2014年3月29日土曜日

アメリカの医療と保険(8)

アメリカは自由主義の国であり医療も保険も原則は市場原理に基ずく営業行為である.
保険会社は医療機関と各医療行為に対する支払につき契約を結ぶ. 医師としては支払額の多い保険会社を選ぶのは当然で条件の良いの保険(複数)を受け入れて他の保険は拒否することも出来る.保険会社は支払を厳しく制限する方が経営上望ましい.また会社や個人には多様な保険(商品)を市場(会社別、地域別)を選別して個人にオファーすることが出来る.
国民は医師を選ぶ権利があるがその医師が受け入れる保険を買わねばならない.同じ保険会社でも保険料の高い保険から安い保険まで数種オファーされている.高い保険を買えば手厚い給付を受けることが可能だし健康に自信があればミニマムの保険料で済ますことも出来る. 自分の健康と経済状況にあった保険を選ぶことも大事なことである.
しかし何時病氣になるか判らないのこの選択はリスクが伴う.
力関係から云えば医師が最も強く個人が最も弱い.自由市場とはいえ市場の歪みは結局個人の保険料と診療費にしわ寄せが出てくる. 
医者になるには長期の教育と研修を積まねばならない.近年の大学教育費の高騰は一般社会の中でも飛び抜けて高い. 先端医療がもて囃されているが研究開発費は莫大で最終は医療機器の値段に上乗せされ個人の診療費に反映される.その上アメリカは訴訟社会. 医師がちょっとでもミスをすれば莫大な金額を要求されるので医師も身を守る為には高額の保険をかけなければならない.かくして医療費は高騰を続けアメリカ国民のうち4600何人が保険を持てなくなってしまった.
なんとかしなければアメリカの医療制度は金持ちだけの医療クラブになり社会の基盤が崩れてしまう. 歴代の政府が国民皆保険を目指して法案を提示するもことごとく議会で葬り去られてしまった.
結局国民の大多数は金持ちで有ろうと貧乏人であろうと政府.国家権力の強制を嫌いあくまで健康、医療は個人の問題.各自身の丈にあった保険を買えばよいという考えのようだ.