2008年8月29日金曜日

米大統領選挙(36) 共和党VP候補

共和党副大統領候補 

9月1日(月)から共和党大会がミネソタのミネアポリスで開催されるがそれに先立って本日(8月29日)にマッケーンがVP候補をアラスカ州知事・Sarah Palinにすると発表した。  Sarah Palin, Who? がメディア初め大方のFirst Reactionである。 44歳の女性知事でまだ2年前に初当選したばかり。 中央政界ではほぼ無名でメディアにもサプライズと報道されている。 
実際に彼女を副大統領に指名した理由は単純に考えれば民主党の不満票、ヒラリー支持票を女性候補を立てて集めようということか?  もし女性候補を立てれば女性票が集まると考えるのはあまりにも胆略過ぎる。 また民主党のVP候補 ジョー・バイデンに対抗するには少々役不足ではなかろうか。

彼女を評価するには時間がたりないが今頃各メディアのレポーターが情報集めにアラスカのアンカレッジを走りまわっていることだろう。
民主党党大会でオバマが指名受諾演説をしたあとオバマ支持が5ポイントジャンプした。 今週初めからオバマとバイデンは精力的にキャンペーンに出ている。 どこでも超満員の聴衆、笑顔と歓声で勢いに乗っている。 

先週初めPollではマッケーンとオバマの差は1ポイントまで狭まったがまた開いてしまった。 共和党大会で巻き返しできるかどうか微妙な空気になってきた。

米大統領選挙(35) オバマ受諾演説

四日目民主党大会のクライマックス‐オバマの大統領候補指名受託演説はデンバーInvesco Stadiumに舞台を移して行われた。 通常フットボールゲームで満員になっても65,000人のスタジアムに85,000人ものオバマ支持者がつめかけた。 政治のコンベンションとしては空前の規模である。 

演説の前に彼のBiographyがスクリーンに流された。 彼は公民権法が施行された後に生まれたとはいえまだ人種偏見の根強く残る1960-70年代に彼がまっすぐに将来をみて育ってきたのはなぜなのかを明らかにする答えがここにあった。 それは母と祖父母の愛情であり強く生きていれば未来が開けるという希望があったことである。 その上にアメリカのオープンな教育システムがあった。 オープンな選挙システムがあった。 彼がここまで成功したのは愛情、教育、真の民主主義的政治システムのおかげだということを彼自身がよく知っている。 彼のBiographyと演説の間に乖離はない。 
彼がハーバード・ロースクールを卒業した後引く手あまたの東部法曹界、金融界を振り切ってシカゴに戻りサウスサイドシカゴの恵まれない人々のために活動を始めた。 彼は卒業と同時に政治の原点の活動を始めたのである。 貧しい育ちの人は豊かな生活を求めて勉学に仕事に励む。 恵まれた環境に育った人たちでさえより豊かな生活を求めて勉学や仕事に励む。 これは何も悪いことではない。 しかし彼は自分自身の生活ために勉学に励んだのではなく生きるために苦労している人々を助けるために自分が何をするべきか初めから問い続けた。
この事実だけで彼が本当の政治家としての資質・資格を備えているといっても過言ではない。
だがそれだけでは大統領指名候補にはなれない。 マイノリティの票を100%結集しても白人の大きな支持がなければ今のアメリカでは指名候補にはなれないのである。 言い換えればケネディ家を初めとする進歩的なアメリカ人が年月をかけて本当に開かれた市民社会を目指して活動してきたからこそ黒人大統領候補が誕生した。 これはオバマの勝利というよりもアメリカ市民社会の勝利というべきであろう。  だから今回の民主党大会は民主党のみならず多くの自由人、共和党の一部リベラル派も含めて大いに盛り上がりアメリカの前進として喜んでいるのだ。

