2009年2月28日土曜日

早く総選挙を

日本の政治改革は早期の総選挙しかない。 麻生政権の支持率が10%内外になり国民に見放された以上政権運営は無理なことは明白だし予算案が可決されれば早急に解散するしかない。 
勿論自民党に勝ち目はない。 民主党に期待するというよりは自民党が完全に崩壊しあたらしい政治の形を作り出すことが政治改革への出発点だ。 出来るだけ多くの自民党議員、なかでも高齢議員が落選することが望ましい。
でなければ自民党の再生、ひいては日本の政治改革は難しい。
一旦民主党に政権がわたれば民主党自体も現在の何でも反対党より脱皮して現実的な政策運営党に転換するかもしれない。 さもなければまた新生自民党に政権が移ればよい。
そのときこそ日本に2大政党政治が出来たといえるのではないだろうか。

2009年2月24日火曜日

Obama: 最初の年頭教書

世間では毎日のように大企業の」大幅赤字決算発表と大量解雇の暗いニュースが続く中、年頭教書に集まった両院の議員、招待された人々の間に今まで以上にオバマ大統領への熱い期待と支持が感じられた。 これほどまでに個人的に親しみを感じさせる大統領はいない。 この大統領は何時でも国民の目線で物事を見ているためだろうか。 


大統領は冒頭に国民に対して現在の経済の深刻な危機を認識しそれを必ず克服しようと呼びかけた。 ”We will rebuild. We will recover the United States of America. We will emerge stronger than ever before."


現在の不安な社会の中で国民に自信を取り戻すよう呼びかけられるのは大統領以外にない。 まず金融危機を脱しなければ教育改革もエネルギー問題も医療保険の問題も解決しない。 オバマはなぜ大きな予算が必要か論理的かつ具体的に説明し彼のStimulus Packageの理解を求めた。

とにかく今の金融・経済危機を脱却するには国民の理解と政府に対する信頼が必要である。   大統領の演説はこの一点に絞られたと見てよい。 そしてそれが成功したのは演説後の高い支持率になって現れている。 今後も連日のごとく新しい政策を打ち出してくると思う。

同日バーナンキ連銀議長が議会の公聴会で「2009年中に経済は回復に向かうだろう」と発表しマーケットはすぐに反応し236pts 上げた。 

実態経済はすぐには反応しないだろうが早く自信を取り戻してデフレ・スパイラルに歯止めをかけてほしいものである。

2009年2月18日水曜日

学級委員長のない小学校

日経BPNetのコラムより
「学級委員長」の復活と本当の平等
ー記者は小学校教育のあり方にベーシックな疑問を投げかけているー

Quote
[鳥取県の公立小学校で20年ぶりに「学級委員長」が復活するらしい。]
[asahi.com の報道によれば「学校現場の『平等主義』」の例として、徒競走や学芸会が伝えられているし、J-CAST でも「全員が同時にゴールできるように」とあるのだ。]
[学芸会では主役は交代で…….]
Unquote

私が小学校を卒業したのは半世紀以上前、子供は海外で教育を受けたので日本の小学校で学級委員長がないことを知らなかった。 しかもそれが『平等主義』というれっきとした思想に基づいていることを。

最近の日本の政治の世界を見ればリーダーシップがなく政治が混迷を続けているのは誰もが知っている。
国民の大半は豊富な情報を持っており政治や社会に対する批判力も旺盛だ。しかし誰もリスクを負って行動しようとする人はない。
国際的な組織のトップにたって活躍できるひとは緒方貞子さん以来見かけない。 

このコラムを読んで日本社会のリーダーシップ不足はこんなところに原因があったのかと改めて日本の教育のゆがみを認識した。
人間は3人以上集まれば自然にリーダーが出来てしまう。 そのリーダーの良し悪しとグループメンバーの結束によってそのグループ(社会)の優劣が決まってゆくのです。 所詮人間は動物同様競争社会で暮らさねばならない。 しかし人間は個人にせよ社会にせよ国にせよそれぞれの個性や文化がある。 そんな相違を認識し尊重しながら生活する。 それが社会性というものでしょう。 特に小学校ではそれを教えなければならないと思います。

2009年2月15日日曜日

GMー破産以外道はなし

GMとクライスラーの再建計画提出期限が火曜日に迫っているが肝心のUAWが退職者のベネフィット削減提案を拒否して交渉が行き詰っている。

アメリカ国民は会社の内部事情に精通しており倒産すれば大量の失業者を放出しさらに経済が悪化することは認識しながらもBail Outには批判的である。
車は高い買物であり毎日使用、命を預けている。 経営が危機に瀕している会社が作っている車をいくら値引きしたからといって喜んで買うだろうか。 事実両社の車の販売は月ごとに下降線をたどっておりBail Out Planが通過したとしてしても顧客を取り戻すのは難しいのではないか。

