

演説の前に彼のBiographyがスクリーンに流された。 彼は公民権法が施行された後に生まれたとはいえまだ人種偏見の根強く残る1960-70年代に彼がまっすぐに将来をみて育ってきたのはなぜなのかを明らかにする答えがここにあった。 それは母と祖父母の愛情であり強く生きていれば未来が開けるという希望があったことである。 その上にアメリカのオープンな教育システムがあった。 オープンな選挙システムがあった。 彼がここまで成功したのは愛情、教育、真の民主主義的政治システムのおかげだということを彼自身がよく知っている。 彼のBiographyと演説の間に乖離はない。 
彼がハーバード・ロースクールを卒業した後引く手あまたの東部法曹界、金融界を振り切ってシカゴに戻りサウスサイドシカゴの恵まれない人々のために活動を始めた。 彼は卒業と同時に政治の原点の活動を始めたのである。 貧しい育ちの人は豊かな生活を求めて勉学に仕事に励む。 恵まれた環境に育った人たちでさえより豊かな生活を求めて勉学や仕事に励む。 これは何も悪いことではない。 しかし彼は自分自身の生活ために勉学に励んだのではなく生きるために苦労している人々を助けるために自分が何をするべきか初めから問い続けた。
この事実だけで彼が本当の政治家としての資質・資格を備えているといっても過言ではない。
だがそれだけでは大統領指名候補にはなれない。 マイノリティの票を100%結集しても白人の大きな支持がなければ今のアメリカでは指名候補にはなれないのである。 言い換えればケネディ家を初めとする進歩的なアメリカ人が年月をかけて本当に開かれた市民社会を目指して活動してきたからこそ黒人大統領候補が誕生した。 これはオバマの勝利というよりもアメリカ市民社会の勝利というべきであろう。  だから今回の民主党大会は民主党のみならず多くの自由人、共和党の一部リベラル派も含めて大いに盛り上がりアメリカの前進として喜んでいるのだ。

オバマの指名受諾演説は彼の信念・政策を力強く明確にアッピールした。 ブッシュ政治とマッケーンの政策が90%はオーバーラップしていることを指摘しながら強烈にマッケーン・キャンペーンを批判した。 その上に家族の絆が大事であること。 無駄な戦争はしないこと。 国民皆保険を目指すこと。 教育を質の高い充実したものにすることなど予備選キャンペーンから打ち出してきた政見の総まとめを披露した。 Biographyから彼の演説の終わりまで彼の言動にはうそがない。 政策実行の段階になって多くの制約があることは彼自身も国民もわかっている。 大事なことはアメリカが目指す方向を内外にはっきりと示すことであり将来に改革の希望があるかどうかということだ。 オバマはそれをはっきりと国民に示した。 そしてこの選挙は「私の選挙ではなくあなた方の選挙なのです」と締めくくった。 その通りだ。 

2008年8月28日木曜日

米大統領選挙(34) 期待される副大統領

期待される副大統領

1月初めから約5ヶ月かけて各州で行われた予備選の結果は暫定的で正式には党大会の投票で過半数の代議員を獲得した候補者が正式の党を代表する候補となる。 (実質的にはオバマ候補が指名獲得することは間違いないが)
その投票が3日目の午後4時ごろから始まった。 通常なら州予備選の結果選出した候補に自州に割り当てられた代議員数を100%この候補に投票するのが慣例であるが今回はヒラリー支持者の強い抵抗にあって党大会でも代議員が自由にヒラリーを候補者として投票することが認められていた。
しかし民主党本部としてはかかる方式はいかにも民主党が未だに分裂状態にあることを世間に見せ付けるようで何としても回避したかった。 ぎりぎりまで折衝を続けたが結局話し合いがつかず各州代表によりオバマに〇〇票、クリントンに〇〇票、棄権〇〇票と投票数がアナウンスされていった。 結果はもちろんオバマがヒラリーに大差をつけて開票がすすめられたがほぼ3分の2を過ぎたころニューヨーク州の投票報告の場にNY代議員と共にヒラリー・クリントンが現れ投票を中止して会場の歓声(Acclamation)でもって指名候補を選出する動議を提出した。
これを受けてナンシー・ペローシ下院院内総務(民主党党大会委員長)が会場に向かってオバマ候補を民主党指名候補にするかどうかを問いかけこれに対して会場は“アイ”と応じてここに正式にオバマ民主党候補が誕生したのである。
初めて黒人が2大政党の大統領候補に選ばれた歴史的瞬間であった。 しかもアメリカの改革という大きな期待をこめて! ついで副大統領もジョー・バイデンに正式に決定された。

正副大統領候補が選出された後の焦点はビル・クリントン前大統領のオバマ支持演説でどのような形で表明されるのか大いに注目された。 何しろ5ヶ月にわたる指名選挙中にオバマ候補に対するネガティブ・キャンペーンを繰り返しヒラリーが予備選撤退を表明した後でもなかなか融和する気配を見せなかった。 アメリカ人には珍しく感情的なこだわりを残し多くの民主党関係者を心配させてきた。 このような状況では演説は非常にむずかしい。 表面は取り繕っても30分もTVにクローズアップされると心のうちまで映し出されてしまうような気がする。 演説前の2-3時間前に会場に座っていたころのビル・クリントンは浮かぬ顔をしていた。

演説では開口一番完全なるオバマ支持を表明した。 そのための理由付けも演説内容も申し分ないものであった。 演説の上手な元大統領が下手なことを党大会でするわけがないので安心して聞いていたがオバマが特に外交に対して未経験という批判と不安に対して自分が最初に大統領に就任したときのことを引き合いに出し経験よりも判断が重要であることを強調した。
経験者が常に正しい判断をするとは限らない。 現ブッシュ政権が外交上で大きな失敗をし中東での混乱、イラク戦争での失態など米国経済のみならず世界経済まで混乱に至らしめるほどの判断ミスをしていると痛烈に批判した。 これはブッシュ政権の批判だけではなくオバマが今まで上院での投票履歴が示すよう自分の信念に基づき正しい判断をしていると見解を披露した。  これは正しい見方でありオバマの未経験を危惧するにあたらない。
ビル・クリントンは自らの経験と論理で以ってオバマの大統領資格を公式認知したのである。

またオバマが副大統領候補に上院外交委員長のジョー・バイデンを選択したことも大いにヘルプである。
本日の最終演説は副大統領候補ジョー・バイデンであった。 彼はペンシルバニア州のワーキングクラスの家庭で育ちデラウエア州から上院議員として当選して以来36年もの間議員生活を続けている超ベテランである。 65歳といえども彼はエネルギッシュで明るい。 アメリカ人が最も好むアメリカ人である。  外交委員長・法務委員長として議会に精通しているゆえにオバマが大統領になれば議会とのパイプ役としても大いに力を発揮するであろう。
また国外でも良く顔を知られており外交のサポート役としても大いに期待できる。 頼もしく信頼できる副大統領になるだろう。
オバマ・バイデンのコンビはアメリカ国民の期待に十分こたえてくれる才能と経験を兼ね備え政治の信頼を取り戻すに違いない。

2008年8月27日水曜日

米大統領選挙(33) ヒラリーの応援演説

ヒラリーの応援演説

予備選で二つに分かれた民主党の結束のキーを握っているのはヒラリー・クリントンである。 
党大会2日目(26日)のヒラリーの演説は民主党のみならず共和党も含めて全米の注目するところであった。 2ヶ月前にヒラリーが予備選レースからドロップアウトしてから今日までヒラリーもビル・クリントンも言葉ではオバマを支持するといいながら本当に100%支持するのかどうか疑問視する声が多かった。 オバマが本選で負ければまた2012年には再チャレンジのチャンスがめぐってくる。 オバマが本選で勝てば2016年までチャンスはない。 政治の本道を離れてヒラリーの損得だけを考えればオバマが本選で負けることを望んでいるといわれてもおかしくはない。

現在民主党におけるヒラリーの役割は本選でオバマに投票することをためらっている支持者にオバマに投票させることである。 熱烈なヒラリー支持者に一時の感情に走ってマッケーンに投票するようなばかげたことをしないよう強い口調で説得した。 ヒラリーの演説は一点の翳りもなく100%オバマを支持するに十分な内容と説得力に満ちていた。 演説草稿者がいかに論理を明確に構築し一語一語を吟味して草稿したかが伺われる演説でもあった。 しかも彼女自身の考え方、将来に対する政策上の注文も忘れなかった。 もともと演説は数多くの議員の中でも1-2を争う名手である。 その上今回は何度も自ら目を通し繰り返しリハーサルしたに違いないと思われるほど完璧であった。
キャンペーン中にも感じたが彼女は誰よりも大統領にふさわしい資質と才能を兼ね備えた人物である。 しかし時が味方しなかったのか何かが欠けていたのかついに初の女性大統領は誕生しなかった。
 
しかし今回のオバマ支持演説は民主党に対してもオバマに対してもまたヒラリー自身に対しても100%価値のある有効な演説でヒラリーの政治家としての評価も再上昇するに違いない。

2008年8月25日月曜日

米大統領選挙(32) 民主党大会

主役:ミッシェル・オバマ

民主党大会がはじまった。  25日(月)から28日まで(木)の4日間民主党の主要人物がオバマ候補を盛り立てるため共和党の現ブッシュ政権の失政を非難しマッケーンの政策をその延長として批判する。 その上に全米の耳目を集めているのはオバマが本選で勝てるか否かは予備選で最後まで激しい戦いを続けてきたオバマ陣営とクリントン陣営がいかに結束できるかにかかっているからだ。 だからオバマ支持演説に立つ民主党のVIPたちは民主党内部に向けても慎重に言葉を選んで演説しなければならない。 従来とはまったく異なった緊張感に満ちた会場の雰囲気となった。 

初日の主要演説者はナンシー・ペローシー下院院内総務、キャロライン・ケネディ、エドワード・ケネディ上院議員、ミッシェル・オバマである。
エドワード・ケネディ上院議員は春に脳腫瘍で倒れ病気療養中にもかかわらず元気な姿を見せオバマ支持の強力な演説を行った。 予備選中の重要な時期にオバマ支持を表明して以来ケネディ家は強力な援軍となった。 本選でもヒスパニック・ラティノ社会には絶大な影響力を発揮するだろう。 誰よりも強力な味方である。

