2008年11月18日火曜日

日本も移民が必要

日系ビジネスOnlineの森永卓郎氏のコラム
「日本経団連の移民受け入れ策は亡国の政策」に対しての意見
(NBOnlineに投稿)

森永さん 世界の現実をしなやかに見てください。
アメリカではメキシコ、中南米からの移民は低位労働力として農業や清掃、造園などに従事していますが不足している医者、IT技術者などの高度労働力もヨーロッパ諸国、アジア、インド、中東諸国の輸入(移民)に頼っています。 ご存知のような労働や文化の軋轢はありますが移民はアメリカ経済の活力の源泉であり経済成長の多くを担っています。 特にIT業界ではインド人、中国人技術者抜きではアメリカの技術の進化は考えられません。 彼らにとっても新しい技術とびビジネスに挑戦できる大いなるチャンスであり経済的にも自国とは比較にならない高給を食み生活をエンジョイすることが出来ます。 実力のある人がチャンスをつかめる平等な競争社会であることはYahooはじめ多くのITベンチャー企業のトップが若い外国人で占められていることで判ります。 

メキシコを初め中南米諸国はアメリカ新政権の移民政策の動向に神経質になっています。 何しろ1200万人もの違法入国者が居住している国ですから日本の移民問題とは次元が違うでしょうがこれらの移民輸出国(合法、違法を問わず)はアメリカが移民を低賃金で働かせていることに意義を唱えているわけではありません。 移民を厳しく制限することに大反対なのです。 つまり物の流通を自由にすると同時に労働力(人)の移動も自由にするように要求しています。 移民を送り出す国も受け入れる国も双方にメリットがあるので世界の移民は拡大しています。 EU域内ではすでに人も物もお金も自由に動けるようになりました。 域内の自由化が浸透するにつれ経済は活性化しユーロが強くなりました。 
EUの中には人口が一千万に満たない国が多く含まれていますが高い生活水準と文化を維持しています。 勿論一ヶ月以上の休暇は当然のことだしサービス残業などはありえない。 いずれの国も移民によって不足している労働力を補完し活性化と競争力を維持しています。 逆に保護された高賃金は競争力を失って現在のアメリカの自動車産業(ビッグ3倒産の危機)のようになってしまいます。

経団連が「日本型移民政策」を発表した意図は将来の人口減少を見据えてのことだと思われるが企業が人件費コストの削減に努力することは当然のことでひとつの手段として移民を考えることは悪いことではありません。 森永さんは移民のマイナス面ばかりを強調されているように思うがプラス面も考えてほしいと思うのです。 受入れ態勢が整っていなければ早く受け入れ態勢を整備すればよいのでそうだからといって移民を否定するのは本末転倒です。

所得が増えれば人口が増えるなどというのは現実を見ていない証拠でしょう。 所得が増えれば若者が結婚できるチャンスは確かに増えるでしょうが少子化に歯止めをかけることは出来ません。 宗教的な制約がない限り先進諸国の例が示すように所得が上がるにつれて出生率は下がり人口は減少します。 日本は必ず急速に人口減少に向かいます。 出生率を上げる工夫をするより人口減少を前提とした現実的な政策を模索するほうが懸命です。

さらにこのコラムに対するコメントを読んでさらに驚きました。 
日本のメディアの影響が大きいと思いますが移民に対するマイナス意見と日本の現状と将来に対する悲観論が一般的ですね。 日本から世界の一部を覗くのではなく世界から日本を見つめてみれば日本ほど恵まれた国はありません。 マイナス面ばかりを数えて行動できないのは日本人の悪い癖です。 日本をもっとオープンにして製品だけでなく労働力も高度の頭脳も輸入しましょう。 間違いがあれば訂正すればよい。軋轢があれば調整すればよい。 日本人の閉鎖性が日本の社会の停滞を招いているのです。