2008年8月25日月曜日

米大統領選挙(32) 民主党大会

主役:ミッシェル・オバマ

民主党大会がはじまった。  25日(月)から28日まで(木)の4日間民主党の主要人物がオバマ候補を盛り立てるため共和党の現ブッシュ政権の失政を非難しマッケーンの政策をその延長として批判する。 その上に全米の耳目を集めているのはオバマが本選で勝てるか否かは予備選で最後まで激しい戦いを続けてきたオバマ陣営とクリントン陣営がいかに結束できるかにかかっているからだ。 だからオバマ支持演説に立つ民主党のVIPたちは民主党内部に向けても慎重に言葉を選んで演説しなければならない。 従来とはまったく異なった緊張感に満ちた会場の雰囲気となった。 

初日の主要演説者はナンシー・ペローシー下院院内総務、キャロライン・ケネディ、エドワード・ケネディ上院議員、ミッシェル・オバマである。
エドワード・ケネディ上院議員は春に脳腫瘍で倒れ病気療養中にもかかわらず元気な姿を見せオバマ支持の強力な演説を行った。 予備選中の重要な時期にオバマ支持を表明して以来ケネディ家は強力な援軍となった。 本選でもヒスパニック・ラティノ社会には絶大な影響力を発揮するだろう。 誰よりも強力な味方である。

本日最も注目されたのは当然ながらミッシェル・オバマである。
彼女は予備選期間中に「今回アメリカを初めて誇りに思った」と発言して多くの批判を浴びた。 それだけに今回の演説は言葉を選びながら落着いた口調で自分自身とオバマ候補の生立ちと経験を話しながらいかに自分たちが庶民レベルの生活や弱者の苦悩を自分のこととして理解しているかを訴えた。 実際に彼らはハーバード・ロースクールを卒業してからシカゴにもどり弁護士をしながら貧困地域であるサウスサイド・シカゴの再生に取り組んでいる。
マイノリティと貧困の社会からトップエリートまで上り詰めた2人の半生記は新しいアメリカ社会のお手本でもある。 現在はアメリカのエリートには違いないがこの二人が貧困と差別を語るとき彼らの言葉を疑う人はいない。 そしてこの二人が社会の改革を訴えるとき多くの人が共鳴するのである。

この日の彼女の演説は内容も口調もすばらしかった。 並みの才媛ではないことは判っていたが今回ファーストレディとしての資格十分であることを証明した。 演説が終わった後二人の娘さんが登場し同時に大きなバックスクリーンに映し出されたオバマ候補と家族の会話を交わした一瞬はナイスファミリー・オバマ家を印象付けるに十分な演出であった。 
十分に計算された演説や演出であるがそれを演じるアメリカの政治家は随分役者である。