本日最も注目されたのは当然ながらミッシェル・オバマである。
彼女は予備選期間中に「今回アメリカを初めて誇りに思った」と発言して多くの批判を浴びた。 それだけに今回の演説は言葉を選びながら落着いた口調で自分自身とオバマ候補の生立ちと経験を話しながらいかに自分たちが庶民レベルの生活や弱者の苦悩を自分のこととして理解しているかを訴えた。 実際に彼らはハーバード・ロースクールを卒業してからシカゴにもどり弁護士をしながら貧困地域であるサウスサイド・シカゴの再生に取り組んでいる。
マイノリティと貧困の社会からトップエリートまで上り詰めた2人の半生記は新しいアメリカ社会のお手本でもある。 現在はアメリカのエリートには違いないがこの二人が貧困と差別を語るとき彼らの言葉を疑う人はいない。 そしてこの二人が社会の改革を訴えるとき多くの人が共鳴するのである。

この日の彼女の演説は内容も口調もすばらしかった。 並みの才媛ではないことは判っていたが今回ファーストレディとしての資格十分であることを証明した。 演説が終わった後二人の娘さんが登場し同時に大きなバックスクリーンに映し出されたオバマ候補と家族の会話を交わした一瞬はナイスファミリー・オバマ家を印象付けるに十分な演出であった。 
十分に計算された演説や演出であるがそれを演じるアメリカの政治家は随分役者である。

2008年8月24日日曜日

北京オリンピック閉幕

北京オリンピックは世界を近づけた。

北京オリンピックは息を呑むほど華麗で斬新な演出で世界の人々の魅了した開会式で始まり毎日多くの世界記録をぬりかえるなど白熱した競技がつづいた。 閉会式も開会式に劣らぬ豪華な演出でこれが共産主義中国なのと今までの自分の中の中国のイメージとあまりにもかけ離れているのである種のショックを受けている。

主催国中国の活躍はメダルの数に表れている。 金メダルの数は51個とダントツの一位、メダル獲得総数は100個でアメリカについで第二位、中国の実力、13億の人民の底力をを見せ付けられたオリンピックであった。 中国国民の自信と誇りを満足させるに十分な成績ですべての点で北京オリンピックは成功したといってもよい。  私が認識を新たにしたように世界の人々の認識度も変わるだろう。
(各国メダル獲得数:読売Online http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/record/me.htm )

東京オリンピックで日本の街も人も変わったように中国国内でも町や人も変わってくるだろう。 オリンピック開催以前に心配されていた運営や中国国民の観戦マナーも特に問題なくすばらしい演技や試合には外国選手・外国チームにも惜しみない拍手を送っていたことを思えば中国全体が早晩国際的にもトップレベルの市民社会の仲間入りすると思われる。 私が認識を新たにしたように世界の人々の認識も変わるだろう。 
いたずらに中国の遅れているところを指摘するだけでネガティブな見方に固執してしまうと自分が置いてけぼりになってしまう。 

オリンピックは国別対抗競技だ。 国別べダルの数はいろんな意味で各国の力また勢いをあらわしているように思えてならない。
中国、アメリカ、ロシアのトップ3は世界の大国でで驚きはしない。 それ以外の国の活躍で注目されるのは韓国とイギリスである。 韓国は金メダル獲得13個(7位)、総メダル獲得数31個(8位)は大金星といってよいだろう。 まさに世界のRising Sunといってもよい活躍ぶりである。 日本は野球も韓国に完敗したけれど隣家の活躍に心から拍手を送ろう。
イギリスは金メダル19個、総メダル数47個堂々の4位である。 次回開催国の維持を見せた。

日本は金メダル獲得数では8位、メダル総数では11位よく健闘したほうだと思うが人口や経済力に比べると物足りなくスポーツではかひ弱さを感じる。 オリンピックは日本人の性格や社会におけるスポーツのあり方を感じさせる時間であった。

2008年8月23日土曜日

米大統領選挙(31)オバマ/バイデン

オバマ VPを選択

メディアは数日前から民主党のVP候補をインディアナ選出上院議員エヴァン・ベイ、バージニア州知事ティム・ケイン、デラウエア選出・上院外交委員長ジョー・バイデンの3人に絞っていた。
22日(金)の朝には消去法でジョー・バイデンが最有力と伝えていた。

23日午前3時にオバマ候補が約束していたように支持者にはE-mailでVP選択を伝えられた。 それ以前にLA Timesがこのニュースをスクープしたようである。

私はジョー・バイデンの選択が大統領選挙にも大統領の補佐としてももっとも適切で強力なコンビであると思う。 ジョー・バイデンは議員暦36年、上院外交委員長・上院法務委員長として内外に顔を知られている実力者である。 オバマが未経験といわれている分野をカバーするには最適に人物であり彼の明るく気さくな性格はアメリカ人が最も好むタイプの人間である。 

この1週間ほどオバマの人気は下降気味でポールではマッケーンとの差は1-2ポイントに狭まってしまった。 北京オリンピック最中のグルジア紛争が夢を描いていたアメリカ国民を厳しい現実に引き戻した。 オバマは予備選の間アメリカの現政権を批判しアメリカの理想を語った。 マッケーンは現実への対処を重視した。 アメリカの大半の国民はイラク戦争は間違いだとしておりテロとの戦いにも疲れが見えている。
何か新しい希望が必要なところに理想を掲げたオバマが登場し熱狂的に歓迎した。 国民は“Something Change”を望んでいる。 しかし現実は甘くない。 国際的にはグルジア紛争が勃発し国内的には金融システムが揺らぎ不況色を強めている。 予備選の間しばらくアメリカの理想に酔っていた国民が厳しい現実に酔いを醒まされたということだ。

大統領選挙本選はマッケーンの現実論かオバマの理想論かということになる。

理想や希望を忘れてはアメリカがアメリカでなくなるのでアメリカの国民のみならずアメリカを世界の希望と思っている外国の人々にとっても今回の選挙は重要なのだ。
民主党がオバマvs.ヒラリーの確執を忘れてオバマ/バイデンをサポートすればオバマ大統領の誕生は確実になる。 

2008年8月18日月曜日

オリンピック 報道と政治

北京オリンピック なかなか見られない日本の試合

開幕してから1週間たった。 主催国中国とアメリカの活躍が目立つ、金メダルの数は中国、総メタル数はアメリカがリードしている。 ついでロシア、ドイツ、フランス、イタリアとヨーロッパの主要国が続いている。 アジア勢では韓国の活躍がめだっている。 日本は予想どうりというところだろう。
実はこの数字インターネットでUSA Todayから拾ってきたものだ。 アメリカではNBCが放映権を取って報道しているが内容はアメリカのゲームばかりで日本のゲームは殆ど写らない。
Liveの放送はもちろんあるがアメリカの選手が出場しメダルが取れる試合ばかりで柔道にせよ卓球にせよ試合の放映はおろか結果さえも報道されない。 
NBCは民間放送で広告収入でビジネスが成り立っている。 したがって米国で人気のあるスポーツでしかも入賞可能なスポーツを放映して視聴率を稼がねばならないこと理解できるがアメリカは多民族国家で多数のエスニックが母国選手の活躍を見たがっていることもわかってほしい。
結局私は北島選手の100m・200m平泳ぎの優勝は見ることができなかった。

最近のオリンピックは種目が多すぎるので一日24時間報道を続けても全部を放映することは難しいだろう。 世界的にポピュラーでない野球やソフトボール、ハンドボール、毎年4大トーナメントがあるテニスなどははずしたらどうだろう。 
オリンピック委員会は拡大するばかりでなく次回からもう少しコンパクトにすることを考えるべきだ。 
オリンピックが国別対抗戦が原則なのはわかるが今回の中国ようにあまりにも国家が前面に出て国威発揚の場として利用されると純粋にスポーツの祭典とはいえなくなってしまう。


追記: NBCの系列でケーブルTV局、ニュースのMSNBCと経済マーケットニューズのCNBCでもオリンピックを放映していた。 それでも原則はおなじ事、 アメリカ選手が活躍する競技以外はなかなか見られないのである。 

2008年8月14日木曜日

息子の誕生日

息子の誕生日

今日は息子の誕生日だ。 はや33歳になる。  
アメリカで働き始めてから10年、 仕事にも人間自身も自信ができてきたように見受けられる。 一家にあってはよき夫、 二児のパパである。 
頭はよいほうだが学校での勉強は好きではなかった。 もちろん秀才タイプではない。 成績は中の上。 親に似て背も低くハンサムとは言いがたい。 何事につけ常にスロースターターで初めから先頭集団で周囲の注目を集めることもない。 しかしレースが終りに近づけばいつも先頭にいる。 強力なリーダーシップを発揮するわけではないがいつの間にか集団の中心にいる。 男女を問わず秀才からドロップアウトまで友達の幅は広い。 日本人の駐在員の子弟としては(現在はグリーンカード保持者であるが)もっともアメリカ社会に溶け込んでいるうちの一人だろう。

彼自身はサッカーのおかげだといっている。 彼は4歳から19歳までサッカーを続けてきた。 
走るのが速く身のこなしもきれいで高校まで学校や所属クラブの主力選手として活躍したおかげでいつも注目を集めていた。 本来控えめな息子だったがスポーツに言葉は要らない。 言葉のハンディがある外国人にとってスポーツは強力なコミュニケーションツールである。 特にアメリカでは強い選手が尊敬される。 女の子にも人気がある。 
テキサスから転入したニュージャージーのマウンテン・レイクス高校は一学年90人ぐらいの小さな学校だからスポーツは盛んでも一般的にチームは弱い。 例外的にアメリカンフットボールは強かったので運動神経の優れた生徒はフットボールに入ってしまう。 サッカーチームは選手を集めるのさえ苦労した。 時折人数が足りずにフットボールの選手を借りてきて試合をしたこともある。 それでも彼がキャップテンを勤めた最後の年はシーズン成績を5分5分にもっていった。
彼は弱小チームを平均まで引き上げた功績により80年の歴史で3人しかもらっていないスポーツ栄誉賞を20年ぶりにもらった。  フットボールのキャプテンやサッカーの仲間たちと生徒会の役員に立候補し当選した。 演説は下手だがウィットがあって大いに聴衆に受けたそうだ。 
彼は性格的には頑固だが人のことはよく聴く。 息子と話しているときはいつも心地よい安心感がある。 自己主張するよりも聞き手になるほうが多い。 彼がアメリカ人に好かれる理由 はこの辺にあるのかもしれない。 
他人の意見は聞くとしても芯の部分はまったくぶれないので彼自身の考え方や個性を失うことがない。 友達に言わせれば日本人とアメリカ人の良いところばかりを集めているという。 私も見事なバランス感覚を持ち合わせていると思うがこれは高校・大学・会社・結婚を通じて多種多様の人々と交流して来たからに他ならない。 
私の33歳時と比べてはるかに大人であり世界も広い。 アメリカで育ってよかったと思う。 グリーンカードを取りアメリカに滞在を続けた意義があった。  彼はこれからが人間として成熟していく時期になる。 孫を含めた家族全員の成長が楽しみである。