オバマの指名受諾演説は彼の信念・政策を力強く明確にアッピールした。 ブッシュ政治とマッケーンの政策が90%はオーバーラップしていることを指摘しながら強烈にマッケーン・キャンペーンを批判した。 その上に家族の絆が大事であること。 無駄な戦争はしないこと。 国民皆保険を目指すこと。 教育を質の高い充実したものにすることなど予備選キャンペーンから打ち出してきた政見の総まとめを披露した。 Biographyから彼の演説の終わりまで彼の言動にはうそがない。 政策実行の段階になって多くの制約があることは彼自身も国民もわかっている。 大事なことはアメリカが目指す方向を内外にはっきりと示すことであり将来に改革の希望があるかどうかということだ。 オバマはそれをはっきりと国民に示した。 そしてこの選挙は「私の選挙ではなくあなた方の選挙なのです」と締めくくった。 その通りだ。 

2008年8月28日木曜日

米大統領選挙(34) 期待される副大統領

期待される副大統領

1月初めから約5ヶ月かけて各州で行われた予備選の結果は暫定的で正式には党大会の投票で過半数の代議員を獲得した候補者が正式の党を代表する候補となる。 (実質的にはオバマ候補が指名獲得することは間違いないが)
その投票が3日目の午後4時ごろから始まった。 通常なら州予備選の結果選出した候補に自州に割り当てられた代議員数を100%この候補に投票するのが慣例であるが今回はヒラリー支持者の強い抵抗にあって党大会でも代議員が自由にヒラリーを候補者として投票することが認められていた。
しかし民主党本部としてはかかる方式はいかにも民主党が未だに分裂状態にあることを世間に見せ付けるようで何としても回避したかった。 ぎりぎりまで折衝を続けたが結局話し合いがつかず各州代表によりオバマに〇〇票、クリントンに〇〇票、棄権〇〇票と投票数がアナウンスされていった。 結果はもちろんオバマがヒラリーに大差をつけて開票がすすめられたがほぼ3分の2を過ぎたころニューヨーク州の投票報告の場にNY代議員と共にヒラリー・クリントンが現れ投票を中止して会場の歓声(Acclamation)でもって指名候補を選出する動議を提出した。
これを受けてナンシー・ペローシ下院院内総務(民主党党大会委員長)が会場に向かってオバマ候補を民主党指名候補にするかどうかを問いかけこれに対して会場は“アイ”と応じてここに正式にオバマ民主党候補が誕生したのである。
初めて黒人が2大政党の大統領候補に選ばれた歴史的瞬間であった。 しかもアメリカの改革という大きな期待をこめて! ついで副大統領もジョー・バイデンに正式に決定された。

正副大統領候補が選出された後の焦点はビル・クリントン前大統領のオバマ支持演説でどのような形で表明されるのか大いに注目された。 何しろ5ヶ月にわたる指名選挙中にオバマ候補に対するネガティブ・キャンペーンを繰り返しヒラリーが予備選撤退を表明した後でもなかなか融和する気配を見せなかった。 アメリカ人には珍しく感情的なこだわりを残し多くの民主党関係者を心配させてきた。 このような状況では演説は非常にむずかしい。 表面は取り繕っても30分もTVにクローズアップされると心のうちまで映し出されてしまうような気がする。 演説前の2-3時間前に会場に座っていたころのビル・クリントンは浮かぬ顔をしていた。

演説では開口一番完全なるオバマ支持を表明した。 そのための理由付けも演説内容も申し分ないものであった。 演説の上手な元大統領が下手なことを党大会でするわけがないので安心して聞いていたがオバマが特に外交に対して未経験という批判と不安に対して自分が最初に大統領に就任したときのことを引き合いに出し経験よりも判断が重要であることを強調した。
経験者が常に正しい判断をするとは限らない。 現ブッシュ政権が外交上で大きな失敗をし中東での混乱、イラク戦争での失態など米国経済のみならず世界経済まで混乱に至らしめるほどの判断ミスをしていると痛烈に批判した。 これはブッシュ政権の批判だけではなくオバマが今まで上院での投票履歴が示すよう自分の信念に基づき正しい判断をしていると見解を披露した。  これは正しい見方でありオバマの未経験を危惧するにあたらない。
ビル・クリントンは自らの経験と論理で以ってオバマの大統領資格を公式認知したのである。

