2014年3月27日木曜日

アメリカの医療と保険(6)


手術にはそれなりの準備が必要である.
始めに手術用のMRIを撮る.
頭部をベッドに固定する為の樹脂製のネットマスクを作成する. 
個々人の頭部形状に会わせた特注マスクなので出来上るまで2週間ほどかかる.
さて実際にCyber Knife Surgeryが始まったのは8月半ばだった.
朝10時に病院に到着、妻は手術のために準備特別にすることもなくそのまま手術室に入る. 
私は手術が終わるまで広くて静かなロビーでiPadでニュースを見るかStar Bucksでコーヒーを飲んで待っていた.実際のX線照射は30−40分ぐらいだろうか? 50−60分経つと妻は何ごともなかったようにロビーに現れた.ベッドに固定されていたので少し肩が凝る程度で特に疲れた様子でもない.
22年前の手術は13時間かかった. 4日間は集中治療室に入っていた. 微細な脳神経の間の癌を取除くのは大変な作業であり危険を伴う. 左の聴覚神経を失ったが仕方のないことだった.体力回復に一年、顔のゆがみが直るには2年かかった.
今回は入院する必要がないばかりか一日一時間の治療(手術)で直後から日常生活に戻れる. 医学の進歩,先端技術の恩恵を実感した.






その後病院近くのカフェでランチをするかシアトルのダウンタウンまで足を伸ばすか公園を散策するかしばしの時間を楽しんで車を運転して家に帰った. 
これが月曜から金曜まで一週間続いたがパーキングが病院の地下にあり何時でも駐車可能. 患者の数もまばらな病院で静かな時を過ごすなんだか申し訳ないような拍子抜けするような5日間であった.
この病院はRadiological Surgery Centerの文字どおりX線手術専門の病院なので一般の病院と違って患者数が少ないのは当然だが広々としてあまりにもきれいなので少々違和感があるのだ. 医師, エンジニア、看護師、事務員の数は患者の数より遥かに多いのではないか.東棟 (James Tower) にはBall Roomや会議室が並んでおりホテルと殆ど変わりない.
もちろん学会や研修に使うのだろうがこの病院の経営どうやっているのか少し気になった.