米大統領選挙(30)副大統領選び

本選前の副大統領選び

民主党の全国大会は8月24-28日にデンバーで、共和党の全国大会は9月1日―4日までミネアポリス・セントポールで行われる。
大統領選挙で論点は出尽くして政策論争に新たな展開はなく中だるみの感じだ。 だから今頃選挙には無意味な元民主党大統領予備選に出ていたエドワード元上院議員のセックススキャンダルがメディアのトップを飾っている。

オバマ対マッケーン、本命の対決に私の気持ちがそれほど盛り上がらないのは次のような状況による。
l オバマvs.ヒラリーの対決があまりにもヒートアップした後で本選への関心が薄れてしまった。
l オバマとマッケーンはイラク戦争に対する評価や収拾・撤退の仕方について見解の相違はあるが私は基本的な考え方に相違はないとみている。
l キャンペーン・政策論争で新しい論点が見つからない。
本選まで後3ヶ月を切っている。 党大会後に早く二人のディベートを聞いてみたい。 おそらく政策論争よりも二人のパーソナリティ、ディベートでの印象がIndependents, Swing votersの決定要因となるだろう。 この点ではオバマに軍配が上がるだろうからオバマが若干優位に立つと思われる。

現在の国民の関心はもっぱら両党の副大統領選びである。 マッケーン、オバマ両候補とも一切VP候補を口にしたことはないがメディアや周辺があれこれ候補を推測したりしている。 確信できる情報はまったくない。 両候補とも自分の弱点をカバーできる人物またキーとなるスウィング・ステートに強い人物を選びたいだろうが党内の保守勢力とのバランスも取らなければならず難しい選択を迫られている。 自分を上回る実力者をVPにすると政権運営に支障をきたす恐れもある。 
オバマのVP選びはより微妙で複雑なバランスの選択を強いられるだろう。 民主党予備選でヒラリーとの厳しい対決を続けてきただけに党内の亀裂はまだ十分に修復されていない。 一部のヒラリー支持者がオバマには投票しないというような状況が改善されなければ本選での勝利はおぼつかないからだ。 だから未だにヒラリーをVPにするのではないかとの憶測もながれている。 
これだけは止めたほうがいい。 オバマがオバマでなくなってしまう

2008年8月9日土曜日

北京オリンピック開会式

北京オリンピックが始まった。 12時間遅れで開会式を見ている。 
開会直前まで国内外で事件で国際的な批判の的になっていた中国。 果たしてうまく行くのかどうか不安を抱えながらの開幕であった。 しかし開会式が始まるや否やそんな危惧が吹っ飛ぶほど見事なエキジビションである。 演出、構成、技術、芸術性いずれをとっても今まで見たオリンピック開会式の中でOne of The Bestだと思われる。 しかもさすが中国と思わせるほどスケールが大きい。 
北京オリンピックは最新の中国を世界に見せつけるための国家プロジェクトである。 この目的は開会式に関していえは100%成功といってよい。 ブッシュもプーチンもサルコジも福田首相も出席してくれた。 これだけそろえば胡錦祷主席も面子を失わずにすんでさぞ満足だろう。

最初のエキジビション2000人のドラムのパフォーマンスを見てその迫力に圧倒されると同時にふと一昨年東京で見た「秦の始皇帝と兵馬俑」を思い出した。 絶大な権力を持つ皇帝と選び抜かれた精鋭の兵士たち。 上空から撮影された映像がまるでコンピュータグラフィックを見るように動きが一糸乱れずコントロールされている。 クローズアップされる演奏者の顔がキリとしてまるで始皇帝の兵士のようだ。 中国は歴史的に強力に中央集権化された世界最大の国家である。 最高の知能と技能を結集すればこれくらいのことはできて当然である。 しかし私たちが今見ているこの映像は中国の先端部分であって中国全体を体現するものではない。 平均の中国像との格差はどの国よりも大きいといわざるを得ないだろう。

今演じられているこの技術と文化が中国の市民レベルまで浸透するにはしばらく時間がかかるがこの動きは止まらない。 オリンピックを契機にますます加速することが予想されるだろう。  とにかく中国は急速に変化を続けるだろうがそのインパクトは日本と日本の国民に大きな影響を及ぼす。 アメリカも民主党であれ共和党であれ新しい政権の下でチェンジする。 日本はじっとしておれないのだ

2008年7月29日火曜日

老化防止の運動

ゴルフとエクササイズ

齢をとると共に筋肉は弱り機能は低下する。 本当に老化を自覚し自ら体力維持のための健康法を実施するまでには相当時間が必要だ。 
私の場合一番早く老化に気がついたのは眼である。 60になってから本来の近視に乱視と老眼が入って気分が悪い。 ゴルフに関して言えばドライバーで打ったボールが先の方で見えなくなる。 ドライバーの距離が伸びずショットが乱れゴルフのスコアが悪くなる一方である。
一言で言えば筋肉が衰えてクラブを正しいポジションで支えることができないからだ。 また筋肉を緊張させて力を溜めることができないから(タイミングが早くなり)体がイージーな方に流れてしまう。
一方ゴルフの理論とノウハウは頭の中にいっぱいで頭ばかりが回転してしまう。 気ばかりあせってしまって体がついていかない。 結果としてスウィングを力みすぎてクラブが正しい軌道を走らなくなってしまう。 これを自覚するのに5年はかかった。

さて最近は老化防止のための運動をゴルフ2時間(もっぱらパターと打放し)またはエクササイズ30分(歩行器と筋トレ機械)できるだけ毎日どちらかを実行することにしている。
ゴルフはたとえパターであろうが打放しであろうがいい日もあれば悪い日もある。 
いいショットが連発できれば気持ちがよく悪ければフラストレーションがたまる。 非常にメンタルなスポーツである。 一方エクササイズのほうは単調だ。 ただあらかじめ決めておいたメニューをこなすだけ。 面白くないといえば面白くないが何も考えずに黙々と機械の上を歩き腕をプレスし足を踏ん張ったりしていると頭の中は空っぽでそれがかえって何かしら開放感を与えてくれる。 
最近気がついたがゴルフの思考性とエクササイズの単純性を組合わせることが精神的にも効果があるように思えてきた。 ゴルフだけまたはエクササイズだけでは飽いてしまうだろうがミックスすることによって相互に新鮮さが出てきる。 自分ながらいいことを思いついたものだと自我自讃している。

2008年7月22日火曜日

DIYをやってみれば

DIYをやってみれば 

3年間日本に帰っている間ニュージャージーの家をアメリカ人に貸していた。 貸家は汚れるのが常識だか最後の1年に入った独身男性(離婚)の生活ぶりが察せられるほど家はかなりよごれていた。 我々が住むために一応カーペットクリーニングは入れたが壁の汚れや家具の汚れや傷はすぐには治らない。 細かいところの清掃は自分がやらないと一般的なクリーニングサービスを頼んでも十分にはきれいにならない。

私たちには十分時間があるので自分でゆっくりきれいにすることにした。 一番大きな仕事は部屋のペンキ塗りである。 壁にペンキを塗るのは誰にでもできる。 素人ができる一番簡単な仕事だ。 とは言うものの本格的に壁など塗ったことがないので最近部屋の壁塗りをした息子夫婦に大体の手順をあらかじめ聞いておいた。
1.壁の汚れや突起をとり穴を埋め十分に乾かした後サンドペパーで表面をスムースにすること。
2.塗る面の端にペンキがはみ出ないようにテープを張ること。
3.ペンキが落ちてもいいように古いシーツやテーブルクロスを敷き詰めること。
4.ローラーは斜めはすかいにクロスするよう塗ること。

さてやり始めた判ったことだが塗る前の準備にかなり時間がかかる。(壁と天井の接点にテープをはみ出さないようにテープを直線に張るのはかなりむずかしい。 窓やドアがあればその周囲にぴったりと張らねばならないので根気がいる) あらかじめ小さな突起やくぼみなどは注意してみていないと塗り始めてから気がついても遅いのだ。
ローラーにペンキをつけるのだが薄すぎればムラがでるしペンキをつけすぎると溜まりができて見苦しい。 これはやってみて初めてわかることでこれがペンキ塗りの技術というものか。
手始めに6畳ぐらいのゲストルームを塗ってみたが脚立や道具がそろわない上要領も悪いので4-5日もかかりへとへとになってダウンしてしまった。 相当体力のいる仕事だと実感した。

健康が回復してから再開したが部屋は壁を塗りなおすと見違えるほどきれいになる。 色を変えればなお新鮮な気持ちになるがいざどんな色にするかを決めるのが一番難しい。 色を選択するのは家主の性格が出るし民族性が大いに出てくる。 TV番組(Home & Garden)で時々見かけるが中国人やインド人はリビングやダイニングを真っ赤に塗る。 赤色は彼らのラッキーカラーである。 私たち日本人が好むのは一般的にニュートラルカラーまたは落着いた薄めのカラーであまり大胆な色は馴染まない。 

壁のペンキ塗りはまだ途中で家全体のペンキ塗りとアプライアンスの取替えが完成するのは秋までかかりそうだ。

やり始めるといろいろ欲が出てきて次回のプロジェクトはキッチンのカウンターを最近はやりのグラナイトに取り替えようといっている。 これまた色の選定が難しいがここはワイフが一番重要視している場所であり気持ちよく料理をしてもらうためにワイフの意見を100%尊重するつもりだ。 これも秋以降になるが楽しみだ。

2008年7月20日日曜日

米大統領選挙(29)オバマの政策は現実的か?