またオバマが副大統領候補に上院外交委員長のジョー・バイデンを選択したことも大いにヘルプである。
本日の最終演説は副大統領候補ジョー・バイデンであった。 彼はペンシルバニア州のワーキングクラスの家庭で育ちデラウエア州から上院議員として当選して以来36年もの間議員生活を続けている超ベテランである。 65歳といえども彼はエネルギッシュで明るい。 アメリカ人が最も好むアメリカ人である。  外交委員長・法務委員長として議会に精通しているゆえにオバマが大統領になれば議会とのパイプ役としても大いに力を発揮するであろう。
また国外でも良く顔を知られており外交のサポート役としても大いに期待できる。 頼もしく信頼できる副大統領になるだろう。
オバマ・バイデンのコンビはアメリカ国民の期待に十分こたえてくれる才能と経験を兼ね備え政治の信頼を取り戻すに違いない。

2008年8月27日水曜日

米大統領選挙(33) ヒラリーの応援演説

ヒラリーの応援演説

予備選で二つに分かれた民主党の結束のキーを握っているのはヒラリー・クリントンである。 
党大会2日目(26日)のヒラリーの演説は民主党のみならず共和党も含めて全米の注目するところであった。 2ヶ月前にヒラリーが予備選レースからドロップアウトしてから今日までヒラリーもビル・クリントンも言葉ではオバマを支持するといいながら本当に100%支持するのかどうか疑問視する声が多かった。 オバマが本選で負ければまた2012年には再チャレンジのチャンスがめぐってくる。 オバマが本選で勝てば2016年までチャンスはない。 政治の本道を離れてヒラリーの損得だけを考えればオバマが本選で負けることを望んでいるといわれてもおかしくはない。

現在民主党におけるヒラリーの役割は本選でオバマに投票することをためらっている支持者にオバマに投票させることである。 熱烈なヒラリー支持者に一時の感情に走ってマッケーンに投票するようなばかげたことをしないよう強い口調で説得した。 ヒラリーの演説は一点の翳りもなく100%オバマを支持するに十分な内容と説得力に満ちていた。 演説草稿者がいかに論理を明確に構築し一語一語を吟味して草稿したかが伺われる演説でもあった。 しかも彼女自身の考え方、将来に対する政策上の注文も忘れなかった。 もともと演説は数多くの議員の中でも1-2を争う名手である。 その上今回は何度も自ら目を通し繰り返しリハーサルしたに違いないと思われるほど完璧であった。
キャンペーン中にも感じたが彼女は誰よりも大統領にふさわしい資質と才能を兼ね備えた人物である。 しかし時が味方しなかったのか何かが欠けていたのかついに初の女性大統領は誕生しなかった。
 
しかし今回のオバマ支持演説は民主党に対してもオバマに対してもまたヒラリー自身に対しても100%価値のある有効な演説でヒラリーの政治家としての評価も再上昇するに違いない。

2008年8月25日月曜日

米大統領選挙(32) 民主党大会

主役:ミッシェル・オバマ

民主党大会がはじまった。  25日(月)から28日まで(木)の4日間民主党の主要人物がオバマ候補を盛り立てるため共和党の現ブッシュ政権の失政を非難しマッケーンの政策をその延長として批判する。 その上に全米の耳目を集めているのはオバマが本選で勝てるか否かは予備選で最後まで激しい戦いを続けてきたオバマ陣営とクリントン陣営がいかに結束できるかにかかっているからだ。 だからオバマ支持演説に立つ民主党のVIPたちは民主党内部に向けても慎重に言葉を選んで演説しなければならない。 従来とはまったく異なった緊張感に満ちた会場の雰囲気となった。 

