サブプライム問題と金融不安
サブプライムローン問題がなかなか収束しない。 そればかりか日を追うごとに各金融機関と世界の負債総額は膨れるばかりである。 ゴールドマン・サックスの計算によればいまや世界のサブプライムローン不良債権総額は1兆2千億ドルに上るという。
ここ数ヶ月リーマン・ブラザーズの経営ききがうわさされていたが昨夜まで続けられていたポールセン財務長官の斡旋も功を奏さずついに破綻してしまった。
次々と大手証券会社がつぶれるのは異常なことであり世界のマーケットに波及しないことを臨むばかりである。
これは総括的に言えばアメリカ人の行きすぎた楽観主義とブッシュ政権の無責任自由主義がアメリカのみならず世界中のマーケットの混乱を引き起こした。
従来の住宅金融制度が変わったわけではない。 住宅金融を低所得者層まで大幅に緩和といえば聞こえが良いが審査基準を超えた放漫貸付とこれを証券化して国際的に流通させたことがサブプライムローン問題拡大の第一原因である。
しかしこのシステムとリスクを知りながら大量に引き受けかつ多くの金融商品に組み入れて販売した大手金融機関にも大いに責任がある。
いったい誰が悪者なのかはっきりしてほしいが誰もこのことに言及しないのは「みんなで渡れば怖くない。行かなきゃ損損」と全員が危ない橋を渡ったからかもしれない。
しかしなぜここまでDefaultが膨らみ大手の銀行、投資銀行、証券会社が軒並み巨大な損失をこうむり経営危機に追い込まれたのか未だに理解できない。
メカニズムはっ理解できてもどうして債務超過になるほど損失が膨らむのか想像できないのである。
昔なら世界金融恐慌になってもおかしくないような深刻な金融混乱である。 幸い今の世界は各国政府が協調して混乱を回避する努力をしているので世界恐慌にはならないだろうが米国のみならず世界各国の経済に与える影響は計り知れない。
アメリカ経済はこれからいよいよ落ち込みが激しくなるだろう。 なぜなら
不況が深刻化すれば失業者が増える。 個人消費はますます縮小する。
フォークロージャーの物件が多い上にさらに失業による売り家が増える。
不動産マーケットが下落して新規住宅建設が低迷する。
クレジット・クランチで金利が高騰し新規重要を冷やす。
石油高でコストインフレ圧力が強まる。
ドルの信用がなくなりドル安の結果インフレが高まる。
いよいよ株安、債権安、不動産安、ドル安で下方スパイラルが起りそうだ。
これを止めるにははやす新政権が発足しすべてがドラスチックに政策転換しなければならない。
1980年代後半の経済危機をブッシュSr.政権がすばやく大胆な処置に踏み切ったのでアメリカは早く立ち直った。 あのときよりも経済は深刻でしかも複雑に国際化しており立ち直るのは容易ではないと思うがアメリカの国民はわかればすぐに実行するのでそれに期待している。 大統領選挙がイージーな人気取り政策に走らずまじめに論争するのを望むばかりだ。
これから始まる2回にわたる大統領候補同士のディベートと1回の副大統領候補のディベートが注目される。