2008年11月4日火曜日

米大統領選挙(48) 新大統領の誕生

11月4日大統領選挙の日、朝の天気は曇り空だった。 天気予報では東海岸は大体曇りか雨、西海岸も全般に曇りか雨。 これまでの統計では雨の日は全体で投票率が1%落ちる。 そのなかでも民主党の投票率は2.5%落ちるとの統計がある。 上記の全米の天気予報は民主党が有利な地域の投票率が落ちることを意味している。 しかし私はこの統計は今回の大統領選挙には当てはならないと思っている。 なぜならこの選挙に対する国民の意識は異常なまでに高く天候が大きく影響するとは思えない。 また民主党の方が若年層の支持者が多く年齢が上がるにつれて共和党の支持者が増える。 全米を通じて投票所には長い列が出来て2-3時間待ちはざらという状況だから高齢者にとっては厳しい状況である。 それでも自分は歴史的な大統領選挙にぜひ一票を投じたい、新しいアメリカを創るために自分も参加したいというアメリカ国民の気持ちがこれまた記録的な投票率となって表れている。

インディアナ州とケンタッキー州で全米で最も早く午後6時に投票が締め切られた。 午後7時にはヴァージニア、ジョージア、フロリダなど東南部中心に7州が続く。 つぎつぎと開票の途中経過が報じられる中、CNNの出口調査の結果バーモント(3票)はオバマ、ケンタッキー(8票)はマッケーンとCNNのProjection(当確)がアナウンスされた。 ヴァージニアではまずマッケーンがリードだが開票数が少なく当てにならない。 インディアナは両候補が抜きつ抜かれつのデッドヒートを展開している。 

8時には 獲得代議員数がオバマ102、マッケーン34となりオバマ有利と展開が数字となってあらわれてきた。 8時半にCNNがペンシルヴェニアはオバマ当確アナウンスした。 ペンシルヴェニアこそ天下分け目の戦いでオバマもマッケーンも最重要のキー・ステートとして最後の最後まで キャンペーンを続けていた。 ペンシルヴェニアがオバマの手に落ちたことで勝負あったと見た。
11時にはCNNがカリフォルニア(55) オレゴン(7) ワシントン(11)の3州を締め切りと同時にオバマの勝利として加えオバマの獲得数が過半数の269を越えたのでオバマ新大統領が誕生したことを伝えた。
最終結果はオバマ349票、マッケーン163票でオバマの圧勝となった。

全米が沸き立ったことは言うまでもない。 今回の選挙は共和党か民主党かという問題ではなく苦境に立っているアメリカがどちらに向かうのか国民も世界も注目した選挙であった。
先の見えない現状にオバマもマッケーンも”チェンジ”を唱えるがオバマが変革の旗手であることは誰が見ても明白である。 マッケーンが次第にネガティブ・キャンペーンに傾斜していったのに比較してオバマは予備選の初期から党派を越えてまとまり国民がアメリカ再建に協力
するよう訴えた。 オバマの思考と人格が多くの人に受け入れられる純粋さと広がりをもっていた。 インディペンダントの3分の2がオバマに投票したことが証拠である。

オバマの勝利はオバマ自身が勝利演説で述べたようにオバマに投じた人たちだけでなく国民全体の勝利である。 黒人やヒスパニックなどマイノリティだけの勝利ではない。 マイノリティが100%オバマに投票しても70%を占める白人の多くがオバマに投票しなければオバマ大統領は誕生しなかった。 投票結果は詳細に分析されているがマッケーンが過半数を獲得したのは65歳以上の高年齢者のみでその他のカテゴリーではすべてオバマが上回っている。 間違いなく新しいアメリカを目指す人たちの勝利である。
アメリカはオバマを選んだことで自らの過ちを訂正し方向を修正する民主的な国家であることを証明した。 アメリカの国民は方向修正したことで安堵と自信を取り戻すだろう。 同時に世界の信頼も回復することを期待している。