初日の主要演説者はナンシー・ペローシー下院院内総務、キャロライン・ケネディ、エドワード・ケネディ上院議員、ミッシェル・オバマである。
エドワード・ケネディ上院議員は春に脳腫瘍で倒れ病気療養中にもかかわらず元気な姿を見せオバマ支持の強力な演説を行った。 予備選中の重要な時期にオバマ支持を表明して以来ケネディ家は強力な援軍となった。 本選でもヒスパニック・ラティノ社会には絶大な影響力を発揮するだろう。 誰よりも強力な味方である。

本日最も注目されたのは当然ながらミッシェル・オバマである。
彼女は予備選期間中に「今回アメリカを初めて誇りに思った」と発言して多くの批判を浴びた。 それだけに今回の演説は言葉を選びながら落着いた口調で自分自身とオバマ候補の生立ちと経験を話しながらいかに自分たちが庶民レベルの生活や弱者の苦悩を自分のこととして理解しているかを訴えた。 実際に彼らはハーバード・ロースクールを卒業してからシカゴにもどり弁護士をしながら貧困地域であるサウスサイド・シカゴの再生に取り組んでいる。
マイノリティと貧困の社会からトップエリートまで上り詰めた2人の半生記は新しいアメリカ社会のお手本でもある。 現在はアメリカのエリートには違いないがこの二人が貧困と差別を語るとき彼らの言葉を疑う人はいない。 そしてこの二人が社会の改革を訴えるとき多くの人が共鳴するのである。

この日の彼女の演説は内容も口調もすばらしかった。 並みの才媛ではないことは判っていたが今回ファーストレディとしての資格十分であることを証明した。 演説が終わった後二人の娘さんが登場し同時に大きなバックスクリーンに映し出されたオバマ候補と家族の会話を交わした一瞬はナイスファミリー・オバマ家を印象付けるに十分な演出であった。 
十分に計算された演説や演出であるがそれを演じるアメリカの政治家は随分役者である。

2008年8月24日日曜日

北京オリンピック閉幕

北京オリンピックは世界を近づけた。

北京オリンピックは息を呑むほど華麗で斬新な演出で世界の人々の魅了した開会式で始まり毎日多くの世界記録をぬりかえるなど白熱した競技がつづいた。 閉会式も開会式に劣らぬ豪華な演出でこれが共産主義中国なのと今までの自分の中の中国のイメージとあまりにもかけ離れているのである種のショックを受けている。

主催国中国の活躍はメダルの数に表れている。 金メダルの数は51個とダントツの一位、メダル獲得総数は100個でアメリカについで第二位、中国の実力、13億の人民の底力をを見せ付けられたオリンピックであった。 中国国民の自信と誇りを満足させるに十分な成績ですべての点で北京オリンピックは成功したといってもよい。  私が認識を新たにしたように世界の人々の認識度も変わるだろう。
(各国メダル獲得数:読売Online http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/record/me.htm )

東京オリンピックで日本の街も人も変わったように中国国内でも町や人も変わってくるだろう。 オリンピック開催以前に心配されていた運営や中国国民の観戦マナーも特に問題なくすばらしい演技や試合には外国選手・外国チームにも惜しみない拍手を送っていたことを思えば中国全体が早晩国際的にもトップレベルの市民社会の仲間入りすると思われる。 私が認識を新たにしたように世界の人々の認識も変わるだろう。 
いたずらに中国の遅れているところを指摘するだけでネガティブな見方に固執してしまうと自分が置いてけぼりになってしまう。 

オリンピックは国別対抗競技だ。 国別べダルの数はいろんな意味で各国の力また勢いをあらわしているように思えてならない。
中国、アメリカ、ロシアのトップ3は世界の大国でで驚きはしない。 それ以外の国の活躍で注目されるのは韓国とイギリスである。 韓国は金メダル獲得13個(7位)、総メダル獲得数31個(8位)は大金星といってよいだろう。 まさに世界のRising Sunといってもよい活躍ぶりである。 日本は野球も韓国に完敗したけれど隣家の活躍に心から拍手を送ろう。
イギリスは金メダル19個、総メダル数47個堂々の4位である。 次回開催国の維持を見せた。

