2009年11月19日木曜日

マイケル・ジャックソン "This is it"

マイケル・ジャックソンのロンドン公演の8日前に亡くなってから5ヶ月、 スタッフのオーディションから最後のリハーサルまでを撮った映画ーThis is It-を見に行った。
リハーサルを中心としたドキュメンタリー映画だと思っていたがマイケルを中心としてProducer, Musician, Dancer, Choreographerや舞台裏のスタッフたちが一体となってStageを築き上げてゆくプロセスが感動の映画になっている。
映像のすべてが演出の監修や広報のための記録フィルムなので映画のための演出は全くない。 リハーサルとは言え公演間近のほぼ完成された舞台はマイケルの素顔とダンスのプラクティスが覗けてコンサート以上に楽しめる。 歌とダンスはマイケル自ら手がけたものとは知らなかったが音のわずかなタッチ、映画のスクリーンからでは判らないリズムの調整、指先の動きに至るまで自分の感性に合わせて共演者をリードしてゆく。 共演者は分身でありその他の人も自分の神経そのものだ。 ProducerでありDirectorでありSingerでありDancerである彼は自らを中心においてすべての人の才能を極限まで高める。 彼は孤高の頂点にいながらいつも仲間と同じ目線で高度な舞台を追求しているのが伝わってくる。 偉大な演出家にありがちな傲慢さは微塵もない。 そこにマイケルらしい人間性を感じるのである。 リハーサルだから実際のAudienceはいないが舞台下に集まった仲間のMusician, Producer, Dancer, Staffたちは20人にも満たないがあたかもコンサートに集まった熱狂的なファンのように彼の歌と動きに魅了されて一体となる。 彼が100%コンサートの中心であってもチームが高揚して融合しないとこのような大きな公演のプロジェクトは成功はない。
マイケルの歌とダンスがいかに卓越していようコンサートだけの映画であればこれほど感動はしなかったと思う。 この映画の中にはコンサートの演出・舞台つくりの熱情・マイケルの歌とダンスの感性の素晴らしさ、それに加えてマイケルの人間性や子供たちに対する愛情、自然保護を訴える強いメッセージが含まれていて単なるスターを追悼する記録映画に終わっていない。 芸能ドキュメンタリーでこんなに楽しみまた感動したのは始めてのことだ。 天才マイケルを失ったのは真に残念。