2008年9月19日金曜日

米大統領選挙(40) 泥仕合のキャンペーン

ペイラン効果は何時までもつか?

9月1日に始まった共和党大会を一気に盛り上げたのが副大統領候補に指名されたサラ・ペイランであった。 9月8日のブログで共和党のスター誕生と記したけれど同時に真価を問われるのはこれからでメディアのインタビューにいかに答えどのように自分の中身を表現してゆくかにかかっているとも記した。 
最初のインタビューが9月14日のABCキャスター、チャーリー・ギブソンだったが早くも馬脚を現してしまった。 象徴的なのはギブソンが「ブッシュ・ドクトリンをどう考えるか」と質問したところペイランは「どういう局面について聞いているのですか」と逆に質問したが明らかに彼女はまったく知識がなかった。 一般人ならいざ知らず少なくとも共和党の副大統領になるかもしれない人が“普通のホッケーマム”でもよいが無知では困るのである。 ギブソンのインタビューも彼女の知的水準を見越しての随分意地悪で見下したような質問だったが外交の知識はゼロに近いことを露呈してしまった。 端的に言えばローカルのやり手のおばさんが州知事のスキャンダルを攻撃して批判票を集めて図らずも知事になってしまったというのが事実である。 彼女の知識はせいぜい家計や市政のやりくり程度、何が何でも突っ張りとおして自分の主張を押し通す馬力だけは認めよう。 しかしこれでは国政は任されない。 それを知ってか共和党のキャンペーン陣営はサラのインタビューを受けなくなってしまった。 一方的にまくし立てる演説会のみである。 質問は受けない。
しかし彼女のラリー(演説集会)には彼女を一目見ようと大勢の人が集まるので共和党にとってはまたとない集客広告塔である。 マッケーンの演説会は彼一人では人が集まらない。 このような状況では次第に人気も薄れてこよう。 “口紅を塗ってもブタはブタ”である。

双方ともキャンペーンは政策論争というより揚げ足取りと相手のイメージダウンを狙うダーティ・キャンペーンに終始するようになってしまった。 程度の低い泥仕合に落ちってしまった感がある。特にマッケーン陣営は劣勢を取り返すためオバマの政策をあることないことお構いなしの一方的中傷キャンペーンを流している。
たとえばオバマは$25万以上(総所得者の2%)の所得税を上げそれ以下の人(98%)の所得税は引き下げるといっているにもかかわらずマッケーンはオバマが所得税を上げようとしていると非難しているのだ。 
またマッケーンは“オバマは経済を知らない”とこき下ろしている。 なるほどオバマは経済が専門ではなく経済政策としては実績がないかも知れない。 然るにマッケーンはどうか? ブッシュはどうか? 現場から見れば彼らの方がむしろ経済を知らないのではないかと非難されてもおかしくない。 現在のアメリカ経済の混乱は誰の責任だろうか? 能天気大統領と共和党のせいではないのか?

アメリカでは正直だけでは通用しない。 攻撃されればそれ以上に反撃せねばならない。 常に攻めの姿勢を見せないとアメリカ人は着いてこないのである。 たとえ相手の言っていることが正しくても詭弁といわれようが自分のことを正当化し弁明し攻勢に転じなければならない。 これがディベートであり選挙戦だ。 どちらが正しいかというよりもどちらが勢いがあって“Commander in Cheif”-指揮官として相応しいかが大統領選挙なのだ。 

9月26日にオバマとマッケーンの2人だけのディベートがある。 楽しみにしている。