冒頭のニュースに対して国民の反応は90%以上が破綻やむなし、いやむしろ当然と見ており最大の救済策(?)はChapter 11 (会社更生法)だとしているから遅かれ早かれ手続きが取られるだろう。 

Economy Stimulus Packageは昨日議会を通過しオバマ大統領に提出された。 大統領は火曜日にサインし早急に実施に移そうとしている。 しかし自動車産業に関する限り国民に見放されて実効は期待できず大金の無駄遣いに終わる可能性が高い。 不況の対策は出ても実態経済はまだまだ底は見えずむしろこれからもっと深刻化するかもしれない。

クリントン国務長官訪日

2月15日の読売新聞によれば
 [民主党の小沢代表は15日、和歌山市で記者団に、クリントン米国務長官との会談をいったん断った理由について、「私が別に会いたいと言って申し入れたわけではない。2月中とにかく全国を全部回りたいと思っているので、日程上、当初、彼らが言ってきた時間では遠くにいるので間に合わなかった」と説明した。]

小沢代表は自民党との大連立の話も今回のクリントン国務長官との会談の設定経緯といい本来公表してはならない舞台裏の事情をすぐにもらしてしまう。 しかも事実はともあれさも自分が仕掛けないで相手が頼んできたからあってやろうというような態度では政治家としての基本的な資質と信頼に欠けるといわざるを得ない。 このような人物が首相になり外交を展開すると思うと日本の品位を貶めるだけではなく国際的な信頼を失ってしまうだろう。

ちなみに今回の訪日はクリントン国務長官の最初の訪問国であり日本を重要視している現れであると伝えている日本のメディアがあるがそれは的外れである。 アメリカの報道ではアジア外交の重要性を説きながらも日本訪問の目的については全く触れていない。 日本を訪問することさえ触れていないメディアもある。 アジア訪問の目的は短期的にも長期的にも中国と朝鮮半島であり政治的にも経済的にも中国の重要性は増すばかりである。 

アメリカ政府は長年の経験で与党にせよ野党にせよ日本の首脳と会談しても世界をリードするような意見は聞けそうもないし“金”以外に実力はないことを充分知っているから日本訪問はいわゆる儀礼的訪問で充分と考えているだろう。これはアメリカのメディアの報道の仕方を見れば良く判る。  残念ではあるが事実である。

2009年2月11日水曜日

アメリカの議会に学べ

1月28日に下院に上程されたStimulus Packageは$8150億にトリムされて可決された。一方上院では共和党の抵抗にあい法案(絶対)可決に必要な60票の獲得に見通しがつかず採決が遅れていた。 昨日やっと共和党議員3人の賛成票を得て61-36でオバマ案に近い$8380億で可決、後は上院案と下院案をまとめて大統領に提出することになるがここでまた両院の交渉が難航した。 つまり上院が下院案に歩みよるためにはさらに幾ばくかPackageをカットしなければならない。 下院は議員数も多く選挙区の事情もさまざまでせっかく両党でまとめた法案を再検討するのは大変なエネルギーと時間を必要とする。 
自体は切迫しており何としても今週中にはStimulus Packageを成立させ大統領のサインをとり発効させねばならない厳しいスケデュールである。
すべての議員さんは出来るだけ早く法案をまとめねばならないことは承知しているので共和党の主張に配慮して総額$7890億.に圧縮し上下両院の合意が成立した。

注目すべきは法案賛成に回った3人の共和党議員- Arlen Spector(Pennsylvania) Olympia Snowe(Maine) Susan Collins (Maine) である。 
彼らの言葉を借りれば「現在は国家的危機であり今何をせねばならないかを考えたとき法案を速やかにパスさせ経済救済に全力を挙げることである」 
つまり党の基本的な考えや救済金額の大小(出費の詳細)より政策の実施が大事だということだ。 彼らの賛成がなければ法案は立ち往生するところであった。 この3人の行為に対して共和党内部からの批判、または懲罰はありえない。 批判、非難は採決前の討議で行われるべきもので討議を重ねた後の投票は個人の信ずるところに委ねられる。 
アメリカの議会で党議拘束があるのかどうか知らないがTVで議会の採決を見る限り掲示板にはいつも民主党 賛成00票 反対〇〇票、 共和党 賛成〇〇票 反対00票、 合計 賛成00票 反対00票と表示される。 つまり殆どの法案では党の方針よりも議員さん個人の考え方(または選挙区住民のMajorityの意見を参考に)で投票する。 