本選前の一時休止

民主党の予備選がオバマ候補に決着してから約1ヵ月半が経った。 あれだけ激しい予備選を戦った後だけに大統領選挙本選を控えているにもかかわらず気が抜けたように静かになってしまったのは当然だろう。

私自身は今のブッシュ政権が終わり新しいアメリカを創造する政権ができれば共和党でも民主党でもよいと思っている。 特に地球温暖化対策に真剣に取組める政権、 多様化する世界に柔軟に対応できる世界観を持った政権を望んでいるので共和党のマッケーン、民主党のオバマが指名を獲得したことは朗報である。 どちらが大統領になっても上記の世界的課題にはブッシュ政権よりもはるかに期待がもてるからだ。 双方とも基本姿勢には大きな差はないと思われるがマッケーンは現実的で緩やかな変化、オバマはブッシュ政権の保守政治からの脱却、徹底した方向転換を図る方針。 
7月15日のポールではオバマが47%、マッケーンが41%とオバマがコンスタントにリードをキープしているのがより多くのアメリカの国民が変革を求めている証拠だと思う。 

ただオバマの政策が明らかになるにつれて現実性に疑問を持たざるを得ない点がある。
まずイラク戦争撤退策。 イラク戦争の是非はさておくとして現在進行中の戦争に期限を切って撤退策を提示することが現実の政策としてありうるのかどうか。  撤退を方針とするのは重大な決定であるがそれはひそかに大統領の胸のうちに秘められるべきものであり事前に公表されるべきものではない。 歴史的にも戦争での撤退がもっとも難しい作戦であることは周知の事実である。 今後短期的にイラクと中東全体にいっそうの混乱と不安定が増す可能性が高い。
失業問題にしても不法移民の問題にしても国内だけでなく国際的にも政治・経済が複雑に絡んでいるので解決は容易でない。 この問題に関してオバマの政策はいまひとつはっきりしない。
これから党大会で正式候補となったから両党・両候補の政策論争が煮詰まって来ようがオバマは理想論に走らずに革新の道のりをはっきり示す必要がある。

この容易ならざる問題の解決には国内的・国際的な協議が不可欠だが次期大統領はこうした議論に柔軟な姿勢を持ち合わさねばならない。

私もそろそろ本選ウォッチに戻ることにしよう。

2008年7月18日金曜日

私のIT活用度

私のIT活用度

私の一日はPCでメールをチェックすることで始まる。 メールに目を通したあとトップページ上のGoogle Newsの中のTop StoriesとUS Business NewのHead Lineを見て興味のある記事を読んでから読売Onlineに移る。 インターネットニュースは世界の主要紙から各国、各地の主要な出来事をピックアップして間断なく送ってくるのでいち早くニュースを読むことができるのでニュース性ではNo.1である。 しかも遡って記事をチェックできるのがいい。
日本のニュースは読売と日経ビジネスOnlineで十分だ。
読み始めるとすぐに1時間ぐらいは経つが最近は目が極端に疲れるので1時間以内にPCを離れることにしている。

新聞は木曜日と日曜日週2回配達のローカル紙を取っている。 私はたまに興味のあるローカル記事を読むぐらいで写真とチラシを見ながらローカルの空気を味わっているようなものだ。 ワイフはショッピングのためのクーポンを切り取るのが主な目的。  

インターネットで一番利用度が高いのが各種費用の確認と支払い。 家のローン、
管理費、保険、電気、ガス、水道、ごみ回収、ケーブルTVなど毎月の支払金額がEmailで送信されてくる。 金額確認してすでにセットしてある支払い方法で支払手続きをする。 殆どはカードにチャージされるが一部は直接銀行口座からの引き落とし。 キャッシュは出の支払いは受け付けないところが多い。 もちろんチェックや直接振込みもない。 時に家を離れているときでもPCにアクセスできれば支払いを心配することはない。

小売店で買物する場合最近は$20以下のクレジット支払いでは単にカードをカードリーダーに通すだけでサインはいらないところも増えている。 小額でもカードOKだから小銭を出す手間も省ける。 店としても煩雑なキャッシュ取扱から開放されて経費の節約になるだろう。 

インターネットで2番目に利用度が高いのが辞書を含めた検索機能である。 英語社会に住んでいるので常時英和、和英辞書が必携でありPC操作中に同じWindow で辞書が活用できて便利だ。 また百科事典も同じように便利で頻繁に利用する。
単に知らない事柄を調べるだけでなくそれに関連する情報を連鎖的にスピーディに入手できるところが素晴らしい。 単なる調べごと以上に探求心を刺激されて次々とウエブサーフしているとても面白くて時間が経つのを忘れてしまう。
先日30年ほど前に仕事中に記憶していた気候変動・穀物生産に関するCIAの調査報告をCIAが公開した文書の中から検索で発見したときはインターネットの素晴らしさと情報公開の必要性を実感したものだ。
また専門家の仕事になるが企業や開発担当者にとっては特許情報の調査。検索にはインターネットがとくに力を発揮する。 企業としては莫大な経費と時間の節約になっていると思う。

ショッピングもよく利用する。 事前に値段を調べて最も安いところで買うことになるが大抵20-30%は安くなる。 また市中で買えないもの、特注品をオーダーする場合も便利だ。 1昨日24"x36“のFrame MatとBackingを特別オーダーしたら$17.20+送料で買うことができた。 モールのリーテイラーで注文すると$100程度はすると思う。 明日配達される予定。

また6-7年前から定期的に利用しているのはKodak Photo ServiceでUploadした写真をインターネットでオーダーし近くのDrug Storeでピックアップする。
4“x 6”(はがきサイズ)で15¢ 40枚なら$6.00+Tax42¢+送料$1.50で合計$7.92
東京の娘のPCはアップルだがアップルのPhoto Galleryは写真のサイズがオリジナルのままなのでこれを私のPCにダウンロードしKodakにアップロードして同じようにオーダーすることができる。 東京の娘の家族とニュージャージーの息子の家族と私たちは共にPhoto Galleryを交換しているので自由に写真を見ることができる。 写真の数は無制限で費用はかからない。
最近は娘宅に赤ちゃんが誕生したこともあって頻繁に写真とビデオをアップロードしているがそれに加えて1週間に一度はSkypeでTV会話をしているので東京とNJの距離を感じない。

インターネットは私たちの生活を便利にしてくれているだけでなく私のようなリタイアリーの生活を豊かにしてくれているのはありがたい。 PC/インターネット抜きには私たちの生活は成り立たないところまで来ている。

2008年6月28日土曜日

A. パーマーがやって来た

アーノルド・パーマーがやって来た。

隣町のFar HillsにUSGA(US Golf Association)の本部があってその中に Gold Museum併設されている。 Bobby Jones以下歴代の名選手のMemorable Things, Collectibles, アーカイブなどが展示されているがこのたびArnold Palmerの展示室ができた。 彼は現役を退いたが今も全国のゴルフ行事に顔を出し現役以上に多忙である。 この展示室の開会式にUSGAを訪れたついでにSomerset County Park Associationの招待で最近出来たNeshanic Valley GCのローカル行事に顔を見せに来ることになった。 ローカルのパブリックコースにやって来ることは滅多にないことだし近くなので見に行くことにした。




             USGA (Far Hills, New Jersey)


彼の顔を身近に見ることが出来よかったのだが多くのファンが詰めかけるとあってボディガードに守られながらステージに登場しパーマー自身はソファーに座っているだけで役員やゴルフメーカーの長々した話があって内容的にはファンとの身近な交流もなく退屈なものだった。  彼のようなゴルファーはやはりトーナメントで18番グリーンに上がってくるときがもっとも似合っている。

ここのゴルフコースはパブリックとは思えないほど素晴らしい。 正式コースが27ホール、JRコースが9ホール、 練習場としては大きなパッティンググリーンがひとつ、 ティーグランドつき練習ホールが2箇所、 バンカーつき練習グリーンが2箇所、ドライビングレンジは400ヤード以上ありプレイヤー用と練習者用とが対面して両方にある。 レンジの広さが縦20ヤード横幅100ヤードほどあり通常その一部に20打席ほどが設けられている。打席はすべて芝生であり毎日場所を変えるのでいつもフェアウエーのような真新しい芝生の上で打つことができる。 レンジボールは$5.00《40個》$8.00《65個》$10.00《110個》  $30.00払えば球は無制限、一日中練習ホールが使えるので練習する人にとっては最高の場所だ。 $100払えばプロのコーチが指導してくれる。




Neshanic Valley GC Club House Driving Range

本格的コースを回りたければWeekday $50.00 Week End $60.00 私はシニアだからそれぞれ$40.00/$60.00 WeekdayのTwilight なら$25.00で回れる。 アメリカならではのゴルフ環境だがここだけは特別にQualityがよいし混んでいない。 まだよく知られていないからだと思うが練習場はもちろんコースもWeekdayなら予約なしでいつでもOKだからゴルファーにとっては天国だ。
しかし環境に恵まれていても腕のほうはなかなか上達しない。 希望が失望に変わらないうちに何とかせねばと焦っている。

拳銃所持をめぐって

アメリカ連邦最高裁判所は6月26日個人が短銃を所持するのを禁じた首都ワシントンでの銃規制が、国民の武器所有の権利を明記した合衆国憲法修正第2条に違反している、との判決を下した。
憲法修正第2条は、「自由な国家の安全保障」のために「規律ある民兵」の必要性をうたい、「人民の武器保有の権利を侵してはならない」としている。連邦最高裁の判決は、第2条が個人の武器保有権を保証していると初めて認定したものである。 《Jun.26 読売online》

拳銃による犯罪が多発しているアメリカ社会で長い間個人の拳銃所持をめぐって論争が続いていたが法的に一応の結論が出た。 
大統領選でも常にこの問題は取り上げられ一般的に共和党候補は拳銃所持に賛成、民主党は反対であった。 特にクリントン大統領時代に銃規制は一応の成果を挙げたがアメリカ社会の中で拳銃所持は基本的な個人の権利であるという考え方が強く民主党の中でも禁止に全面的に賛成する人は少ないと思われる。
こうした考えのバックグラウンドにはアメリカ社会の政治的・思想的・社会的保守主義 (Conservatism)がある。 キリスト教をバックボーンとする精神主義・道徳観と基本的に個人の自由を優先する自由主義的思想がある。

頭ではなかなか理解しがたいことであるがアメリカの広さを見れば直感的に自ら身を守らなければならない必然性を感じることができる。 危険は人間(強盗・窃盗)だけでなく熊やコヨーテ、ガラガラヘビなど自然動物の危険も身近にあるわけで文明社会といえどもいつでもどこでも安全が保障されているわけではない。
都市から何マイルも離れた田舎で隣家も見えないとことに住んでいる人が何百万人もいる。 助けを呼んでも何十分もかかるのでは無防備のまま裸でジャングルに住んでいるようなものである。 大都市の中でも状況は変わらない。 危険度はむしろ田舎よりも大きい。 助けはすぐ来るだろうけれど犯罪は瞬時でありすぐには対応できない。 拳銃所持は自己防衛のためであるが潜在的犯罪抑止力にもなっていると思う。

30年ほど前にテキサスで家を買うときにいろいろ売家を見て回ったがたいていの家のマスター・ベッドルームのクローゼットの棚にはピストルかライフルが置いてあった。 中には自分の車の中にいつもピストルを所持しているものもいた。 これはメキシコの田舎でも常識であった。 

私は拳銃所持に賛成ではないが現実を見れば拳銃所持禁止に反対する気持ちは判る。 もし私がぽつんと離れた田舎家に住むことになれば拳銃を購入するだろう。 拳銃を使用するかどうか判らないがこれは警備保障システムを購入すると同じ
ぐらい家族を守るためには必要だと思うから。

