2011年3月31日木曜日

センセーショナルな米メディア

福島第一原発の事故は決定的な解決策がなく先行き不透明、しかも高濃度の放射能が広範囲に観測されている折から日本のみならず世界各地で不安が広がっている。中でもアメリカではCNN, Fox Newsなどは日本が原発事故をコントロールできないことに苛立ちをみせておりいっそう過激に報道している。 本日のFox News.comは ”Japan Nuclear Rescuers; Inevitable some of them may die within weeks" などとセンセーショナルに伝えておりこれは作業員の母親が心配して言ったことをHeadlineにしているだけであって科学的根拠や公式データに基づいて報道しているのではない。 ただしアメリカのジャーナリズムは日本政府と東京電力の発表にはかなり懐疑的になっていていつも情報を隠匿または粉飾しているのではないかとの不信感がベースにある。日本政府が情報を隠しているとはおもわないが日本語の曖昧さと表現の稚拙さが外国メディアをいらだたせている原因かもしれない。 これは何も今回に限ったことではなく日本人としてまた国として考えねばならないことだろう。

2011年3月27日日曜日

アメリカも津波の被害

シアトルにかえって4日目(地震から一週間後)にとなりのジャックさんにあった。 彼は地震のときハワイのマウイ島で娘さん家族とヴァケーションだったが津波に遭遇した。 始めは遠くまで潮が引いた後2フィートの高さの津波が押し寄せてきたと。 逃げる途中に一人が転んで怪我をして病院に運ばれたと。またオレゴン州カリー郡の津波被害に対しオバマ大統領が災害救助法を発令した。日本の地震・津波被害があまりにも大きいのでその他の地域の被害はあまり話題になっていないが太平洋の反対側でもかなり大きな津波が押し寄せて来たようだ。

2011年3月23日水曜日

波及的経済の破壊を防ごう

福島県の一部の畑でほうれん草や牛乳が放射能の食品規定値を上回ったという。 標準値を上回ると汚染されたということかも知れないが一年間食べ続けても健康に影響が無い程度の数値であれば「汚染」という言葉は避けねばならない。

その程度のことで買い控えたり食物として受け付けないのは科学的知識が乏しく何かにつけて過剰反応する自己判断能力のない人といわれても仕方がない。 しかし日本ではこのような傾向が強くいたずらに不安を拡大しいるように思えてならない。

子供を持つ家庭なら安全を期すために充分注意するに越したことは無いが50歳以上であれば少々のことで右往左往してはならない。 一度は生産者の立場にたって考えてみよう。 地震で打ちのめされた地方経済をこれ以上痛めつけてはならない。 復興に協力する気があるなら福島産のほうれん草と牛乳をどんどん食しようではないか。 

2011年3月21日月曜日

自粛はいけない

世界フィギュア日本開催返上、プロ野球の開催延期、長野マラソン中止など各地で各行事の自粛が広がっている。 巨大な災害の直後にスポーツや行楽どころではないのは良く理解できるが全ての日本人が災害にあわれた人々にきずかって多くの行事を自粛するのは適正な行為だろうか。

東北地方では人命はもとより計り知れない経済的ダメッジを被ったがこれは被災地、被災者のみならず支援する側のその他の日本全土にも深刻な経済被害を及ぼしている。 我々がしなければならないのはできるだけ経済活動を活性化し利益を上げ税金を多く納めることと余力があれば被災地に義捐金を送ることであろう。 

いたずらに悲観するより明るく振舞ってできるだけ平常の経済活動をすることこそ国家経済を支える基本だと思う。 日本全体が自粛すると日本経済は破壊される。 失われた20年をさらにひどくしないためにも明るく頑張らなければならない。 経済は心理である。

2011年3月20日日曜日

政府の足を引っぱるな

未曾有の災害で被災者、自治体、政府、それに直接被災しないとしても近隣の住民は大変だと思う。 日を追うにつけ救助、支援がはかどらないのがはっきりしてきた。 みんなが何とかしたいと思いながら一所懸命動いているが全体を統括・指揮する人、複数の組織の連携がないので救助活動が実効できないでいる。 これは一刻も早く改善すべきである。

確かに政府の対応は満足のいくものではない。 しかし前例のない大災害である。 このような事態では当座60%でも対処できればよしとし手当たりしだい次の手を迅速に打つべき出る。 批判しても始まらない。

野党は勿論、民主党内部から政府批判も出ているが一部でも政争に利用とするのであれば見苦しい。 メディアは政府批判をせず政府批判をするものを批判すべきだ。 この時期メディアの役割は大きい。

