2008年10月4日土曜日

Bailout Planは終わりか始まりか

Bailout PlanとMarket Reaction

一度否決されたBailout Planは預金者保護を$25万まで引き上げるオマケを付けて再び上程され上下院双方で可決された。 ブッシュ大統領が署名して早速発効する。 

アメリカ発の金融危機が世界に波及せぬようにと何とか今週末で決着をつけようとの大統領、財務長官、上下院首脳部等の必死の努力の甲斐あってやっと全面的な支援策が決定した。 審議の進展と投票の推移は国会チャンネルを通じてライブで放映されていたのでNY Stock ExhangeのFloorでも注目されていた。 朝方は今日はBailout Planが可決されるだろうとの見方とWachovia BankがWells Fargoに政府の支援なしに買収されるとのニュースが楽観論として流れマーケットは昼すぎには約300ポイントも上げた。
Bailout Planの可決がほぼ確実となったのは午後2時ごろなのでまだマーケットはオープンしていた。 私はマーケットはこれでもっと上を目指して強含みに推移するものと思っていたがマーケットは逆の反応を示しずるずる後退し-157.47で引けた。 安値で引けた理由は定かではないがBaikout Planno の内容が明らかになるにつれてマーケットを救済するには十分でない、即効性はないとという見解がながれたためか。 それとも先週の失業者登録が159,000人と急増したことによるのか。 
いずれにせよ金融市場の安定と再建はこれからであり危機の終焉とはいえないとの解説で今のところは期待より不安が勝っているということだろう。

私見では金融機関、大企業の金融支援はこれで一段落したと思う。  問題は個人の家計である。 一般的に言ってアメリカ人は生活を先食いしているといわれている。 目いっぱい借金して豊かな生活をキープているのだ。すなわち国も個人もその付けを将来払わねばならない。 過去10年以内に家を買った人は多額の住宅ローンをかかえている。 その上クレジットカードを数枚保持していてこれも目いっぱい借りている。 クレジットカードは自分の支払い能力内で毎月清算できればこれほど便利なものは無い。 しかし一旦自分の支払い能力で回らなくなると超高金利の支払いでいわゆる”サラ金地獄”に陥ることとなる。 クレジットカードといえば格好良く聞こえるがサラ金となんら変わるところは無い。 
その人たちにとっては金融市場が安定しようがしまいが彼らの問題は解決しない。 今後クレジットクランチにより金利が上がれば上がるほど生活を圧迫することは目に見えている。
サブプライムローンは住宅という目に見える”物件”が担保となっているがクレジットカードの場合は何も無い。 今のアメリカは国も個人も超スピード自転車操業、スピードを緩めればこけてしまうのでとことん走り続けねばならない状況だ。 

日本もヨーロッパも中国もその他の国々も今まではアメリカと一身同体で寄りかかりつつまた支えながら一緒にランニングしてきたけれど誰かが倒れればもはや支えられる人がいなくなって総倒れになってしまう可能性がある。 だからいやが負うにも協力しなければならないのだ。 世界に自由と富をもたらして来た”自由主義”と”民主主義”が崩壊しないよう祈るばかりである。