2008年5月23日金曜日

ガソリン価格高騰

ガソリン価格高騰の影響

原油とガソリンの価格が連日上げ続けている。 5月23日現在原油価格は$138/バレル、ニュージャージー州のガソリン価格は本日平均$3.76/ガロン(一年前は$2.96/ガロン) どこまで上がるのか誰にも判らないがもう一年前の値段には戻らないだろう。

ガソリン価格の上昇はまず車通勤の人の財布を直撃する。 最近の車は燃費がよくなったので平均25マイル/ガロンとする。 自宅から20マイルはなれたオフィスに通勤する人は年間250日オフィスを往復するとして年間400ガロン消費する。 ガロンあたり$1.00 上がれば$400通勤費が増すことになる。  トラック運送業者やタクシーは走ることが商売だからコストは激増、収入は激減、トラック運転手は走れば走るほど赤字だといっている。 トラックがストップすれば経済は破綻するから止めるわけにいかないのでいずれ運賃は上げざるを得ない。 
運賃のみならず原油の高騰はすべての原材料のコスト高になって表れるのでスタグフレーション(不況下のインフレ)になるのは避けられない。 
国民が生活防衛に走り出したのはすでに統計に表れ各産業も企業防衛に動き始めた。

今年4月までの自動車販売台数は昨年比8パーセントダウン、コンパクトカーが33パーセントもアップした一方、大型SUVは29パーセントもダウンした。 明らかにガソリンを食う大型車は敬遠され小型車に乗り換えているのだ。 中古車も大型車は売れないから新車の価格にまで影響し2-3年前まで人気のSUVも大幅に値下げ、それでも売れないらしい。

フォードは5月22日これに対応して大胆なリストラ策を打ち出した。第2四半期15%生産カット、第3四半期15-20%カット、 第4四半期2-8パーセントカット 主として大型SUVと大型トラックを削減するようだ。 すべてガソリン価格の高騰で売れなくなってしまった車種である。 

一方トヨタと松下はハイブリット車用電池の生産量を2011年をめどに現在の2倍の100万台に引き上げる計画を発表した。 トヨタは2010年代の早い時期にハイブリット車を年間100万台販売する計画を持っておりこれに対応する電池の供給体制を整えるためである。

ここでも日米自動車メーカーの勢いの差が表れている。 トヨタやホンダは着々と将来に向けた開発を怠らず現在のような自動車産業にとって向かい風の時期でも販売を増やすすべをもっている。 一方アメリカの自動車産業は赤字続きで現行車でさえ魅力のある車作りができておらず販売台数が稼げる大衆車と利益幅が大きい高級セダンのマーケットを日本車と欧州車に奪われてしまった。 技術でもデザインでも日本と欧州の後塵を拝している理由はどこにあるのだろうか。 

私は過去半世紀にわたりビッグ3という大きな名前の上にあぐらをかきいつしか競争とチャレンジの精神をなくしてしまったように思われる。 如何にアメリカのマーケットが大きいとはいえ寡占化された市場は守りの姿勢が主になれば活力を失うものである。 GMのキャデラックもフォードのリンカーン・コンチネンタルも老大国の象徴のようになってしまった。 
もう誰も振り向かない。