2011年3月19日土曜日

原子炉事故と公表の仕方

原子力発電所の事故についての政府の発表にもどかしさを感じているのは私だけではあるまい。 その理由の一つは発表するのが官房長官であって原子炉、原子力発電の専門家でないということ。 情報は正確でなければならないが専門、詳細すぎて国民に判りにくいということではいけない。 情報の発表は専門家が一般国民にわかるよう噛み砕いて発表すべきであり政治家はその情報に基づいて対策をたて国民を安心、安全を与えればよい。要するに国民が知りたいことを迅速に判りやすく伝えるのが政府の役割だろう。 形だけの政治主導はかえって混乱を招く。 

政府は国民がパニックに落ちらないように慎重に報道しているのはよく判る。 時には発表を急がず小出しにしてインパクトを和らげることが必要かもしれない。
現状にあっては枝野官房長官はベストとはいえないが最大限よくやっていると思う。

2011年3月17日木曜日

情報の公表と災害への対応

正直言って政府の発表と対応は総花的ですっきりとしていない。 未曾有の危機には違いないが情報の把握・公表、対応策の決断の仕方と実施のスピードにもどかしさを感じる。 官房長官が全てを発表する必要はないと思う。 原子力保安院の説明もすっきりしていない。 たとえば原子炉の状況については原子力発電の専門家が説明したほうがスピードがあってしかも判りやすいはずである。 また被害の現状・詳細は結果の調査報告であり今重要なことではない。

最も重要なことは原発事故の対応と被害者の直近救済である。
原発事故に対しては首相が自衛隊、警察、消防に対応することを命令しあとは任せればよい。

政府として最も重要なことは孤立している被害者の支援だろう。 効率的にスピードを上げて支援するには数ある組織を総合的にまとめて指揮するリーダーが必要だ。 とりあえず復興庁を設立して全体を動かさねばならない。

情報と認識の相違(2)

13日に宿泊したのは東京駅の丸の内ホテル。 歩いて一分の東京駅に最も近いホテルで窓から駅のホームが見える。 駅のホームには人影はなく道ゆく車も人もまばら。 14日の朝TVのニュースを見ると計画停電のためJR,私鉄とも主要路線が殆どストップ。 成田空港まで総武線ないしNarita Expressで行くつもりだったので念のため朝食を済ませたあと東京駅に行き駅員さんに確かめたがいずれも運行取りやめ。 昨日はなんら問題なく走っていたのに地震被害のためならいざ知らずいきなり計画停電で首都圏の足が殆どストップするとは何か割り切れない気持ち。 当然道路も混雑が予想されるがバスしか方法がないのでホテルに時間を問い合わせたが定刻運行はできていないとの返事。 

これではシアトル行きをあきらめて兵庫県の実家に帰らざるを得ないと思っていたところ娘から電話があり八重洲側に空港行きバスのターミナルがあるのでこれで早めに出かけるようアドバイスを受ける。 すぐにターミナルに行きバスの運転手に確認したところ道は全く問題なし。 成田空港まで60-90分で行くという。 東京駅地下街、デパートは全て開店,人出も増えてきた。 これなら東京は大丈夫とひと安心。

シアトル行きフライトは午後5時55分なので充分時間があったが11時半ごろにチェックアウトしターミナルに向かった。すでに100人ほど並んでいたがバスが3台並んで待っていたのでこれなら待ち時間もなく乗れると一安心。 外国人が半分ぐらいいたが大きな荷物を抱え一目で緊急避難とわかる。 後ろに並んでいるイタリア人に声をかけるとあとの混乱が予想されるので自発的に帰国するという。 普通なら八重洲ターミナルから出るのは殆どビジネス客か観光客だろうが今日は様子が違って緊迫感が流れていた。

成田空港は混雑していた。 春休みで海外向けの観光客も多い中やはり避難の外国人が目立った。 妻子だけ帰して主人だけ残る家族が見られ思わず娘家族を思い浮かべた。 出国口で前に並んでいる3人の子供ずれのお母さんを手伝ってゲート近くまで送っていった。

あとは通常どうりシアトルに向かって飛び立った。

帰宅してTVを見ると24時間前には見られなかったすさまじい津波の映像が次々と映し出され被害の大きさをあらためて知った。 一年前のハイチ地震以来のぶっ続けの放映である。 同時に原発事故に関して非常に神経質な報道をしている。 地震や津波のすさまじさに驚きながらもアメリカの関心は原発にあることがはっきりわかる。原発に関して先行き不透明であること、アメリカは30年前に3マイルアイランドの原発事故があっただけに余計神経質になっているのかも判らない。 日本の報道はニュートラルから少し楽観的(希望的)な感じがしたがアメリカの報道は明らかに最悪のシナリオをベースに描きながら報道している。 少しオーバーかなとも思いながらもアメリカのTVの解説のほうが問題点を絞っていて判りやすい。(言葉のせいかもしれないが) アメリカのTVを見ていてこれは容易ならざる事態になったと認識を新たにした。 

