2008年7月20日日曜日

米大統領選挙(29)オバマの政策は現実的か?

本選前の一時休止

民主党の予備選がオバマ候補に決着してから約1ヵ月半が経った。 あれだけ激しい予備選を戦った後だけに大統領選挙本選を控えているにもかかわらず気が抜けたように静かになってしまったのは当然だろう。

私自身は今のブッシュ政権が終わり新しいアメリカを創造する政権ができれば共和党でも民主党でもよいと思っている。 特に地球温暖化対策に真剣に取組める政権、 多様化する世界に柔軟に対応できる世界観を持った政権を望んでいるので共和党のマッケーン、民主党のオバマが指名を獲得したことは朗報である。 どちらが大統領になっても上記の世界的課題にはブッシュ政権よりもはるかに期待がもてるからだ。 双方とも基本姿勢には大きな差はないと思われるがマッケーンは現実的で緩やかな変化、オバマはブッシュ政権の保守政治からの脱却、徹底した方向転換を図る方針。 
7月15日のポールではオバマが47%、マッケーンが41%とオバマがコンスタントにリードをキープしているのがより多くのアメリカの国民が変革を求めている証拠だと思う。 

ただオバマの政策が明らかになるにつれて現実性に疑問を持たざるを得ない点がある。
まずイラク戦争撤退策。 イラク戦争の是非はさておくとして現在進行中の戦争に期限を切って撤退策を提示することが現実の政策としてありうるのかどうか。  撤退を方針とするのは重大な決定であるがそれはひそかに大統領の胸のうちに秘められるべきものであり事前に公表されるべきものではない。 歴史的にも戦争での撤退がもっとも難しい作戦であることは周知の事実である。 今後短期的にイラクと中東全体にいっそうの混乱と不安定が増す可能性が高い。
失業問題にしても不法移民の問題にしても国内だけでなく国際的にも政治・経済が複雑に絡んでいるので解決は容易でない。 この問題に関してオバマの政策はいまひとつはっきりしない。
これから党大会で正式候補となったから両党・両候補の政策論争が煮詰まって来ようがオバマは理想論に走らずに革新の道のりをはっきり示す必要がある。

この容易ならざる問題の解決には国内的・国際的な協議が不可欠だが次期大統領はこうした議論に柔軟な姿勢を持ち合わさねばならない。

私もそろそろ本選ウォッチに戻ることにしよう。