2008年6月27日金曜日

米大統領選挙(28)日本の首相選び

ここ半年大統領予備選挙で感じたことはアメリカでは政権にせよ仕事にせよ自分で手を上げ自分の意見を主張してとりに行かねば絶対に自分にチャンスはないということである。
一方日本では自ら手を上げず黙っていて自分の意見があるのかないのか判らない福田さんが首相になった。
小泉元首相を除けば首相になる最も大きな条件は個人の政見や政策遂行能力ではなく自民党の派閥の有力者が話し合って最終まとまって支持することができる候補か否かによって決まるのだ。
もっともアメリカのように直接選挙で各党候補や大統領を決める公選ではないのである程度の話し合いでの候補選びは仕方がないと思うが今回福田首相は昔ながらの森元首相の自民党有力派閥に対する根回しにより親分衆の手打ちで誕生したわけで彼の政策能力や人物が評価されたからではない。 福田さんは「こうしなければ日本はよくならない」とか「こうしなければ世界に通用しない」とかのヴィジョンがないので政権の座についてもプロアクティブに政策を進めるわけではない。 あくまでリアクティブに軽度の対処療法しか取れないのである。
こんな人を首相に持ったのが不幸だがこの首相を誕生させたのがまた私たちが選んだ代議士先生たちだということは日本の政治がいかに貧弱で民主主義が未熟であるかということである。
日本の政治に対する不満は福田首相も民主党の小沢代表も含めて国民全員が持っているわけだがそれならどうしようという改革のヴィジョンと行動がどこにも見当たらない。 《行政改革とは次元の違う問題である》
つまり政治の問題は政治家だけの問題ではなく国民全体の問題で税金や医療費など個々の政策に不満を述べるだけでなく国民自身が政治の責任を自覚しないと何時まで経っても子供のおねだりをかわす程度の安っぽい政治しかできないのだ。 

最善の策はよくても悪くても一度民主党に政権を取らせることである。
ただし小沢、鳩山、菅の3人をはずさないと民主党も自民党と大して変わりはない。
民主党の若手議員よ、今こそ立って民主党に対する当初国民の期待を実現してほしい。
政治家自身も一人ひとりは政治家らしい政治家になりたいと思っているはずだ。

公費タクシー問題

公費タクシー問題のばかばかしさ

日本のニュースはオンラインで読んでいるが最近もっともばかばかしいニュースと思うのが公費タクシー問題である。 事の詳細と是非は論じるに当たらない。  

内容がみみっちいばかりでなく大メディアのアプローチの仕方がみみっちい。 
言ってみればこのようなことはビジネスでお得意さんに対するサービスの一端でよくあることで相手が官僚となるとメディアは庶民の感情を煽るかのごとく根ほり葉ほりこのような取り上げ方をする。 メディアによる“官僚いじめ”みたいで本当に指摘せねばならない事件の裏に隠れている問題を忘れはいないか。 

帰宅にタクシーの使用が認められているのは午前0時以降だ。 これが常態化しているということは常に遅くまで官庁ないしその事務所にいるということだ。 どのように仕事をしているかはわからない。 問題は仕事の内容と効率なのだ。 私の経験から言えば効率よく仕事をすれば90%の仕事は午後5時までに終わることができる。 世の中PCと通信がとめどなく進化し仕事の形態に変化が進んでいる。 IT化の進展でもっとも改革を進めることができるのが役所だが実際は最も遅れているのが役所である。 書類の無駄を省き仕事の流れを変えるだけで大幅な合理化が進むだろう。 この合理化を進めることによってタクシー経費の何十倍もの経費節約が可能である。

最近の日本のメディアは近視になって広い世間が見えなくなっている。 ニュースの人気取りが先行して世間の奥にあるものが見えなくなっている。 メディアは事実の報道だけに終わってほしくない。 報道の仕方とその裏にあるものを常に意識してほしい。 権力におもねってはいけないが庶民におもねってもいけない。 
メディアの映像と文字は社会の鏡であると同時にオピニオンリーダーである。 
最近の日本の閉塞感は50%以上メディアによって形成されてきたと思っているがどうだろう。
メディアの力を最大限にプラス方向に発揮してほしい。

2008年6月16日月曜日

米大統領選挙(27)アメリカの保守主義

アメリカの保守主義 (ブッシュが2回も大統領に選ばれた理由) 

民主党の大統領候補が事実上オバマに決定し大統領選挙は両党の党大会を待たずに本選モードに入っている。 しかしいまひとつ共和党・マッケーンと民主党・オバマの対立点がはっきりしない。 両党とも政治の焦点が対外的にはイラク撤退、国内的には不況対策と医療問題と絞られていて現状認識は同じで対処の仕方が違うだけ。
だから今回の選挙は政策よりも個人的な信条とか人格が投票のキーとなる可能性が大いにある。

今回の大統領選挙のテーマは両党とも当初から“Change”であった。何がChangeの対象かといえばまず8年間続いた“ブッシュ政権”だ。
民主党は勿論のこと共和党までも予備選の最初のころは“Government is Broken”とキャンペーンを展開していた。
ブッシュの支持率が史上最低で実際にブッシュ政権になってからろくなことはない。
-京都議定書の批准には積極的に反対した。
-誤った情報の元にイラク戦争を始め収拾がつかなくなっている。
-中東を混乱に貶めモスリム対キリスト教の対立を先鋭化させた。
-巨大な戦費の支出でアメリカの財政が疲弊、ドルの信用が弱まっている。
-石油安定供給を崩し石油価格の異常な高騰を招いた。 
(このコストインフレは世界中に波及し人々の生活を脅かすだろう。 本格的インフレと価格調整はこれからだ)
-国の基礎になるインフラの整備、保守および教育投資に資金が回らず体力が弱まっている
-唯一のスーパーパワーであったアメリカの力を一気に弱め世界の秩序を混乱させた。

ブッシュ大統領は高い見識や教養を感じさせることもなく演説はもっとも下手な部類に入る。
ではなぜこんな彼が1回ならず2回も大統領に選ばれたのであろうか。
この問題の背景にはアメリカのConservatism《保守主義》がある。

私がこの問題に注目したきっかけは1月初めの共和党のディベートでミット・ロムニーが“自分はMost Conservativeでマイク・ハッカビーはliberalである”と非難したことに始まる。 ハッカビーが猛烈に反論したがそのときにアメリカの保守と革新は日本で言う保守や革新とは意味合いが違うことに気がついた。

アメリカ社会の背景にあって日本にはまったくないのが宗教問題で“キリスト教の倫理”に関わる問題である。 平たく言えば妊娠中絶賛成か反対かということだ。 候補者は立候補する際に自分の立場をはっきりさせるしディベートでも基本的な問題として再三確認を求められる。 

アメリカの保守主義者(Conservatives)とはキリスト教の倫理をベースとして伝統的価値を重んじ思想的には自由主義、政治的には"小さな政府"を標榜する人々である。 政治的区分けでいえば共和党がこれに当てはまるがIndependentsでも民主党の中にもこのようなSocial Conservativesは数多くいる。
Social Conservativesという範疇で捉えればアメリカの国民過半数はConservativesだと思う。
ブッシュ政権の中核をなすいわゆるネオコン(Neo-conservatism)は(Political or Philosophical) Conservatism の右派に属する人々で「アメリカは民主主義を世界に広げることを国家としての目標にすべきで、世界を民主化するためにアメリカの圧倒的な軍事力を活用すべきだ」と主張する。 ブッシュ大統領はこれに感化されてイラク侵攻に踏み切ったとされている。
ブッシュ大統領は根っからの保守主義者でもなく自由主義者でもない。 キリスト教の倫理に忠実な典型的南部のお人よしだ。 せいぜいテキサスのMidland (ブッシュ出身地West Texasの田舎町)の市長ぐらいが一番よく似合う平均的なアメリカ人と思うが名門の長男かつ大統領の息子ということでネオコンに担ぎだされ取り巻きのチェイニー副大統領やラズムフェルド元国防長官に引きずりまわされる能天気な大統領になってしまった。 

共和党のみならずアメリカ国民のMajorityはキリスト教をベースとして
家族道徳などを強調する保守的な価値観、倫理観を持つSocial Conservativesであるから2000年の大統領選挙ではモラル面で乱れたクリントンのアンチテーゼとして自分たちと同じ価値観を持つブッシュを大統領に選んだのである。 2004
年に再選されたのは対イラク戦争の途中だったからだ。 国家の安全が脅かされている時期に大統領がそれを理由に支持を得るというのはよくあることである。

共和党の中で最も右派に位置するネオコングループはごく最近までジョン・マッケーンの支持に抵抗していたがマッケーンが指名をほぼ確実にしたので今後は党団結のためしぶしぶ協力せざるを得ないというのが実情だ。 だから共和党が一枚板というわけではない。 

民主党も最後までオバマとクリントンが激しいデッドヒートを展開して二つに割れた党を修復するには時間がかかる。 だから中間層や独立派がマッケーンとオバマをどのように評価するのかが決定要因となるだろう。 

2008年6月6日金曜日

米大統領選挙(その26)クリントンの敗因

ヒラリーの敗因

1年前はダントツの1位で指名が確実と思われていたヒラリーはどうして指名を獲得できず、ほぼ無名に近かったオバマが指名を獲得したのか分析してみると面白い。

ヒラリーの支持層は白人労働者(ユニオンでまとまっている最大の組織票)中年以上の白人女性(人格や政策よりも女性大統領誕生そのものを期待している)高齢者(感情的にまだ黒人大統領を受け入れがたい古い世代)でこの人々は選挙が始まる前からおおむねクリントン支持で固まっていた。  だから初期のポールでは確実な支持層を持つヒラリーが1位を占めていてもおかしくはなかった。  

ヒラリーは “ミドルクラス”という言葉をよく使う。彼女の演説をよく聴いてみると彼女のミドルクラスは経済的にも社会的にも平均以下の人々を指しておりこの層に対してのリップサービスが目立った。
クリントン陣営はマーケティングのやりすぎでポールに流されてしまい本来のヒラリーのキラメキを失ってしまった。 だから長丁場では矛盾を露呈してしまう。
ヒラリーはまだ意思を決めていない中間層、キャンペーンや人格をよく分析してから投票しようとする高学歴の人々、変革を求める若者たちに支持を広げることができなかった。  
金持ち優遇もよくないが低層社会に焦点を当て対立を煽るようなキャンペーンもよくない。 彼女の演説は敵対的であり内容よりも言葉が先にたつようなアジテーションが感じられる。 立場が逆であると非常に反発を感じてもおかしくない。 

