今年はアメリカにも日本にも選挙によって民主党という名の新しい政権が誕生した。
ともに前政権から大幅な政策転換を図ろうとしているが政治的にも経済的にも厳しい問題を抱えて政策(選挙中の政策目標ー日本ではマニフェスト)遂行に苦労している。
現在のアメリカは2つの戦争を抱えている上財政赤字は膨らむ一方。 だからといって長年コミットしてきた「自由主義の堅持」という錦の御旗を勝手に下ろすわけにも行かない。 そこにアメリカのジレンマがある。
世界の政治と経済におけるアメリカの責任は日本の比ではない。 アメリカ社会は建国以来民主主義、自由主義の理想を掲げながら現実は矛盾と困難に満ちている。 けれども常に試行錯誤を繰り返しながら少しでも前進しようとする姿勢または実行力、およびその議論と実行過程が常にオープンであることは世界に誇っても良いと思う。 だから多くの敵を作りながらも未だに世界の若者の憧れの的であり続けるのだ。
さて私のブログの目的は「アメリカのよいところは見習おう」ということだ。
ここで1年間の総括としてコラムヘッドのアイテムごとに日米を比較してみたい。
<GOOD JOB>
アメリカ 民主党政権誕生(草の根選挙でオバマ大統領が誕生し。)
日本 民主党政権誕生(自民党の賞味期限切れで鳩山政権が誕生)
<NICE TRY>
アメリカ グアンタナモ収容所の閉鎖と (オバマ政権の姿勢を示すために
最初に手をつけた課題であったがイラク、アフガニスタンの戦況
が好転せずアメリカ国内保守派の反対もあって収容所の移転と
捕虜の裁判、釈放が進展していない。)
日本 社会保険庁年金記録問題
(民主党が野党時代時追求した年金問題は昨年までの国民の
最大の関心事であり政権交代のきっかけにもなった大事件
だが与党になってから民主党も100%の照合は無理と
云っている。 問題の指摘はよかったが無理なことは無理
と認識して現実的な対応策を考えるのが政治である)
<NEVER GIVE UP, TRY AGAIN, KEEP GOING>
アメリカ 最大の案件は「医療保険改革」
民主党が主体だが共和党でさえ医療保険の改革は国内最重要
課題であることを認識している。 少なくとも1992年
クリントン政権ができてから改革を提案したがその都度議会
の抵抗にあって挫折している。 今回オバマ政権になって
下院はもとより上院で無所属議員をあわせて法案可決に必要
な60議席を見込めることよりオバマ大統領が提起し国民
皆保険設立に向けて議論が始まり民主党内でも抵抗があり
成立が危ぶまれたが3ヶ月かけて議論を進めやっと法案
成立に持ち込んだ。 ただ下院と上院の法案の中身は重要な
事項(PUBLIC OPTION)についてまとめなければならず
来年早々の議会でも双方の歩み寄りには簡単ではなさそう。
また国民皆保険への国民の大多数の認識・合意を得るには
相当の年数が要るようだ。
日本 「政治・行政改革」
判っちゃいるが実現できないのがこの問題。 改革すると
自分も改革されてしまう政治家が多くいるのが原因。
何度も声をあげて改革を試みる(TRY AGAIN)が
途中で(GIVE UP)
民主党になってから事業仕分けで予算削減を試みるが
中途半端。
でも議論を公開しいかに無駄が多いかを国民に知らしめた
効果は 100点 -(KEEP GOING)-
<明快な論理>
アメリカ 当たり前のことで明快な論理と軽快な弁舌がなければ
アメリカでは誰にも(議員、メディア、国民)相手に
されない。
日本 国会での質疑にまともな議論がない。 問題に焦点をあて
現実的 な解決策を見出そうというかみ合った議論ができて
いない。 国会のみならず国民の間に基礎的な民主主義の
教育ができていない のが原因ではないだろうか。
または議論を好まない国民性ゆえか、または日本の文化が
そうさせているのだろうか?
<実行力>
アメリカ 議論だけでは何もならないーという認識は国民の間に染み付いて
いる。だから少々ミスがあっても行動する人を尊敬する。
だから失敗を恐れない。 成功すれば-GOOD JOB- 失敗しても
ーNICE TRY- となるのである。
日本 しばしば船頭多くして船山に登る。 本当の船頭がいないので
まっすぐ目的地に着かないのかもしれない。
百家争鳴でも烏合の衆では何も決まらない。
日本の政治家が得意なのは問題の先送り。 言葉を変えれば
わけのわからないことを声高に云うだけで実行力に乏しい。
<調整能力>
アメリカ オバマ大統領を見ていれば大いにわかるはず。 医療改革に
つきあれほど国を分かつような議論をして議会も国民も2つに
割れているのに結局譲歩するところは譲歩して法案を成立させ
てしまった。 初めから何としても法案を成立させることを
目的としているから譲歩することは当然なのだ。
日本 自党(自分)の意見に拘りすぎ。 鳩山連立政権と民主党自体
を見ても調整能力が低すぎる。 もともと意見が分かれる寄合
所帯ということもあろうが政権担当の基本的認識が薄いのでは
ないだろうか。
国会でまともな議論ができれば国民はついていけるだけの認識と覚悟は
できているはず。 それには民主党も自民党もその他の党も若い人が
一線に出てきて先頭に立たなければならない。 政治・行政改革も
自党改革から出発しなければ本来の改革は前進しないのではないだろうか。