医療制度改革法案がクリスマスイブの朝上院で可決された。 先に可決された下院の法案をあわせて一本化し民主党政権の悲願であった医療改革・国民皆保険がスタートする。
私が知る限りでも1990年代の初めにクリントン政権が改革に手をつけたが議会の反対にあって敢え無く断念したことを思い出す。
しかし国民の6割が基本的に国民皆保険制度に反対しているので議会も制度改革の必要性は認めながらも容易に賛成票を投じるわけには行かなかったのである。 アメリカ人は原則的に個人の自由と自立を求める傾向が圧倒的に強く医療に関しても保険料と給付が自分の現状に見合った選択の自由を確保したい、 医者も患者も政府や保険会社の押し付けを嫌う。 従い政府が直接管理する保険制度には強い抵抗がある。 この点すべての国民に平等な保険制度に慣れている日本人には理解しにくい。
下院案は国が提供する安価な保険(Public Option)を主体に国民が保険を選択できることになっているが上院案ではPublic Optionを設けずに低所得層には民間保険会社が提供する保険に財政的に補助金で穴埋めし国民の保険加入率を引き上げようというもの。 両案が今後の折衝によってどのようにまとめられるかが焦点となるが最初にオバマ大統領が目指した保険改革・国民皆保険の実現からは大幅に後退を余儀なくされるだろう。 それでも国家が今後10年にわたり背負わねばならない財政負担は7.2兆ドル(約648兆円)にも達するといわれているので生半可な数字ではない。 そのために将来米国の財政破綻が懸念されておりこれが議会全体の最大の反対理由でもあるがそれでもやらなければならない改革はやるというのがオバマ流、アメリカ流であり日本の鳩山政権の先送り流とは決定的に違う点である。