2008年12月18日木曜日

迷走するビッグ3救済策

ビッグ3の救済策が決定しないで迷走している中で逐次新しいニュースが入ってくる。
12月17日 クライスラーは全工場の一ヶ月の創業停止を決定した。
12月17日 GMとクライスラーはBail Outを容易にするため一旦白紙に戻した合併を再検討している。(GMは否定)
12月18日 ブッシュ政権はGM, クライスラーの”Ordinary Bankruptcy”-管理倒産-を検討中と報じられた。  管理倒産というのは倒産する会社が資産や組織がばらばらになって再生不可能にならないよう政府の管理下で倒産を図ろうとするものである。 

これは一種のUAW対策ともいえるだろう。 なぜならUAWの大幅労務費カットを実現しなければ再生は無理だけど倒産をすれば対組合政策は初めからやり直しが出来るからだ。

事態が切迫しているにもかかわらず救済策が一向に進展しないのは問題が大きくかつ複雑で失敗した場合のインパクトが計り知れないからだと思う。 すべての人は事態を十分理解しているが政府を初め議会も世論も救済の成功率が極めて低いと考えている。 

「ビッグ3の再生は困難であり倒産は避けられない。 しかし自動車産業自体が巨大で周辺産業への影響を考えると倒産させるべきではない。 政府が直接救済に乗り出すのは法的にも難しく国民の理解も得られそうにない。」 このようなジレンマが終わりに近づいたブッシュ政権とまだ稼動していないオバマ政権のハザマにあって具体策が出てこないのがますます事態を悪くしている。 

不況が深刻化しつつあるなか自動車産業再生の成否がアメリカ経済社会の将来を占う上で最重要であることは言うまでもない。 過去2-3ヶ月アメリカ自動車産業の危機が取りざたされて以来TVのスクリーンにはGMやFordの工場の作業現場、従業員や家族へのインタビュー、デトロイトのオートショウなどの映像がたびたび写しだされるがいかにも老大国という印象を持たざるを得ない。 画面に映るのは文字どうり中年以降の年配者ばかりで若い人の姿が全く見当たらないのである。 最も華やかな自動車ショウで新車の説明に当たっているのが全くスピーチにも魅力を感じさせない高齢のEVP。
これはアメリカの会社がリストラをするときには入社年次の若い順に解雇するので必然的に年配の労働者が残る。 リストラを繰り返せば繰り返すほど社員の高齢化が進んでゆく。 アメリカには定年制度がないので老舗の企業ほど従業員の高齢化が進んでゆく。 有能な若者が育つどころか定着しない。 自動車産業のイージーなリストラの付けが今如実に現れてきたといっても良いだろう。
社員の年齢が若ければよいというものではないがベテランの知識や経験と若い人の新鮮なアイデア、エネルギーがバランス取れてこそ会社は安定した成長を遂げるのではないだろうか。