2008年10月9日木曜日

世界市場の連鎖崩壊

まさかと思っていた世界市場の連鎖崩落が始まって地球の自転にあわせて次から次へと株式市場の暴落が繰り返されている。 今回の暴落には銀行・証券・保険の大手金融機関の破綻が伴って資本主義のシステムそのものが危機になっているのだ。 
直接の原因はサブプライムローンの破綻ということになっており異論はないが制度そのものは低所得層にも持ち家をということで悪いことではない。 しかしその運営が無節操、無制限でしかもそれを証券化して世界中にばら撒いたことであろう。 
10年ほど前に私が今の家を買ったときも不動産業者(Weichart Realtor)からまずローンのオファーがあった。 金利は30 years fixedから条件に合わせて各種オファーされたがこのなかに変動金利も含まれていたように思う。 当時すでに金利が歴史的に低い水準にあったので変動金利では将来高い金利を払わされると思って30 years fixed rateでローンをセットしたと記憶している。 何ヶ月かあとにMortgage Co.がChase Mortgage Co.に変わったとの通知を受け取った。 私のローンはサブプライムローンではないがこれもWeichartがMortgageをChaseに売ったのだ。

法律上はともかくまともに考えれば貸し手も借り手も行き詰ることがわかっているような融資行為を”意図的に”薦めて貸し手はすぐさま債権化して売り逃げる。 これではあまり詐欺行為と変わらない。 しかしある程度それを知りながら手を出した大手銀行、世界の商業銀行も被害者であると共に共犯者といっても言い過ぎではない。 銀行は内でも外でも競争にさらされており利益至上主義から危ないと判っているような証券にも手を出さざるを得なかったということなのだろうか。 それとも格付けを信用して内容を知らずに買い込んだということなのか。 また証券会社・投資銀行は業績がよければエグゼクティブなら数百万ドル20代のトレーダーでも50万ドルのボーナスを手にすることが出来る。 たとえ損失を出してもボーナスが減るだけで彼らが責任を負うことはない。 これなら誰でも行き着くところまで言ってしまうだろう。 金融機関の救済策を練っている政府・議会もおそらくこの点には気づいていると思う。 だから救済に当たってはエグゼクティブの巨額のボーナスを制限する条項を盛り込もうとしているのだ。 国民は自分たちが収めた税金で無責任経営の金融機関を救済することに抵抗感を感じている。 しかも自分たちが少しずつ積み立てた401Kなどの退職積立金が大幅に目減りしているというのに。 もっとも割り切れないのは異常な市場環境でクレジットクランチがおき運転資金が借り入れられずに倒産した企業の従業員たちである。 世の中いつも不合理でしわ寄せは常に弱者のところにやってくる。

一昔なら当然取り付け騒ぎが起きていただろう。 世界金融恐慌を回避するため米政府、FRB,各国政府・中央銀行も緊急対策と昼夜を問わず対策に追われている。 G7の緊急救済準備金設置は評価される。 いたずらに自国の防衛にとどまることなく各国が協調しているのは毎年開催している首脳会談で今のような非常時に即対応できるコミュニケーションシステムが出来ていたからだろう。 西側国際社会のいい面が始めて証明された。 不幸中にも喜ばしいことである。

アメリカは確かに行過ぎた。 それに対してブッシュ政権は何もプロアクティブな対策が取れず改めて無能ぶりを発揮してしまった。 これはビジネスの行過ぎた自由主義のみならずアメリカの国民の過度な信用膨張生活にも原因があると思う。  双子の赤字(財政と国際収支)はとどまるところを知らずもはやUncontrollableなレベルまで来ているような気がするがいずれにせよ今までのような成長拡大一辺倒の経済運営は期待できないし方向転換すべきだろう。

国民は変化を求めておりアメリカは歴史の曲がり角に立っている。 新しい大統領にかかる責任はいままでのどの大統領よりも重いしリーダーシップを発揮してアメリカ再生に取り組んでほしい。