昨年亡くなったテッド・ケネディ上院議員の後を埋めるマサチューセッツ州の上院議員選挙で共和党のブラウン候補が当選した。
この選挙結果はマサチューセッツ州に止まらずアメリカ全体に大きな影響を与えることになった。 上院では法案を可決するには100議席のうち60の賛成票を必要とする。 与党の民主党は59議席を獲得していた 現在無所属のリーバーマン議員を含めかろうじて60票を計算に入れていたが今回議席を失い58議席になってしまった。
テッド・ケネディ上院議員は兄のジョン・ケネディが大統領になった後に上院議員の席を引き継いだので50年以上にわたりケネディ家・民主党がマサチューセッツ州の上院議席を維持してきたことになる。 もうひとつの議席も民主党で占められていたのでマサチューセッツ州は文字どうり民主党王国だった。 2008年の大統領選挙でもオバマは圧倒的な支持を集めてマサチューセッツの票を獲得した。 今もオバマ大統領自身の支持率は高い。
ではなぜ今回の上院議員補欠選挙で共和党が議席を獲得したのだろうか。
民主党候補のコークリー議員に個人的な魅力・人気がなかったこと、選挙の戦い方がまずかったこともあっただろうがオバマ政権の医療保険制度の改革と大幅な財政赤字(将来にわたって)を懸念する無所属中間層(マサチューセッツ州では民主党や共和党よりも多い。 大統領選挙では大半がオバマ支持であった)が今回は現政府の政策にNoを突きつけた。 アメリカ国民のCheck & Balanceが作用した結果であった。
アメリカでは国民も国会議員も民主党なら民主党の政策、共和党なら共和党の政策に100%OKというわけではない。 議会での採決にしても議員の拘束などはありえない。だから医療保険制度改革についても60の賛成票を獲得するためにはまずマジョリティでもある民主党内での反対派の説得を説得しなければならないと同時に共和党からの賛成票獲得にも精力が費やされる。 つまり一般選挙でも議会内でも基本は党派を超えてあくまで個人の考え方によって投票されるわけで国政に対してCheck & Balanceが働いている。
国民の政治意識の高さと行動力(選挙運動と投票)が民主主義のベースであり必然的に議員の資質も向上する。
二大政党制がうまく作用するにはこうしたベースが出来上がっていなければならない。