アメリカの社会保障制度
-社会保障番号の重要性-
Social Security System の詳細を知らなくてもSocial Security Number (SSN-社会保障番号)は誰でも持っている。
アメリカで働こうと思えばまずSSNを取得せねばならない。この番号を持っていないとアメリカでは何もできない。
これは日本で言ういわゆる背番号制であって国籍の如何にかかわらず登録すれば誰でも取得することができる。
SSNは税金納付、年金受給のほか電気、ガス、水道、各種保険の申込み、銀行口座開設、学校の登録などほぼすべての手続きに要求される。 社会保障番号は頻繁に使うので殆どの人は自分の番号を覚えている。 この番号は9桁だから電話番号を覚えるより簡単だ。この番号をもとに写真付IDとサインを確認すれば本人確認はまず間違いなし。
個人の信用度もインターネットでSSNを入力すれば判明する。 個人相手に銀行や他の企業がビジネスを開始するに当たっても簡単に信用度をチェックできるからずいぶん効率がよい。 国中がこの番号ひとつで個人の管理を行っているから国全体の経済効率は図り知れない。
日本も1980年に背番号制の導入を図ろうとしたが当時の金丸副総裁の一言でお蔵入りになった。 (プライバシー保護を理由に挙げていたが実は自分の脱税が発覚するのを恐れてのことだった。) 背番号制をプライバシーの侵害・保護と同列に扱うこと自体がおかしな論議であって背番号制が施行されなくとも年金問題などでプライバシーの侵害は起っておりプライバシーの問題は管理体制の問題である。
国家としてずいぶん無駄ないことをしたと思うのはこの背番号制を導入しておればこのところ国民の最大の関心事となっている年金問題も起こらなかったかも知れないしたとえ問題があったとしてもいとも簡単に解決できただろう。
アメリカの年金の原資は給与所得に課せられる社会保障税(Social SecurityTax)である。 雇用主と被雇用者がそれぞれ6.2%ずつ負担する。《給与の上限枠$90,000》 それ以外に老齢者医療保険(Medicare)をカバーするための原資として同じく給与の1.45%が課せられる。
1990年代の初めごろは今の日本のようにSocial Securityの危機が心配されていたけれど最近は誰も心配しているといった声を聴かない。 1990年代の後半から2000年台の初めにかけてアメリカの経済が好調で税収が伸び国家予算が黒字化したことによるのかも知れないが現在はイラク戦争で巨額の戦費を必要としているため再び大きな財政赤字に陥っている。 しかも経済が不況に突入、歳入が減り年金以外の社会保障費が増える傾向にあるので再びSocial Securityの危機が顕在化してくるのではないか。