2008年9月8日月曜日

米大統領選挙(38) ペイラン起用の理由

新人サラ・ペイラン代打満塁ホームラン

共和党VP候補サラ・ぺイランのベイルがはがれつつある。
マッケーンが彼女をVP候補とした理由は
1.彼女がエバンジェリスト(キリスト教福音派-保守的キリスト教徒)で保守派の支持を固めたこと。
2.予備選の段階で圧倒的ヒラリー支持であった白人労働者階級の支持を取り込むこと。
3.また女性大統領の誕生を願っていた多くの女性票(民主党ヒラリー支持派)を取り込むこと。
マッケーンは党内の支持基盤が弱いのでこのままオバマ民主党と戦うことができない。 選挙戦略として彼女を支持基盤の弱い上記3っのグループとのコネクションを図るため彼女を起用したとすれば十分に納得できる。

日本人と違ってアメリカ人は自分の意見やバックグラウンドを積極的に公表する。 選挙に対しても一般の国民の70%は基本的に誰を支持するかを決めている。 残り30%はSwing Voterとしてキャンペーンを聞きながら後2ヶ月の間に投票する候補を決めることになる。 この30%もかなりはっきりしたグループに色分けされてくる。 つまりマーケティングがしやすいが両党が拮抗しているだけに一歩間違うと命取りになる。

だからVP候補選びは非常に重要な意味を持っている。 オバマ民主党は誰もが納得するような有力議員を選んだ。 常識の線上で最大公約数を取ったと思われる。
一方共和党は無名の女性候補を選んだ。 十分計算づくとはいえ博打である。
皆があっと驚いたと同時に“なぜ”という疑問詞がついた。 娘さんの妊娠騒ぎのおまけまでついた。 しかしこれでメディアはじめ全員の目がそちらに向いてしまった。 オバマ・バイデンコンビはとたんにメディアの主役の座を奪われ霞んでしまった。 
ともすれば派手さに欠けるマッケーン共和党の党大会を彼女の演説で一気に盛り上げてしまった。 大きく差をつけられている共和党の7回裏の攻撃で新人が満塁ホームランを放ち一気に同点にしてしまったのである。
注目していたPollは9月7日で48%対48%となった。 後2回(2ヶ月)残すのみとなった。  つい数日前までオバマの楽勝と読んでいたが予断を許さなくなってきた。
まるでドラマチックなフットボールや野球の試合を見るようなアメリカの選挙の面白さである。