2011年3月15日火曜日

情報と認識の相違(1)

地震の起きた3月11日は妻の実家のある兵庫県にいた。 地震直後はマグニチュード8.4と伝えられそれだけで驚いたが地震と津波、原発の事故の詳細はまだ判らなかった。

東京でも大きく揺れたとみえ交通機関が麻痺し都心で働いていた人は歩いて帰宅しなければならなかった。 私は夕方から夜にかけて帰宅する人のTVの映像を比較的醒めた目で見ていた。東京は交通機関がストップしているとはいえダメッジは大きくなさそうだし何よりも人々が落ち着いて行動している。 東京とは大災害に備え広報と訓練を徹底しているのでさすがに落ち着いているなと感心した。

東京在住の娘夫婦は義父を見舞うため午後に東京を出て地震のときは新幹線の中だった。 幸い少しの遅れで兵庫県の妻の実家に到着した。 

翌日12日(土)になって被害の状況が次第に明らかになってきた。 娘の主人はフランス人で東京にオフィスをもっている。 社交的でフランス大使館初め多くのネットワークをもっているので一日中情報収集していた。 夜になって薬局にヨードを買いに行くという。 原子炉の事故で放射能漏れの危険に対処するためという。 結局2軒回ってもヨードは一般には売っていないらいしいことがわかった。 実は地震直後パリの実家から安否を気遣った電話があり母親がパリでヨードを買いに走ったらヨードは政府が管理しており市販されていないらしい。 ヨードは劇薬のはずだから日本でもフランスでも当然のことだ。 いささかオーバーリアクションと思ったが行動のすばやさには驚いた。(あとで知ったがヨードは放射能被爆に濃くかはあるらしいが素人では遣えないし副作用も大きいので慎重に対処するよう政府からも注意を呼びかけていた)

13日(日)には高校の東京クラス会有志が久しぶりに帰国したの私のために懇親会を開く予定になっていた。 幹事とメンバーに見舞いと開催の有無を問い合わせる(当然キャンセルと思っていた)メールを送ったが大したことはないから予定どうり行うという。 別のメンバーからも人数が減ってもやろうと返事がかえってきた。 東京在住の人が大丈夫というので行くことに決めたが妻は大反対。 しかし14日には成田経由シアトルに帰るつもりだったので全く心配もせず東京に行くことにした。

13日朝早く新幹線で東京に向かう途中 妻、娘、娘の主人、アメリカの在住の息子も含めて入れかわり立ち代り携帯に電話がかかってきて東京は危険だからすぐ兵庫県の実家に戻れという。 この時点で娘の主人は東京のオフィスを閉め大阪で指揮を取ることに決め家族(娘と孫)はシンガポールに避難することを決めていた。 彼は友人から極秘情報をもらったので東京に止まるのはよくないと強い口調で引返すことを主張した。 娘は東京に直接大きな被害がなくとも脱出ラッシュで身動き取れなくなるかもしれないのでできるだけ早く東京を出るように薦めてくれた。 忠告は有難いがこの時点ではまだいささかオーバーだと思っていた。

東京は日曜のせいか人数は少なめだったが何事もなかったように落ち着いて静かだった。 交通機関は正常どおり。 レストランや小売店も全てオープン。 一昨日の帰宅混乱はどこの話かと思うほど平常だった。 クラス会のメンバーは定刻に集まり地震の話を中心に和気藹々いつもながら楽しい時間を過ごした。 地震当日M君は帰宅せずそのままオフィスのソファで一夜を過ごしたという。 N君は中央区から荻窪まで5時間かかって帰宅したという。 まるで他人事のようにたんたんとした話しぶり。 さすが喜寿ともなれば落ち着きが違うと感心した次第。 この齢になってクラス会に集まる連中はだいたい心身共に達者なのだ。

ホテルに入ってからアメリカ大使館とフランス大使館に電話した。 アメリカ大使館は自動音声で他のナンバーにコンタクトせよともメッセージだけ。 日曜だけに無理もない。 フランス大使館に電話するとフランス語の肉声で応答があった。 英語で「今回の地震、原発事故で日本在住のフラン人に対し避難勧告を出されましたか」との問いに「いいえ避難勧告は出していません。 私たちは日本政府の発表を信じそれに基づいて行動しています」との答えが返ってきた。 ”日本政府の発表を信じ というところに少し引っかかりを感じたが大使館だからこういう言い方をするのかもしれないとも思った。

あとで判ったがフランス政府は地震の翌日12日にはすでに避難勧告を出していたのである。娘の主人も当然その情報を受け取っていたので私に忠告してくれたのだがフランスがすぐ避難勧告を出したとすると東京でパニックが起るかも知れず緘口令を強いていたのである。
フランス政府の決断は素早く判断は正しかった。