2010年7月8日木曜日

引越しの旅 (16)

Chicago to Seattle No. 6




3日目の朝列車は山の中をゆっくり走っていた。 夜の間にNorthern Rockyの険しいところを抜けたのか美しい高山の景色は見ることができなかった。 しかし明らかに過去1日半ほどの平坦な景色とは異なって山の合間や山肌をくねくね曲がりながら峠を越えようとしていた。 この時点で列車は予定より2時間遅れていた。 話は変わるがこのAmtrak/大陸横断列車(ニックネーム:Empire Builder)は別々に建設された3個の鉄道会社の線路と開いた時間を縫うようにして走るのでそれぞれの鉄道会社の輸送が優先され各社の都合によって大幅に遅れることがあるという。

峠を下って朝早くワシントン州に入りSpokaneに停車した。 ここでシアトル行きとポートランド(オレゴン)行きが切り離される。 Spokaneを離れるとしだいに砂漠のような赤茶けた地肌と川沿いに灌漑した畑が増えてくる。 ここからカスケード山脈までの盆地をYakima Valley という。 雨の多いシアトルとちがってここは雨が少なく気温の差が大きいので果物の栽培に適しておりリンゴ、チェリー、ブドウの大生産地である。 列車の窓から手の届きそうなところにチェリーの木があり色着いたチェリーが残っている枝も見える。またブドウ畑が山肌に大きく広がっているのも見えてワインの産地であることもうなづける。

列車はコロンビア河沿いに西に向かい(上流に向かって走る)Mt. Rainierを南に見ながらカスケード山脈を越える。 Mt. Rainierは4,392mもあり近くで見るほど大きな山だと実感する。 峠を越えると景色は一変、Dagulas Firと呼ばれる高さ50mほどある米松の森を縫って山を下る。 山の東(砂漠)と西(温帯雨林)でこれほど景色の違う山脈は聴いたことがない。 あと2時間ほどでシアトルに着くと思えばなんだかわくわくした気持ちになってきた。