一方オバマは特定層に訴えるようなキャンペーンはしなかった。 クリントンからブッシュにわたる16年間でアメリカの正義と権威は地に落ち唯一の超大国は政治的にも経済的にも迷走している。 オバマはこのような閉塞したアメリカを変えようと訴えた。 彼は医療保険の充実や低所得者の教育に対する援助については語っても特定層の支持を得るためのリップサービスは一切していない。 彼は党派的でもなく分派的でもない。 彼は“私が”ではなく“我々”が主体で全員参加で国を変えようと訴えている。
 時には党の枠を超えてレーガンをたたえたりリンカーを引き合いに出したりする。 時折見せる笑顔とユーモアがしばしば先鋭化するキャンペーンを和らげそれとなく人の良さ(人格)を感じさせる。
1年近くまず例外なしに毎日TVのスクリーンに登場し話すのを聴いていると自然と人柄が表れてくるものだ。 オバマはいかなる時もぶれなかった。 苦境に立った時でも(たとえばJeremiah Wrightの説教問題)冷静に自然体で対処した。 これがかえって彼の評価を高め支持を拡大することになった。 

ヒラリー陣営は選挙戦略にも失敗した。  前半に大都市・大票田のメジャー州中心にキャンペーンを続けた結果、地方で大きな取りこぼしが出た。 Caucus Statesでは全く勝てなかった。 特に緒戦のアイオワ州で3位になったのはショックだったに違いない。 もう一人の有力候補、全ニューヨーク市長ジュリアニも同じ間違いを冒して早々に撤退した。 
逆にオバマがアイオワで1位になった意味は大きい。 オバマは(都会・田舎)(大きな州・小さな州)(所得の高低)(学歴の高低)に関係なく全員に「よいアメリカを取り戻そう」「新しいアメリカを創造しよう」と訴えたのである。
だから民主党内だけでなく独立派の人々、白紙の若者たちにも支持された。

もうひとつの大きな敗因は夫、ビル・クリントンにある。 今でも民主党内の影響力は絶大でクリントンシンパの表固めには大いに貢献したとおもう。 しかし選挙はあくまでヒラリーであり彼ではない。 彼のキャンペーンは強引で時として感情的であった。 反発を買うことも少なくなかった。 しかも大統領を辞めるときのネガティブな記憶が付きまとっている。
ビルが表に出ずに裏方に徹していれば展開は変わったかもしれない。
 
選挙のシステムもオバマに見方している。 もし予備選が短期決戦であれば無名に近いオバマが指名を獲得することはできなかっただろう。
またPrimary(Popular Votes)のみであれば彼は指名を獲得することができなかったであろう。 Electra Vote System と Caucusおよび5ヶ月間各州で繰り広げられたキャンペーンを通じてオバマは自分を売り込むことができた。
それでなければ全国的に知名度の高い有名人か選挙資金を贅沢に使える超大金持ちが常にトップになることは目に見えている。 これでは政治の平等を目指す近代国家とはいえない。

リンカーンの奴隷解放宣言(1862年)から146年、ケネディ・ジョンソンの公民権法案成立(1964年)から44年、ようやく黒人大統領が誕生しつつある。 
オバマがアメリカの大政党の大統領候補になったことは歴史的な出来事であるのは間違いない。
アメリカでしか起りえないエポックメーキングである。
しかしそれ以上に感慨深いのは一般にアメリカの国民は民主党がオバマを選んだことをアメリカの進歩であると受け止めていることだ。 ヒラリーが選ばれていると初の女性大統領候補選出で大いに意義があることだがこうした進歩的な感動は国民全体に広がらなかったと思う。

民主主義は個人と社会が成熟しないとうまく作用しない。
-すべての人が発言の機会と権限を与えられること。
-すべての人の発言は聴かねばならないこと。
-ルールと論理にもとづいて議論されること。
-多数決で決定されること。
-決定されたことには従うこと。

民主主義がオールマイティではないことはイラクの現状を見ればよく判る。 説明するまでもなくこの国では独裁が倒れても民主主義は作用していない。 政治システムだけの問題ではないのである。



2008年6月5日木曜日

米大統領選挙(その25)Day After

6月4日 Day after Final Primary


全部の予備選が終了してオバマが過半数を獲得し事実上指名を確定にしたあとオバマはヒラリーに非常に友好的で相手をたたえる演説をしたにもかかわらずヒラリーはオバマに祝福のメッセージを送らなかったこと、また自分の進退につき言及せず(負けを認めず)まだキャンペーンを続けるような発言をしたことにつきその夜から翌日午前中までアメリカ中の評論家、識者、すべてのメディアから非難の集中砲火を浴びた。
クリントン陣営は8月の党大会までにスーパーデレゲートを引き込んで大勢をひっくり返そうと画策していたようだが無意味な抵抗、悪あがきとしか見えない姿勢にアメリカ社会が強烈に反発した。 フェアプレイを原則とし戦い終われば握手してすぐに関係を修復するのがアメリカ社会の常識である。

クリントン陣営もさすがにこの四面楚歌の状況を見て昨日午後、今週土曜日(7日)に選挙撤退を発表すると非公式に伝えている。

目前の関心はヒラリーのアナウンスメントと副大統領選択に向けられているが民主党関係者の過半数はヒラリーがランニングメートになる琴をきたいしている。 
オバマは労働者階級、白人女性、高齢者に弱いので彼らを支持層とするヒラリーがエンドーズすればまずオバマ大統領は確実というわけだ。
今水面下でオバマとヒラリーが話しあっていると思われる。

すでに3週間ほど前からオバマは本選モードに入っておりマッケーンもオバマを対象にキャンペーンを続けている。 両者の舌戦がメディアの中心でクリントン関係は何時どのような形で選挙戦撤退をアナウンスするのかの興味だけである。


オバマはGreat Spiritual LeaderでありヒラリーはGreat Operaterであるという。そのとおりである。 でも二人が協力しあってキャビネットがうまく行く可能性は少ないと思う。

2008年6月4日水曜日

米大統領選挙(その24) オバマ指名確定

予備選終了 オバマ指名確定

5ヶ月かけての予備選がようやく終わった。
プエルトリコではクリントンが大勝しモンタナではオバマに負けたがサウス・ダコタでもクリントンが勝った。 Popular Votes(投票総数)でもオバマを上回った。
しかし選挙規程でElectra Votes(代議員獲得数)ではオバマがはるかにクリントンを上回って過半数以上を獲得したので民主党大統領候補の指名はオバマに確定したわけである。 もう選挙の数字を追うのは止めよう。 今まで大勢を注視していたUndecided Super Delegatesもなだれをうってオバマに投票しはじめた。

クリントンはいまからどんなに画策しても99%オバマに決定した指名をひっくり返すことは無理である。 オバマは勝利宣言しヒラリーにも友好的なメッセージを送った。 それなのにヒラリーはまだドロップアウトを表明していない。 これからどうしようというのか?  ヒラリーの支持者は狂信的なヒラリー信奉者が多いが彼らに引きずられて8月の党大会までキャンペーンを続けるようならますます大統領としての素質・資格はないことを証明したようなものだ。
彼女は何のために大統領選挙に立候補したのであろうか。 ここで悪あがきするならば立候補はクリントン夫妻の私的な野望を達成するためと見られても仕方がない。 国の将来のため、民主党が勝利するためにはここで潔く敗北宣言し民主党の統一を図るべきである。 それでこそ長期にわたる選挙戦を戦いぬいた粘りと勇気がたたえられる。
選挙はあくまで政治ゲームであって終わればもとのサヤに収まり共通の目的に向けて協力するのが民主主義の原則だ。 特にアメリカはこの点がすがすがしくFair Playの精神がアメリカ社会のベースだと思っていたがクリントン夫妻には残念ながらこの点が欠けている。 
ヒラリーの敗因はここにある。

逆にオバマは“私”が中心でなく党派的でもなく「国の将来のために」というのが立候補の原点だ。 その上彼にはすがすがしいFair Playのイメージがある。 長い間選挙を戦っていると自ずとこの点は見えてくる。 だから過去にいくらクリントンに近い人たちでもリチャードソン元アリゾナ州知事のようにまじめに考えれば考えるほどオバマにシフトせざるを得ないのだ。 
昨日がオバマとクリントンが手を握る絶好のチャンスだった。 オバマはメッセージを送ったがヒラリーはこれに答えなかった。 識者・解説者の間ではオバマ・クリントン-ドリーム・ティケットを望む声が大きい。 民主党とオバマ指名候補が本選を確実にものにするのはこの戦略がもっとも有効なことは知っている。 クリントン夫妻以外は早くすっきりと一本化してこれから副大統領候補選びに入りたいところだ。 
これからが本番であることを忘れてはならない。

2008年5月31日土曜日

米大統領選挙(その23)民主党党規委員会の妥協

フロリダとミシガンの取り扱い

予備選は来週火曜日までにあと3州(プエルトリコ、モンタナ、サウス・ダコタ)を残すのみとなった。 オバマが断然有利で指名獲得を目前にしている中でクリントン陣営はフロリダとミシガンの投票結果を考慮しカウントすることに唯一望みをかけていた。
両州とも本部の警告を無視して予備選を1月に実施したため投票結果を無効とし代議員の数をゼロとする制裁を課せられていた。

昨日民主党党規委員会はこの問題を非公開・公開両方で議論を重ねていたが本日まで結論を得ず本日TV中継のもとで公開議論を続け下記のような結論に至った。

両州とも代議員(Delegates )の50%をカウントすることに決定。その結果クリントンはフロリダ105、ミシガン69 合計174 オバマはフロリダ67、ミシガン59 合計126がそれぞれに振り分けられた。 (配分・比率の方法は判らない)
これは予備選の現状(オバマがほぼ決定的)と民主党本部の懲罰の方針を変えることなくフロリダとミシガンには投票権を与えるという現実的な折衷案が採択されたものだ。 数字的にはやはりクリントンが追随するにはほぼ不可能な数字であるといってよい。 TVの解説者もこれでオバマは99.9%指名が確実になったといい、実際にオバマ・サポーターはこの決定を歓迎している。
一方クリントン・サポーターはこの決定の瞬間から怒り狂い抗議がホテルの内外で行われるという荒れ模様となった。 クリントン支持のアイクス委員がヒラリーの指示でこの決定を党の公正委員会に提訴すると最後に捨てせりふを残し後味の悪い終幕となった。 しかもクリントン陣営はUndecided Super Delegatesには党大会まで投票するなと説得していて早く決着をつけたい党首脳を怒らせている。 とりあえず2人の指名争は実質的に決定、来週火曜日までの残り3州の予備選で数字的にも決定されるのでそこでオバマの勝利宣言が出てくるだろう。


結論は上記のとおりだが特筆すべきは民主党本部・党規委員会が一旦決めた制裁を修正してフロリダ・ミシガン両州に代議員を7月の党大会に送ることを認めこの問題の収拾を図ったことである。 本來ならば両州の規定無視が原因であり本部としての決議が行われた後であるので決議の変更・撤回は無視してもよいところであろうが反対意見にも耳を傾け再考慮して双方に面目が立つような結論を導きだしたことである。
何もかも本部決定がすべてではなく反対派の意見も聞き入れて修正するーこれも民主主義の大事な要素であろう。

