2008年9月25日木曜日

米大統領選挙(41) 金融危機と大統領選

昨夜ブッシュ大統領は大恐慌以来の未曾有の金融危機を乗り切るためにTV演説で国民の理解と法案の支持を求めた。 具体的には議会に提案中の$700Billion(約75兆円)のBail Out Plan(不良債権買取機構の設立と資金の提供)である。 
現在の米国金融市場は5大証券会社が経営危機に瀕しそのうち2社は倒産した。 説明するまでもなく非常事態、異常なマーケットの状況には違いない。 緊急な対策が必要で放置すれば世界市場を巻き込んだ金融大恐慌に発展することは間違いない。 それは判るが何しろ金額が巨大でピンと来ないのである。 アメリカ人口3億人の割ってみれば一人当たり$2,333
(約¥25万)である。 一戸当たり(Per Household)では$6,200(¥66万》になる。 これではいくら国家の危機といえどもすんなりと”Yes”とはいえないだろう。
サブプライムローンの破綻が世界金融恐慌を引き起こすほどの大事件になった原因は何でと”犯人”は誰なのか? いまはこれを詮索する時期ではないかもしれないけれどもともと支払い能力のない債務者を救済する措置を講じ今度は不良債権保有者を救済する措置を講じることになった。 私に言わせれば救済される借り手も貸しても今回事件の犯人である。 それを真面目な一般市民の税金で穴埋めしようというのは筋が通らない。 数百万ドル-数千万ドルに上る投資銀行/証券会社の役員報酬・退職金が理不尽というのは当然であり今後は制限されてしかるべきだろう。 自由主義経済の原則には反するが行き過ぎは調整されるべきである。
ブッシュ大統領は議会にも超党派で緊急に法案を通すよう求めているが各議員は緊急性を認めながらも国民の負担と懸念を知っているだけにおいそれと”OK”とは言えないのが実情だ。
結局25日夜遅くまで続いたホワイトハウスでの政府・FRBと議会主要メンバーの会議では大方の予想を裏切って結論がでなかった。 
ブッシュ大統領は実質後3ヶ月しかない。 この問題の処理は11月初めに選出される新大統領にも引き継がれる。 したがって明日9月26日に控えた両大統領候補のディベートでも当然白熱した議論が展開されるものと期待していた。 ところが共和党マッケーン候補が突然キャンペーンを中止しWasingtonでこの問題につき超党派で協議すべきでありディベートはキャンセルしたいとオバマに申し入れたのである。 表向きの理由は超党派で問題の解決に協力しようと最もらしいことを言っているが実際はこの一週間Pollは落ち目で再びオバマにリードを許していること。 また副大統領候補のペイリンが見識不足、特に外交無知といった弱点に加えアラスカ州知事として権力濫用の疑いがあるとの報道があり検察が捜査中である。
マッケーンとしては体勢を立て直す必要があり試合を中断するため急遽Time Outを取ったと見られる。 ディベートではどちらが優位であるかのPollも出ているがオバマが65-35で圧倒的にリードしている。 
今のところ26日のディベートが開催されるどうか定かではない。