2010年1月7日木曜日

2010年 年の初めに

2010年がスタートして1週間がたった。 
メディアのすべてが年初の巻頭を飾るのは評論家、コラムニストの「今年の予想」である。 手当たり次第に30ほど読んでみた。

70%は「今年は良くなると」と上向き予想 リーマンショック以来世界経済が大恐慌にならず落ち着きを取り戻したと見ればこれ以上悪くならないと希望的観測を持つのは当然。
20%は良くも悪くもならない。 一進一退と云うのも現状から見れば当然か。
10%がまだ2番底は来ると悲観的。 企業業績の不振と失業率ばかり見ていては悲観的にならざるを得ないだろう。 
上記のような年頭所感の平均値は何時の時代でも同じようなものであまりインパクトを感じない。 ただ長いスパンで見てみると徐々に悲観論が増えているように感じられる。 もはや日本はピークを過ぎた落ち目の国なのだろうか?

国民が日本の将来に不安を覚えている原因は何なのか。
1. 失業、派遣、就職などの雇用不安定
2. 年金記録ミス・改ざん、財政破綻などの将来の経済的不安定
が主な原因だろう。 
1980年代までは日本国民は雇用不安はなかったし国家の借金はあっても財政破綻するとは誰も考えていなかった。 貧困という言葉は日本には当てはまらなかった。しかしバブルの崩壊、その後のデフレ経済で国民のそう中流意識は薄れ格差が広がったと感じるようになった。 
貧困の定義は全国民の所得の中央値の半分以下を貧困というらしいがこの定義で言えば非常に豊かな社会でも貧困は存在することになる。 つまり貧困は相対値であるということだ。 
人々の不平不満、 幸福度は周りによって決まる。 名目所得は低くても昔はよかったと思えば今は不幸になる。 国民の不満度が大きくなったのはバブルがはじけて以来増幅し絶対値がバブル時代を凌駕してもまだあの時代を懐かしいんでいるからだろう。 一旦甘い生活を送れば人々はそれがよき時代として忘れることができないでいる。将来に不安があれば今の生活に不満がなくとも人々の生活は幸福感が半減する。 人の気持ちに冷静な判断の基準はない。

日本の外からドルを基準に見てみれば日本はまだまだ裕福な国である。 年金や医療制度に不安があるとはいえ東半球の中では飛び抜けて社会保障は整っている。 所詮は所得をベースにどれだけ税金を納付しどれだけ給付を受けるかの問題であるが日本ではこの仕組みの基本的認識が欠けている。 「税金は取られる」もので自ら納付するという認識はない。 また年金や医療の問題は政府が決める問題だと思っている。
これがそもそも日本の国民が政治音痴だと言われる原因で長年にわたり政治の不毛を放置することとなり気の遠くなるような財政赤字を積み上げることになった。 しかもいまだに切実感はなさそうだ。  不景気も経済成長率も所得格差もすべて数字で表されてはいるが国民はそれを見て失望感を抱いたり自分が不幸であると思ったりはしない。 現在の生活に充実感があり将来に希望があれば人々は幸せに思う。 景気も国民の満足度も大いに相対的で心理的なものである。 要するに経済は国民及び経営者が楽観的であれば上向くし悲観的であれば落ち込む。 人々の生活は経済指標に比例して平均的に良くなったり悪くなったりはしない。 失業した人は100%収入を失い奈落のそこに突き落とされる。 そうでない人は普段どうりの生活ができる。 つまり不幸は特定の人をヒットする。 失業率が10%になったとしても10人中9人は普通の生活ができるはずだ。 この9人が自分もダメだと思えば経済はダメになる。 この9人がまだまだ大丈夫と思えば経済は恐慌にならない。 問題はここである。
国家は普通の人には何もしなくてよい。 国民は政治が悪い、政府が悪いといっても始まらない。 現在は新自由主義(競争社会)が格差の原因のように言われているが何でも相手の考え方を悪いという政治家とその政治家をいつでも悪いといっているメディアに踊らされているだけで経済の実態を見ていない。 競争のない社会には発展はない。 達成感もない。 人間はどのような立場にあっても目標がありそれを達成することで幸せだと感じる。 政府は国民にチャレンジする機会を自由に平等に与えればよいのである。 一度失敗したら終わりの社会ではなく何度でも挑戦できる社会を造らねばならない。
今は何が起るかわからない世の中であり先の予測など出来るわけがない。 だから何をやっても無駄だと思っている人には未来も芽は出ない。 何かやってみようとする人にとってはチャンスになる。 

日本の外に目を向けると政治的混乱、社会不安と経済的困窮がごろごろしている。 普通の日本人なら住むことさえ出来ないだろう。 それに比較して日本の現状がそれほど深刻であるとは思えない。 個人個人が独自の発想とリスクを恐れぬチャレンジ精神さえ備えていればどこにでもチャンスはあると思う。 それが証拠にの現在ような市場環境でユニクロは前年度最高益を達成したというではないか。 小さなことでもいいから今から始めようではないか。 失敗を非難する人より失敗する人のほうが余程成功のチャンスがあるというものだ。 皆で景気を良くしよう!