日本は金メダル獲得数では8位、メダル総数では11位よく健闘したほうだと思うが人口や経済力に比べると物足りなくスポーツではかひ弱さを感じる。 オリンピックは日本人の性格や社会におけるスポーツのあり方を感じさせる時間であった。

2008年8月23日土曜日

米大統領選挙(31)オバマ/バイデン

オバマ VPを選択

メディアは数日前から民主党のVP候補をインディアナ選出上院議員エヴァン・ベイ、バージニア州知事ティム・ケイン、デラウエア選出・上院外交委員長ジョー・バイデンの3人に絞っていた。
22日(金)の朝には消去法でジョー・バイデンが最有力と伝えていた。

23日午前3時にオバマ候補が約束していたように支持者にはE-mailでVP選択を伝えられた。 それ以前にLA Timesがこのニュースをスクープしたようである。

私はジョー・バイデンの選択が大統領選挙にも大統領の補佐としてももっとも適切で強力なコンビであると思う。 ジョー・バイデンは議員暦36年、上院外交委員長・上院法務委員長として内外に顔を知られている実力者である。 オバマが未経験といわれている分野をカバーするには最適に人物であり彼の明るく気さくな性格はアメリカ人が最も好むタイプの人間である。 

この1週間ほどオバマの人気は下降気味でポールではマッケーンとの差は1-2ポイントに狭まってしまった。 北京オリンピック最中のグルジア紛争が夢を描いていたアメリカ国民を厳しい現実に引き戻した。 オバマは予備選の間アメリカの現政権を批判しアメリカの理想を語った。 マッケーンは現実への対処を重視した。 アメリカの大半の国民はイラク戦争は間違いだとしておりテロとの戦いにも疲れが見えている。
何か新しい希望が必要なところに理想を掲げたオバマが登場し熱狂的に歓迎した。 国民は“Something Change”を望んでいる。 しかし現実は甘くない。 国際的にはグルジア紛争が勃発し国内的には金融システムが揺らぎ不況色を強めている。 予備選の間しばらくアメリカの理想に酔っていた国民が厳しい現実に酔いを醒まされたということだ。

大統領選挙本選はマッケーンの現実論かオバマの理想論かということになる。

理想や希望を忘れてはアメリカがアメリカでなくなるのでアメリカの国民のみならずアメリカを世界の希望と思っている外国の人々にとっても今回の選挙は重要なのだ。
民主党がオバマvs.ヒラリーの確執を忘れてオバマ/バイデンをサポートすればオバマ大統領の誕生は確実になる。 

2008年8月18日月曜日

オリンピック 報道と政治

北京オリンピック なかなか見られない日本の試合

開幕してから1週間たった。 主催国中国とアメリカの活躍が目立つ、金メダルの数は中国、総メタル数はアメリカがリードしている。 ついでロシア、ドイツ、フランス、イタリアとヨーロッパの主要国が続いている。 アジア勢では韓国の活躍がめだっている。 日本は予想どうりというところだろう。
実はこの数字インターネットでUSA Todayから拾ってきたものだ。 アメリカではNBCが放映権を取って報道しているが内容はアメリカのゲームばかりで日本のゲームは殆ど写らない。
Liveの放送はもちろんあるがアメリカの選手が出場しメダルが取れる試合ばかりで柔道にせよ卓球にせよ試合の放映はおろか結果さえも報道されない。 
NBCは民間放送で広告収入でビジネスが成り立っている。 したがって米国で人気のあるスポーツでしかも入賞可能なスポーツを放映して視聴率を稼がねばならないこと理解できるがアメリカは多民族国家で多数のエスニックが母国選手の活躍を見たがっていることもわかってほしい。
結局私は北島選手の100m・200m平泳ぎの優勝は見ることができなかった。

最近のオリンピックは種目が多すぎるので一日24時間報道を続けても全部を放映することは難しいだろう。 世界的にポピュラーでない野球やソフトボール、ハンドボール、毎年4大トーナメントがあるテニスなどははずしたらどうだろう。 
オリンピック委員会は拡大するばかりでなく次回からもう少しコンパクトにすることを考えるべきだ。 
オリンピックが国別対抗戦が原則なのはわかるが今回の中国ようにあまりにも国家が前面に出て国威発揚の場として利用されると純粋にスポーツの祭典とはいえなくなってしまう。


