2014年3月28日金曜日

アメリカの医療と保険(7)

一般的に診療を受けてから一ヶ月ほどで保険会社から医療給付明細書が届く.それには
医療機関からの請求額、保険会社と医療機関の取決め額、保険支払額, 自己負担額が表示されておりこれに基づき医療機関から請求書が送られてくる.
最初の請求書はSwedish Hospital, Edmonds  からでMRI を含むEmergencyTreatmentsの請求総額$9798, 自己負担分$3202 で高額ではあるがEmergencyでありある程度理解出来る.  
さて手術(Cyber Knife Surgery)を実施するSwedish Hospital, Cherry Hill には初回コンサルティング、MRI撮影、ネットマスク作成、各一回 X線照射5回 合計8回サービスを受けた.これに対する請求書が病院、医師、技師、設備, 採決など合計32件、(内容は数えていないが100件を越すだろう)2−3ヶ月にわたりバラバラにやってくる.しかも直接病院や医師からでなくグループのAccount Center やCollecting Agencyから送られてくるのでよく見ないとどこからの請求か判らない.しかも金額だけでも保険会社から受取った医療給付明細書と照合しなければならないので一苦労.
さてその請求書、算術的に数字は合っているがいくら眺めていても内容が良くわからない.同じ医療行為でも医療機関により請求額は$1000のところもあれば$5000のところもある.医療機関は請求し放題なのである. 保険会社と医療機関の取決めの詳細は個人には判らない.保険会社は医療機関の請求額と保険会社の支払額の差を”Discount”と呼んでいる. 自己負担分は毎回診療の度に支払う診療費(Co-Pay)と診療請求に対する負担割合(C0-Insurance)、それを自己負担限度枠に組み入れる金額(Deductible)の合計.
この内容につき保険会社に質問すると一般公式を説明するばかりで内容詳細については医療機関に問い合わせてほしいと云う.医療機関は医療給付の総体を述べるだけで明細については公開しない.エージェントは”そんなことを問い合わせても何も分からない”と始めから諦めている.
数多くある請求書の中でSwedish Account Center からの請求書(個人負担分)の一件は合計$7397であった.
請求書の下に小さな字でーPay in full today and you may be eligible for a Prompt Pay Discount.ー(すぐに支払えば割引可能)と記載されているのが目に入った.電話すると20%のディスカウントという.$1479 (約15万円)もセーブになる.早速支払ったが後で元の請求額は何に基づいているのかという疑問と殆どの人はなかなか支払わないのだろうと思った.
手術後一週間の経過報告と一ヶ月ほどで妻は日本に行くことになっていたのでそれについて電話で質問した. 僅か5分程度の問い合わせであったが$5000ほど請求されていた.
時間が経過し支払いが嵩んでくると請求に対する疑問が膨れ上がるばかりでしだいに怒りがこみ上げてきた. 

3ヶ月ほどして計算してみると総額$160000(約1600万円)にも上っていた.妻が買っている保険の自己負担限度が$12500(約125万円)なのでなんとか凌げたがそれでなければ破産していたところである.
アメリカのホワイトカラー・ホームレスの4割は医療費破綻だと云われているがやっと事情が飲み込めた.
一千万人を超える不法移民の最低限とはいえ出産の費用を負担し市民権まで与える一方ある程度の保険をかけていても高額の医療費負担に家まで手放しホームレスになる人が数多くいる. そこまでいかなくても無保険の人が4600万人もいるとはなんとしても納得出来ないアメリカの現状である.