2014年4月4日金曜日

アメリカの医療と保険(9)

多くの問題を抱えながらもアメリカの国民皆保険制度は今年の一月からスタートした. 最終加入期限は3月31日だったが政府が供給する保険プラン(オバマ・ケア)に新規加入したのは750万人と云われている.一方保険料の高騰で保険を失った人が600万人いるといわれていた (昨年12月末現在).
とりあえず政府の目標に達したことでオバマ大統領は一応の面目は保った.
とにかく医療制度は改革しなければならない. オバマ大統領は自分が在任中に国民皆保険を実施しなければ誰もこれを実現することは難しいと考えたのであろう.医療問題の核心を無視する形で制度的な改革を強行した. 国家の財政が逼迫する中で医療費負担がどの程度影響を及ぼすのか、負担に耐えられるのか、 低所得層からの保険料徴取が果たして可能なのか、所得税の年末調整で上手くさばけるのか、まだまだ多くの問題を抱えたままスタートした.
近い将来共和党が上下両院でマジョリティとなれば法案の大幅な調整と修正は避けられないと思われる.

基本プランが半年以上も定まらなかったのに加えシステム・トラブルが相次いで3月末でさえインターネットからの加入申請を完全に処理しきれていない有様でこの保険制度の評価は最悪、今年秋の中間選挙には大きな影響を及ぼすと見られている. もちろん民主党が大幅に票を減らすと思われ次の大統領選挙にも少なからず影響あり出馬すれば当選確実と見られていたヒラリー・クリントンにも黄信号が灯った.
ヒラリーは自分がファースト・レディであった1990年台から閣僚でもないのに改革派の先頭に立っていた.彼女はアメリカの保険制度には熟知していると思われるので彼女に大いに期待するところである.