追記: NBCの系列でケーブルTV局、ニュースのMSNBCと経済マーケットニューズのCNBCでもオリンピックを放映していた。 それでも原則はおなじ事、 アメリカ選手が活躍する競技以外はなかなか見られないのである。 

2008年8月14日木曜日

息子の誕生日

息子の誕生日

今日は息子の誕生日だ。 はや33歳になる。  
アメリカで働き始めてから10年、 仕事にも人間自身も自信ができてきたように見受けられる。 一家にあってはよき夫、 二児のパパである。 
頭はよいほうだが学校での勉強は好きではなかった。 もちろん秀才タイプではない。 成績は中の上。 親に似て背も低くハンサムとは言いがたい。 何事につけ常にスロースターターで初めから先頭集団で周囲の注目を集めることもない。 しかしレースが終りに近づけばいつも先頭にいる。 強力なリーダーシップを発揮するわけではないがいつの間にか集団の中心にいる。 男女を問わず秀才からドロップアウトまで友達の幅は広い。 日本人の駐在員の子弟としては(現在はグリーンカード保持者であるが)もっともアメリカ社会に溶け込んでいるうちの一人だろう。

彼自身はサッカーのおかげだといっている。 彼は4歳から19歳までサッカーを続けてきた。 
走るのが速く身のこなしもきれいで高校まで学校や所属クラブの主力選手として活躍したおかげでいつも注目を集めていた。 本来控えめな息子だったがスポーツに言葉は要らない。 言葉のハンディがある外国人にとってスポーツは強力なコミュニケーションツールである。 特にアメリカでは強い選手が尊敬される。 女の子にも人気がある。 
テキサスから転入したニュージャージーのマウンテン・レイクス高校は一学年90人ぐらいの小さな学校だからスポーツは盛んでも一般的にチームは弱い。 例外的にアメリカンフットボールは強かったので運動神経の優れた生徒はフットボールに入ってしまう。 サッカーチームは選手を集めるのさえ苦労した。 時折人数が足りずにフットボールの選手を借りてきて試合をしたこともある。 それでも彼がキャップテンを勤めた最後の年はシーズン成績を5分5分にもっていった。
彼は弱小チームを平均まで引き上げた功績により80年の歴史で3人しかもらっていないスポーツ栄誉賞を20年ぶりにもらった。  フットボールのキャプテンやサッカーの仲間たちと生徒会の役員に立候補し当選した。 演説は下手だがウィットがあって大いに聴衆に受けたそうだ。 
彼は性格的には頑固だが人のことはよく聴く。 息子と話しているときはいつも心地よい安心感がある。 自己主張するよりも聞き手になるほうが多い。 彼がアメリカ人に好かれる理由 はこの辺にあるのかもしれない。 
他人の意見は聞くとしても芯の部分はまったくぶれないので彼自身の考え方や個性を失うことがない。 友達に言わせれば日本人とアメリカ人の良いところばかりを集めているという。 私も見事なバランス感覚を持ち合わせていると思うがこれは高校・大学・会社・結婚を通じて多種多様の人々と交流して来たからに他ならない。 
私の33歳時と比べてはるかに大人であり世界も広い。 アメリカで育ってよかったと思う。 グリーンカードを取りアメリカに滞在を続けた意義があった。  彼はこれからが人間として成熟していく時期になる。 孫を含めた家族全員の成長が楽しみである。

米大統領選挙(30)副大統領選び

本選前の副大統領選び

民主党の全国大会は8月24-28日にデンバーで、共和党の全国大会は9月1日―4日までミネアポリス・セントポールで行われる。
大統領選挙で論点は出尽くして政策論争に新たな展開はなく中だるみの感じだ。 だから今頃選挙には無意味な元民主党大統領予備選に出ていたエドワード元上院議員のセックススキャンダルがメディアのトップを飾っている。

