2010年1月23日土曜日

メディアのHumanity

ハイチ大地震発生から9日が経った。 連日Liveで映像を見ている。 今までの大地震や大災害では被災の中心から少し離れれば被害はそれほどでもなくそこから救援の活動ができていたが今回のハイチ地震では首都が壊滅している上に周囲の被害も大きい。 また国のインフラが整備されておらずしかも交通が麻痺しているので救助活動も困難を極めている。
それでも現地の様子を生放送で見ることができるのは現場の困難にもかかわらずメディアが現地に張り付いて生で報道いるからである。 とりわけCNNが地震直後に送り込んだクルーのメンバーの質と量は飛びぬけている。 私が知っているメインキャスターやレポーターの半数がハイチに張り付いているように思うほどだ。
毎日夜10:00からのAC360のアンカー:Anderson Cooper、Cheaf Medical Correspondent:Sanjay Gupta, Fromer Morning Caster:Solidad O’Brians、Reporter:Jason Carroll, Chris Lawrence, Temporally だがイラク戦争のレポートで名高いChristin Amanpoleも現地レポートに入った。 顔は見えないが彼らの後ろにはカメラマンや技術スタッフがついている。 そのうえ今回は滞在するホテルや食料、燃料もないので生活サポートスタッフも大勢ついているだろう。 第一陣でさえ26名とアナウンスされていたので今はもっと増えているかもしれない。
2日前の1月21日 Anderson は首都ポルトウプリンスの中心街で食料を奪い合う市民の略奪の様子を取材していた。 またそれをコントロールしようとするギャング(Police は全くあてにならない)の三つ巴で町は暴動化していた。 そのうち屋根の上から投げられたコンクリートの塊が下にいた10歳ぐらいの少年の頭に当たり正面は血まみれとなり倒れそうになった。 取材していたAnderson は誰も助けようとしないのを見て取材を止めカメラをおいて少年を抱きかかえ少し離れたバリケード後ろにあった箱の上に寝かせで取材に戻った。 (わずか10秒ぐらいの映像だった。その後はどうなったのか判らない)
心臓外科の専門医Sanjayはアメリカで最も有名な医療関係のレポーター、アナリストとして知られている。クリントン政権時代ヒラリー・クリントン大統領夫人の医療・保険アドバイザーを勤めていた。 オバマ大統領にSurgion General (厚生大臣)として指名されたが自分は政治家にはなりたくないと断ってCNNにMedical Correspondentとして残っている医療ジャーナリストである。
彼はAnderson とともに地震の翌日から現地入りし翌々日からレポートを開始しているがただカメラに向かって話しているだけでなく自ら病気や怪我をしている人の診療と手当てをし不足している医薬品や機器の詳細を催促し各国の医療チームとも協力してハイチ市民の救済にあたっている。 彼はレポーターでありながら現地ではもっとも有能な医師としても活動している。 空港には必要な医薬品が各国から到着しているものの輸送手段と配給システムが確保されていないのでなかなか現場に届かない。 Sanjayは自ら袋を持って米軍テントに赴き医薬品を調達してローカルの医者に配っていた。
現地は日増しに治安が悪くなり強いゆれ戻しもあって各国医師団や救援隊も危険な状況に置かれている。 3日前にベルギーの医療救援隊は医療テントを置いたまま市中から退却をよぎなくされた。 それを聴いたSanjeyは一人で置き去りにされた怪我人の手当てをするためにそのテントを訪れた。
彼らは現地入りしてからもう一週間たった。 朝から夜遅くまでReporterとしても休む暇もない。 随分疲れているのは伸びたひげと頬がこけているので判るが彼らは決して休みそうにない。 いつも彼らのレポートが胸を打つのは被災した人々の気持ちを理解しながら取材しているからだろう。またこの国が絶望的な状況になっていても決して国や人々を非難しないしネガティブの発言はしない。 送られてくる映像の裏に彼らのベーシックな人間愛が隠されているように思う。
彼らは真のProfessional Journalistだ。