金曜日のフジコ・ヘミングさんのピアノリサイタルの前に時間があるのでNY MOMA(近代美術館)に行くことにした。
金曜日の午後4時以降はディスカウント・ストアのターゲットがスポンサーで入場無料(入口でティケットをもらう)ということで多くの人が並んでいた。 私たちもこれ幸いと並んだが人の列が53丁目の中ほどから6番街ので折り返すほど並んでいて入り口に辿りつくまで20分はかかっただろうか。 一階ロビーはさすがにごったがえしていたが2階以上の展示場では適当に込んでいるという状況であった。 前以て展示の詳細を調べていったわけっではないし時間も限られていたので一番ポピュラーな1800-1900年代の近代絵画の展示をみることにして3階まで上った。
初めの部屋からずらりとピカソの絵が並んでいた。 時折同時代の画家の絵も混じってはいるもののピカソのオンパレードといった様子。 こんなにふんだんにピカソの絵を見るのは初めてだ。 一人の画家の作品を沢山集めて展示すればその画家の真髄と変遷とが予備知識がなくとも判りやすい。
いとも簡単に展示されている絵を解説と共にデジカメで写真をとっている人が沢山いる。
本来美術館での写真撮影は禁止のはずだがここはいたって気楽なもの。 人が多いにもかかわらず原則ルールとエチケットは守られているのはさすがである。 とにかく他人との体が触れ合うことなく展示絵画との間に好きなだけのスペースをとって各人が自分のペースで干渉できるのはありがたい。
展示絵画の殆どがNYの富豪の寄贈か、またはコレクションからの借り物で展示のテーマが決まればすぐに100-200の作品が集まるのはさすがNYである。
数年前に東京国立博物館で唐招提寺宝物展を見に行ったときの人の多さを思い出した。 超満員の電車に乗っているようなものでベルトコンベアーに乗ってそろりそろりと動いているようなものでゆっくり鑑賞するべくもなかった。 また東京大丸の秦始皇帝の墓・兵馬桶坑の出土品展示会は一目見るだけでも価値のある興味深い展示品ばかりであったが身動きできないほどの混雑で30分も経たぬ間に押し出されてしまった。 主催者側が少し気をきかせて入場者のコントロールをすればもう少しゆったりした鑑賞ができると思うのだが。