オバマ対マッケーン、本命の対決に私の気持ちがそれほど盛り上がらないのは次のような状況による。
l オバマvs.ヒラリーの対決があまりにもヒートアップした後で本選への関心が薄れてしまった。
l オバマとマッケーンはイラク戦争に対する評価や収拾・撤退の仕方について見解の相違はあるが私は基本的な考え方に相違はないとみている。
l キャンペーン・政策論争で新しい論点が見つからない。
本選まで後3ヶ月を切っている。 党大会後に早く二人のディベートを聞いてみたい。 おそらく政策論争よりも二人のパーソナリティ、ディベートでの印象がIndependents, Swing votersの決定要因となるだろう。 この点ではオバマに軍配が上がるだろうからオバマが若干優位に立つと思われる。

現在の国民の関心はもっぱら両党の副大統領選びである。 マッケーン、オバマ両候補とも一切VP候補を口にしたことはないがメディアや周辺があれこれ候補を推測したりしている。 確信できる情報はまったくない。 両候補とも自分の弱点をカバーできる人物またキーとなるスウィング・ステートに強い人物を選びたいだろうが党内の保守勢力とのバランスも取らなければならず難しい選択を迫られている。 自分を上回る実力者をVPにすると政権運営に支障をきたす恐れもある。 
オバマのVP選びはより微妙で複雑なバランスの選択を強いられるだろう。 民主党予備選でヒラリーとの厳しい対決を続けてきただけに党内の亀裂はまだ十分に修復されていない。 一部のヒラリー支持者がオバマには投票しないというような状況が改善されなければ本選での勝利はおぼつかないからだ。 だから未だにヒラリーをVPにするのではないかとの憶測もながれている。 
これだけは止めたほうがいい。 オバマがオバマでなくなってしまう

2008年8月9日土曜日

北京オリンピック開会式

北京オリンピックが始まった。 12時間遅れで開会式を見ている。 
開会直前まで国内外で事件で国際的な批判の的になっていた中国。 果たしてうまく行くのかどうか不安を抱えながらの開幕であった。 しかし開会式が始まるや否やそんな危惧が吹っ飛ぶほど見事なエキジビションである。 演出、構成、技術、芸術性いずれをとっても今まで見たオリンピック開会式の中でOne of The Bestだと思われる。 しかもさすが中国と思わせるほどスケールが大きい。 
北京オリンピックは最新の中国を世界に見せつけるための国家プロジェクトである。 この目的は開会式に関していえは100%成功といってよい。 ブッシュもプーチンもサルコジも福田首相も出席してくれた。 これだけそろえば胡錦祷主席も面子を失わずにすんでさぞ満足だろう。

最初のエキジビション2000人のドラムのパフォーマンスを見てその迫力に圧倒されると同時にふと一昨年東京で見た「秦の始皇帝と兵馬俑」を思い出した。 絶大な権力を持つ皇帝と選び抜かれた精鋭の兵士たち。 上空から撮影された映像がまるでコンピュータグラフィックを見るように動きが一糸乱れずコントロールされている。 クローズアップされる演奏者の顔がキリとしてまるで始皇帝の兵士のようだ。 中国は歴史的に強力に中央集権化された世界最大の国家である。 最高の知能と技能を結集すればこれくらいのことはできて当然である。 しかし私たちが今見ているこの映像は中国の先端部分であって中国全体を体現するものではない。 平均の中国像との格差はどの国よりも大きいといわざるを得ないだろう。

今演じられているこの技術と文化が中国の市民レベルまで浸透するにはしばらく時間がかかるがこの動きは止まらない。 オリンピックを契機にますます加速することが予想されるだろう。  とにかく中国は急速に変化を続けるだろうがそのインパクトは日本と日本の国民に大きな影響を及ぼす。 アメリカも民主党であれ共和党であれ新しい政権の下でチェンジする。 日本はじっとしておれないのだ