ここで日本の国会に向けて提案がある。 自民党でも民主党でも各議員の個人ベースでは法案ごとに賛成・反対はあるはずだ。 議員は本来自分の考えに沿って行動したいと思っている。 自民党も民主党も同時に党議拘束をはずし自由投票にすれば議員個人も各法案に対して本格的に勉強するだろうし自由で建設的な意見も出てこよう。 国会は一夜にして活性化する。 こうなると本当に政治家として見識と資質のある人が前面にでてくる。 こうした人たちの議論はかみ合って国民の納得する政治が生まれてくる。 
00村のボス政治から早く脱却して市民社会に相応しい議会民主主義を確立してほしい。

2009年2月10日火曜日

帰ってきた Helen Thomas

昨夜のオバマ大統領の記者会見で久しぶりにHelen Thomasをみた。 しかも長年そうであったように最前列の中央に席をとりオバマにアフガニスタンとパキスタンとの対応についてするどく質問をあびせた。 
Helen Thomas と聴いてすぐに誰だか判る日本人は少ないだろう。 しかし顔を覚えている人は少なくない。 彼女の顔=ホワイトハウス記者会見と誰もが思い出す。 彼女はホワイトハウス付記者団の顔なのだ。 何しろJ. F. Kennedy大統領(1961-1963)以降歴代大統領の記者会見に出席しGeorge W. Bushの2006年3月21日の記者会見まで続いた。 
その日彼女はブッシュにどうしてイラク戦争を始めたのか次のように聞いた。

“I'd like to ask you, Mr. President, your decision to invade Iraq has caused the deaths of thousands of Americans and Iraqis, wounds of Americans and Iraqis for a lifetime. Every reason given, publicly at least, has turned out not to be true. My question is: Why did you really want to go to war? From the moment you stepped into the White House, from your Cabinet—your Cabinet officers, intelligence people, and so forth—what was your real reason? You have said it wasn't oil—quest for oil, it hasn't been Israel, or anything else. What was it?”

ブッシュは“War & Terror”について語りサダムが査察を拒んだからだと真面目に答えた。 しかしそれ以降彼女はホワイトハウスの記者会見の席はなくなった。 
彼女は1920年生まれ。 この時86歳。 もう引退したと思っていた。
大統領番付記者は殆どが30‐40代の若い記者ばかりである。 昨夜の記者会見では13人の記者が質問した。 オバマのホワイトハウスは記者会見の場でさえメディアの大小にかかわらず男性も女性も老いも若きも全員が一同に集まって仕事をするという雰囲気がある。 誰にでも均等に質問の機会があり(おそらく前以てアレンジされていると思う)オバマは誰にでも丁寧に答えた。 オバマは単に記者の質問に答えるのではなくTVを通じて自分を見ている国民を常に意識している。

Helen Thomasは今年で89歳だが今なお現役で記者会見に臨むことが出来る。 何時までも仕事が出来るのはいいことだ。 昨夜の記者会見に出席、質問の機会を得たのはオバマ大統領の優しさからだろう。 

オバマ大統領 東奔西走

オバマ大統領が就任3週間で東奔西走している。 まるで大統領選挙のキャンペーンの続きのようだ。
2月9日昼は失業率が最も高いインヂアナ州Elkhartでタウンミーティング、夜はホワイトハウスで記者会見。 2月10日はフロリダ州Ft. Meyerでタウンミーティング。
大統領としては未曾有の経済危機に対応するため$850Bil.の包括経済救済法案(Stimulus Package)を提出し一刻も早く実施しようとしているが議会の承認が遅れている。 毎日フォーチュン500の大手企業が1000人単位のレイオフを発表、失業率は月末で7.5%に達した。 ダウはじりじり下げてついに$8,000を割り込んだ。 大統領の言葉通りStimulus Packageの実施が遅れれば遅れるほど経済は逆スパイラルにブラックホールに落ち込み回復には時間がかかる。

大統領のワシントン以外での遊説や早期の記者会見はライブで放映されすぐ後に解説者や識者のコメントが放送されるので国民を啓蒙するには最も有効な手法である。 同時に議会に早期法案可決を促すプレシャーにもなる。 彼の目的は一日でも早くStimulus Packageを通すことにある。
オバマ大統領は経済救済法案のみならず自分の政策目標がはっきりしており現状と具体策に精通しているのでいかなる質問にも具体的に答えるので一般市民にとてもわかりやすい。 それにしても彼の演説は説得力があり誰でも味方にしてしまうような魅力が感じられるのはどうしてだろうか。 またメディアの使い方が実に上手である。
Stimulus Packageが実施に移されても即翌日から経済効果が現れるわけではないので国民の理解と辛抱が大切だがオバマの演説を聴いた人は彼ならやれるとまず信頼をよせるであろう。 不況脱却にはまず人々の心理が上向きに転じることが肝心だ。 それにはイラクやアフガニスタンでの戦争を収拾しロシアやイランとの対話を始めることも必要だ。 すでに双方その兆候は見せている。 国際環境が落ち着いてエネルギーや環境問題に本格的に取り組めるようになれば経済は回復基調に転じるだろう。