2008年5月27日火曜日

Froh Heim (Mansion in May)

Mansion in May

5月にはMansion in Mayという催しがある。 
年に一回地域のランドマークになるような歴史的な大邸宅を一般公開する行事だ。
The Women’s Association of Morristown Memorial Hospital (WAMMH) という650名の病院関係の女性ボランティアの組織が主催している。 一般公開といっても部屋が20も30もある大邸宅を一ヶ月公開するので単なるオープンハウスのように簡単ではない。 天気のよい週末・休日には1,000人を超す来訪者がある。 車は数百台になるだろう。 だから多くのボランティアが必要となる。 
組織の運営や広報はWAMMHが行うがパーキング整理、シャトルバスの運転、ティケットの販売、部屋の案内などはローカルのお年寄りが担当している。 各部屋のデコレーションと管理は部屋ごとに地域のインテリア・デザイナーたちが担当し(その代わり自分のビジネスをPRするパンフレットを置くことができる)庭園・プールはこれまた地域の造園業者が担当する。 一般公開といえどもビジネスのPRもかねているわけだ。 (ちなみに入場料は$20-$30するが経費を除いて病院や学校に寄付される)
アメリカの人は組織の運営も上手だしコミュニケーションやプレゼンテーションも慣れている。 初めて顔を合わせても非常にフレンドリーに説明してくれるし質問にも答えてくれて気持ちがいい。 
アメリカにはこのようなボランティア活動をする組織が多くありローカルの病院や福祉施設の運営に協力すると共に人々をつなぐ大切な役割を果たしている。 

“Mansion in May”は今年で14回目を迎えるそうだ。 この地域にはそれだけ数多くの見せられる物件があるということだ。 しかし2代-3代にわたってこのような大邸宅を維持するのは並たいていのことではない。 実はこのマンションも売りに出されることになっている。
昨年12月4日のブログで「Moorland Farmは今もFar Hills駅舎と共にBedminsterのLand Markとして残っている」と書いたがちょっと怪しくなってきた。

このマンションは“Froh Heim”と呼ばれドイツ語でHappy Houseという意味である。 1887年ニューヨークからやってきた実業家Grant & Elizabeth Schleyがここの景色が気に入って家造り、町造りを始めた。 

Far Hills/Bedminsterを開発したSchley夫妻の家がこのマンションである。





石造りの南欧風建築も素晴らしいが特に庭園とプールが美しい。丘の上に立っているから眺めは抜群、なだらかに下る牧草地の先に彼がつくったFar Hillsの駅が見える。
牧場とこれに併設されているバーン(農事家屋)を除いた10エーカーのこの家がわずか$8.5 Mil で売りだされていると聴いてびっくりした。 すぐ売れるだろうと思ったがそうでもないらしい。
以前にも述べたが元のオーナーであったAT&Tが売り出すときにも将来の転売の際はパブリック目的以外に開発しないことを条件としていたためコマーシャルベースでは採算はおろか開発さえできない状態ではないか。 しかもこの堅牢な建物はすべて石造りで改造するにも取り壊すにも非常に難しいのではないかと思われる。 

このままの美しい状態を保つにはまた公的機関が買取るしか方法はないだろう。 いつまでもこのままでFar Hills/Bedmisnterのランドマークの役目を果たしてほしいものだ。


2008年5月23日金曜日

ガソリン価格高騰

ガソリン価格高騰の影響

原油とガソリンの価格が連日上げ続けている。 5月23日現在原油価格は$138/バレル、ニュージャージー州のガソリン価格は本日平均$3.76/ガロン(一年前は$2.96/ガロン) どこまで上がるのか誰にも判らないがもう一年前の値段には戻らないだろう。

ガソリン価格の上昇はまず車通勤の人の財布を直撃する。 最近の車は燃費がよくなったので平均25マイル/ガロンとする。 自宅から20マイルはなれたオフィスに通勤する人は年間250日オフィスを往復するとして年間400ガロン消費する。 ガロンあたり$1.00 上がれば$400通勤費が増すことになる。  トラック運送業者やタクシーは走ることが商売だからコストは激増、収入は激減、トラック運転手は走れば走るほど赤字だといっている。 トラックがストップすれば経済は破綻するから止めるわけにいかないのでいずれ運賃は上げざるを得ない。 
運賃のみならず原油の高騰はすべての原材料のコスト高になって表れるのでスタグフレーション(不況下のインフレ)になるのは避けられない。 
国民が生活防衛に走り出したのはすでに統計に表れ各産業も企業防衛に動き始めた。

今年4月までの自動車販売台数は昨年比8パーセントダウン、コンパクトカーが33パーセントもアップした一方、大型SUVは29パーセントもダウンした。 明らかにガソリンを食う大型車は敬遠され小型車に乗り換えているのだ。 中古車も大型車は売れないから新車の価格にまで影響し2-3年前まで人気のSUVも大幅に値下げ、それでも売れないらしい。

フォードは5月22日これに対応して大胆なリストラ策を打ち出した。第2四半期15%生産カット、第3四半期15-20%カット、 第4四半期2-8パーセントカット 主として大型SUVと大型トラックを削減するようだ。 すべてガソリン価格の高騰で売れなくなってしまった車種である。 

一方トヨタと松下はハイブリット車用電池の生産量を2011年をめどに現在の2倍の100万台に引き上げる計画を発表した。 トヨタは2010年代の早い時期にハイブリット車を年間100万台販売する計画を持っておりこれに対応する電池の供給体制を整えるためである。

ここでも日米自動車メーカーの勢いの差が表れている。 トヨタやホンダは着々と将来に向けた開発を怠らず現在のような自動車産業にとって向かい風の時期でも販売を増やすすべをもっている。 一方アメリカの自動車産業は赤字続きで現行車でさえ魅力のある車作りができておらず販売台数が稼げる大衆車と利益幅が大きい高級セダンのマーケットを日本車と欧州車に奪われてしまった。 技術でもデザインでも日本と欧州の後塵を拝している理由はどこにあるのだろうか。 

私は過去半世紀にわたりビッグ3という大きな名前の上にあぐらをかきいつしか競争とチャレンジの精神をなくしてしまったように思われる。 如何にアメリカのマーケットが大きいとはいえ寡占化された市場は守りの姿勢が主になれば活力を失うものである。 GMのキャデラックもフォードのリンカーン・コンチネンタルも老大国の象徴のようになってしまった。 
もう誰も振り向かない。

2008年5月21日水曜日

米大統領選挙(その22) オバマ指名獲得へ

オバマ指名獲得へ

5月20日 予備選大詰めで下記の2州の選挙結果がでた。

            Obama     Clinton
Kentucky     30%       65%
Washington   68%       31%

オバマは一般代議員の過半数(1627)以上を獲得しSuper Delegatesを含む全体の過半数(2026)獲得-指名獲得に向けて一歩近づいた。

両州で同日行われた予備選の結果はどうしてこんなに違うのか。
Kentuckyは従来型産業が多く労働者の多くは組織化・組合化(Union)されている。 Unionに強いクリントンの力がもっとも表れた州である。 特に現在は不況で失業者も多い。 比較的低所得、低教育、高齢者が多くクリントンの支持層が全体としてそっくり当てはまる。
Washingtonはハイテク産業中心で平均所得はKentuckyの2倍、組織労働者の割合は少ない。 教育程度も高く若年労働者が多い。 全体としてオバマ支持層に合致する。
どちらも白人州だから人種的要素は殆どない。

遅れた地域や特定の問題があるところを手当てするのも政治なら先進地域の経済をサポートし環境を整備、投資を呼び込むのも政治である。 しかし遅れた地域のサポートを政治の中核にすると社会に活力は戻らない。 先進経済と投資にばかり偏重すると社会問題はますますひどくなりひいては経済活動も阻害される。 要するに政治はバランスであり特定の階層、産業、社会、人種に偏っては健全な社会の発展はない。 

このような視点から見ればオバマは国政レベルでの経験は少ないが彼の政治思想が全体のバランスを取ることであり複雑な利害が交錯するアメリカを効率的よく調整しかつ新時代へとリードしていくにはオバマが最適であると思う。

ヒラリーが民主党指名がほぼ決着したと見られる2週間前ごろから党内の予備選撤退勧告をものともせず最終プエルトリコの予備選が終わる6月3日までキャンペーンを止めない、予備選からドロップアウトしないと明言している意図はどこにあるのか。 すでに算術的にはオバマに追いつき指名を獲得するのが難しいといわれている中でどうしてこんなに支持者を集め選挙(Popular Votes)そのものでは拮抗しているのだろうか。

クリントンは5月6日のN.カロライナ、インディアナの予備選以降目だったオバマ攻撃をしなくなった。 ヒラリー陣営が新たにキャンペーンのトップに持ち出したのは「すべての人は投票する権利がある」「すべての州が投票する権利がある」 だから最終プエルトリコの予備選が終わるまで撤退しない。 民主主義の大原則“すべての人が投票する権利と機会をもっている” このキャンペーンは効いた。 私もこれには大賛成、ヒラリーは最後まで頑張るべきだと思う。 今まで支持してくれた多くの人のためにも、またこれから支持し投票しようとする人たちのためにも。 ヒラリーは個人的にもオブリゲーションを感じているのではなかろうか。

この原則にかかわるもうひとつの論点は票がカウントされないフロリダ州とミシガン州の問題を持ち出したことだ。 両州は予備選の時期を勝手に前倒しにしたことで民主党本部から懲罰を受け投票しても投票結果は組み入れられないことに決定されている。 民主主義の原則を持ち出して再選挙しようという目論見であろうが途中でルールを変更することは許されない。
それにしてもクリントン陣営とヒラリーのしぶとさ、苦境の中でも決して弱音をはかない強靭な精神力、弁舌の巧みさ - 日本の民主党も見習ったらどうだろう。
もし相手がオバマでなければ、夫がビル・クリントンでなければ、ビルと離婚しておれば予備選はヒラリーの楽勝に終わっただろうなどと事実を横において勝手な妄想を誘うぐらいヒラリーの頑張りは素晴らしい。 
オバマ、ヒラリーこの2人が5ヶ月デッドヒートを続けたからこそここまで予備選が盛り上がり、今まで政治に無関心だった若者たちを記録的な数字で政治に呼び戻した。 
若者こそアメリカの変革を担う中心なのだ。 この意味で2人の功績は大きく大統領になると同じくらい価値のあるものだ。

2008年5月17日土曜日

LPGA Tournament

LPGA Tournament

今週のLPGAトーナメントはニュージャージー州クリフトンで行われているので見に行った。
今日は土曜日、気温は22℃ 少し風はきついが五月晴れでこの上ないゴルフ日和である。
 
