2008年12月4日木曜日

ビッグ3の救済と議会

12月4日上院(Banking Commitee)によるビッグ3の2回目の公聴会が開かれた。 前回の公聴会ではビッグ3の首脳の対応があまりにもお粗末で今回改めて再建策を聞くことになっていた。

現ブッシュ政権がもとめているビッグ3への救済策を与党の共和党議員が頑固に反対しているのは倒産すれば社会的影響が大きいからといって巨額の税金をつぎ込むのは自由主義経済の原則に反するというものだ。 反対しているのは民主党の議員も同じであるが次期大統領オバマが緊急な援助が必要との認識にたっていることとナンシー・ペロシ下院院内総務の強力な指導のもと一応条件を付けて過半数が賛成に回り救済法案を可決する準備は整っている。

上記のような政権と議会・議員の行動は政治体制が異なるとはいえ日本の政治には見られない風景である。
日本の場合は議員内閣制で首相は衆院議員の選挙で選ばれ通常与党の党首が首相に就任する。 当然のことながら首相と議員の関係は非常に密接であり首相=与党といっても過言ではない。 双方意見が異なる場合でも表向きには事前に調整されて首相=与党の構図は変わらず首相に与党議員が法案をめぐって強力に反対することはありえない。 また日本の場合は党議拘束が通常的で反対は裏切りとみなされしばしば党の懲罰を受けることになる。
首相も勿論衆議院議員であるから立候補した選挙区の選挙民に選ばれたことには違いないが一般国民との距離は非常に大きい。

アメリカの大統領は国民によって直接選ばれるので国民との距離は非常に近く親近感がある。 また議員さんたちも国民によって選ばれているわけだが「民意の代表」という認識が日本の議員さんに比べて格段に強く国民の意見・感情に非常に敏感であって議員と選挙民は非常に密接である。 逆説的に言えば国民の政治意識が議員の国民に対する意識を高めているともいえる。 CNNが今週初めに行った世論調査では国民の61%がビッグ3のBailoutに反対、賛成は31%。 自動車産業の地元ミシガン州でも53%の人がBailoutに反対というから世論に敏感な議員さんたちが党の首脳が賛成しているからといっておいそれと賛成票を投じるわけには行かないのである。

またアメリカの場合は党の方針よりも自分の政治信条と選挙区の意見を優先する傾向にあり大抵の法案に対して共和党、民主党双方に賛成・反対票があり日本の議会のように与党が全員賛成、野党は全員反対とはならない。
現在の日本の政治は国民の意図を離れて議会は政局ゲームの場となってしまった。
日本はねじれ現象で議会運営がデッドロックになり国民生活に支障をきたしているのだが一度党議拘束をはずして無記名投票にでもすれば民主主義が復活し政治が活性化するのではないかと思うのである。