お目当ては今年すでに5勝しているLorena Ochoa今年限りで引退するとアナウンスしたAnika Sorenstam, 日本の宮里藍、上田桃子。 

まずパッティンググリーンに行くと上田が練習していた。 初めて見たが体が小さいのに驚いた。 あれでよく250ヤード以上飛ばせるものだと改めて感心。 (後でティーショットも見たがよく飛んでいた) 
ドライビングレンジには韓国の選手が3人いたが体格がいい。 韓国の選手はバネがあり振りがシャープだ。 それにしても最近のLPGAにおける韓国女子プロパワーはすごい。 今回も念のために選手の数を数えてみると139人の参加選手のうち22人が韓国出身である。 層が厚い上に実力もあるので常にトーナメントではトップ10に2-3人は入っている。 どうして韓国の女性はゴルフに強いのだろう。

1人でゴルフを見に来ると気の向くままに選手を追い、気に入った場所でじっくり観戦できるからよい。 男子プロはパワフルすぎてわれわれ素人には参考にならないが女子プロはまだわれわれに近いので参考になる点が多い。しかも自分が勉強したいポイントがライブで観察できるので非常に参考になる。

 
LorenaはTVで見るより背が高い。 細身ではあるが170cm近くあるだろう。 他の選手が大体大きいので小柄に見えたのかもしれない。 彼女の特徴はスイング軸がぶれないこと。普通にスイングしているように見えるがトップからダウンスイングに入るタイミングがシャープでここで力を溜めてスピードのアクセレレーションが生まれているように思う。パットも一直線に転がるようで勢いがよい。 いらないことを考えずたんたんとスイングしてたんたんとパッティングする。 だからよく飛んでパットもよく入るのかもしれない。 
Anikaが今季限りで引退するらしいがまだまだ実力は一流、現に今季すでに2勝して証明している。 彼女もたんたんとしたゴルフで際立って“ここが違う”というゴルフではない。 取りこぼしのない確実なゴルフである。 LorenaとAnikaに共通しているのは安定性があり取りこぼしが少ないということだ。 ゴルフの真髄はそれかもしれない。

このところいろんなスポーツで力を残して引退するケースがふえたがそれもよし。 スポーツ選手は引退といってもまだまだ30代-40代なのでスポーツ以外のいろんなことにチャレンジできるだろう。 一流選手は何をやらしてもできる人が多いのは“仕事のやり方”を知っているのと精神的にぶれないからだろう。

宮里藍はちょっと陰がうすくなった。 ショットもパットも切れがない。 何か迷っているようにも見えるしところどころにポカがでる。 大きい選手に囲まれて心身共に圧倒されてしまったのかな。 彼女はスポーツ選手としては回りに気を遣いすぎ。 まじめすぎるように思う。

宮里も上田も今日を終わって3アンダーと10位タイにつけている。 昨日は雨で試合は取消しとなり本来4日間のトーナメントが3日間に変更された。 決勝はあす日曜日のみとなる。 トップはOchoaの9アンダーであるから追いつくのはちょっと無理かも知れないがぜひトップ10に残るよう頑張ってもらいたい。

2008年5月16日金曜日

地球温暖化と自然大災害

地球温暖化と自然大災害

地球温暖化による気候変動はわれわれが想像している以上のスピードで進んでいる。
2月28日のブログでアメリカの大竜巻のメカニズムと被害について論じたとき今後大きな自然災害が多発するかも知れないことを警告した。 3ヶ月もしないうちにこの予想が当たってしまった
それにしてもこのところアメリカ中部(オクラホマ、ルイジアナ、アーカンソー、ミシシッピ、アラバマ,カンサス、ミズリー)では大型竜巻が立て続けに(ほぼ毎日)発生している。 前線が通るたびに竜巻が発生するのは異常としか言いようがない。  
竜巻は大陸内部で寒冷前線が南下してくるときに南から北上してきた温暖前線に衝突して大気のバランスが崩れ巨大な空気の渦巻きができて発生する。 特に大陸内部では寒暖の差が激しく大きな空気の段差ができて大型の竜巻がとなる。

5月4日にミャンマーを襲ったサイクロン、5月12日に起きた四川省の大地震、アメリカで毎日のように発生している大竜巻、私に言わせればいずれも地球温暖化の影響である。
地球上に大きなエネルギーがたまり過ぎるとサイクロンも台風もハリケーンも大型化する。
海面/海水温が高ければ低気圧がエネルギーを吸収して発達するのだ。 
日本はまだ大型台風で被害を受けていないがこれから台風シーズンに入るので注意が必要だ。

地震も地球温暖化の影響で地表にたまったエネルギーが地中に浸透し地球のプレートが膨張しているためである。 地震も大型化し頻繁に発生するだろう。

地球温暖化は長年の人類の生活から発生した現象(化石燃料を燃やすことによって得た熱エネルギーを利用した生活)であるから対策を打ち出したとしてもすぐに世界中の生活システムを変えるわけには行かないから効果が現れるのは何年も先のことである。 しかも現在はまだ増え続けているのだ。  対策だけでなく早く地球規模で実行しなければ手遅れになる。

2008年5月12日月曜日

サブプライムローン

サブプライムローン

最近の大きな出来事でなかなか理解しがたい事件がサブプライムローンによる金融システムの混乱である。
この事件は誰かが法律を犯したわけでもなく、強制した事件でもない。 複雑な裏取引があるわけでもなく過去に例がない経済事件や経済システムの話でもない。

多くの個人から多くの金融ブローカー、大銀行、投資銀行まですべてが絡み、すべての人が納得して行った金融ビジネスなのになぜこんな世界の金融システムを揺るがすような大事件になってしまったのだろうか。

サブプライムローンという住宅金融は最近始まったものではない。 個人に貸し付ける住宅ローンは個人の信用度によって金利が異なる。 一般に低所得者に貸し付けるのはリスクが高いから貸し渋るかリスクをカバーできるだけの高金利で貸し付けるかのどちらかである。
従来ならば返済能力に乏しい低所得者にはローンしないのが当たり前の話だったが低金利時代の到来と政府の住宅政策によって低所得者にも比較的容易にローンができる環境が整った。

個人的な話だが私はアメリカで1970年代に始めてアメリカで住宅を購入し転勤と家族構成の変化に伴って80年代に2回90年代に1回それぞれ買い換えてきた。 そのときすでに住宅ローンは30年の固定金利と変動型金利が存在しローンを組むときにどちらにするのか選択を迫られた記憶がある。 私は高いときは10%以上から6.25%までそれぞれ経験しているが金利の予想など本来個人には無理な話でそこまで考えてローンを組んだわけではない。
ただし変動型はリスクが多いことは十分承知していたので当然30年固定金利でローンをした。

最近の超低金利時代ではプライムレートが3%で一般の住宅ローンは30年ベースで年5%でオファーされているとしよう。
サブプライムローンはベースが6%(プライム+3%)だが初めの3年間は3%でOK、4年目以降はプライムレート+4%とするというローン契約である。 
4年目にプライムレートが5%になったとするとローン借入者は4年目から9%の金利を支払うことになる。 支払い金利が4%からいきなり9%になっては支払不能になるのは当然だ。

わずかな頭金で支払い金利が3%であればたいていの人が家を買える。 しかも不動産インフレで価格は毎年上がっている。 万一4年目以降支払いが不能になってもそのとき転売すればキャピタルゲインが出て儲かると考える。 個人から不動産ブローカー、住宅ローン会社までほぼ全員こういった感覚ではなかったか。 まさに不動産バブルである。

住宅ローン会社はもともと融資したくなかった信用度の低い個人に融資するわけだからリスクが高いことは承知している。 だから彼らはリスク回避のためこの債権を早く大手銀行に売ってしまう。 大手銀行はリスクが高いことを知りながら高い金利が魅力で買取りさらにリスク分散のため他の債権と共にミックスして証券化し他の金融機関に売ってしまう。 それが世界規模に広がってしまった。 
サブプライムローンはババ抜きのババみたいなものでトランプゲームのババはワンセットに一枚しかないがサブプライムローンのババはほぼババばかりで全員がババつかみになった。
第3ステージ以降はどこにババがあるのさえわからなくなっていたのではあるまいか。
ババが入っている証券は取引しにくいうえ、全員がババもちだからババもちにババを売るわけに行かない。 ババをから必要以上に価格が下がる。 だから大銀行がそろって巨額の損失を出したのではないか。 
しかしたかがサブプライムローンでこんなに損失が出るものか誰か算術的に解説してくれる人はいないだろうか。

では悪いのは誰だ? サブプライムローンのビジネスシステムは異常ではない。 誰もが承知の上での取引である。
ローンの借り手(個人)は少なくとも将来金利が上がれば具体的な金額は別として支払いが増えることは理解していたはずである。 
ローンの貸し手(住宅ローン会社)は支払い能力の低い低所得者であるから金利が高騰すればまたは4年目に大幅に金利部分の支払いが増えれば支払い不能になる可能性が高いことを理解していたはずである。
住宅ローン会社からローンの債権を買取った大手銀行はリスクの高い取引であることを理解していたはずである。 しかも住宅ローン会社は大手銀行の大口貸付先であった。 
大手銀行はリスク回避のためこの債権を転売したいがこのままでは販売が進まないので他の優良債権と共に組合わせて他の金融機関に売さばいたというのが実情であると思われる。

サブプライムローンの取引も従来のようにローン債務者と第一次ローン債権者の間にとどまっておればこのような広範囲に金融混乱が広がることはなかっただろう。 
一般にアメリカの個人の貯蓄率は非常に低い。 アメリカ人の考え方は常に楽観的だが債務者は安易に過ぎたことは否めない。 また住宅ローンの金利支払い部分が所得税控除の対象となっているアメリカの税制が少なからず影響を与えているに違いない。 
住宅を購入したい人々は無数にいる。 住宅ローン会社は競争相手のない顧客に未曾有の低金利でローンを供与するのであるから取引は容易である。 しかし取引が拡大すればするほどリスクが増えるのは知っていた。 そこでローンの債権を証券化して販売しリスクを軽減した。
第一次的な破綻の責任は個人と住宅ローン会社にある。 ここまでなら個人と高利貸しとの関係、またはサラ金システムと大差はない。

しかし大手銀行はこのリスクを知りながらこの債権を意識的に世界中にばら撒いたことは詐欺に似ている。 結果的には自らの首を絞めることになってしまった。 これが金融システムの混乱の原因である。 巨悪は目先の取引拡大と利益の獲得に走った大手銀行ではないか。
大手ほど会社の社会的責任は大きい。 まして大手銀行は半分公的存在に等しい。
もっと社会的責任を自覚してほしい。

しかしどうしてこんな巨額の損失になってしまったのか、金額的にまだ理解できない。

これが私の理解であるが間違いであれば指摘していただきたい。