2009年11月23日月曜日

久しぶりの日本(7) ユニクロ

日本滞在中に訪れた店の中でもっとも賑わっていたのがユニクロである。
家内の実家の近くにユニクロがあったのでよくのぞいてみたが週末などは朝から夜までレジに行列ができていた。 
商品は100%カジュアル衣料、  ベーシックなものが多いがその時期の流行も取り入れている。 カラーはベーシックながら選択に困るほど多く揃えてあった。 価格はセールでなくとも絶対的に安いからひとつ買うつもりが2枚、3枚と勝手しまう。 セールは30-40%オフがあたりまえだからかなり割安感があり”まとめ買い”を促す。
いくら安くとも品質が悪ければ今の時代に通用しない。 その点ユニクロはよくわきまえていて「安くても品質は良い」という評判を自ら演出しているように思う。 ただスタイルは全般に細くて短くタイトで今の若者向き。 おなかの出ている中高年にはちょっと苦しい。 いつもはSサイズの私でもユニクロ製品はM, 時にはLを買わざるを得ない。買う前に試着を忘れないことだ。 アメリカのサイズと比較してみればタイトで短く同じサイズでも布地が70%ですむのではないかと思われるほど窮屈だ。 
現在、大多数の国民が耐久生活(消費者マインドとして)乃至は縮小均衡を迫られている状況だからユニクロの戦略は消費者の心理にマッチしている。 バブルの時代と違って実利主義の傾向が定着しつつある日本の大衆社会ではたとえ景気が回復したとしても高級差別化志向の消費者が大幅に増えるとは思えない。 安い商品を通じて可処分所得の低い若年層、ファッションには無関心だった中高年男性にファッションする機会、ファッションする楽しみを広げているように思われる。ユニクロは今の日本の文化を的確に把握している。 
一方百貨店の売上げは毎年下降線をたどっている。 百貨店が対象とする客層は縮小するばかりだから売上げが落ちても当然だろう。 ディスカウントショップと同じ手法をとっててはいっそう顧客を失うばかりだろうし赤字は増える。 百貨店は下降トレンドを追っかけるだけではなく先手を打ってドラスティックに店舗の数と品ぞろえを縮小し総合専門店志向を目指すべきだと思う。 衣料品店であろうが食料品店であろうが老舗では価格は高いが品質は保障済み、長期にわたって固定客をつかんでいる。 
百貨店のブランド商品はかなり大衆化して古びている。 しかし価格は大衆化していないしリーゾナブルといえる状態ではない。 専門店も多数入っているとはいえなんとなく時代遅れのマーケティングでちぐはぐな感じがするのである。 何でもあって品ぞろえが豊富というのが総合百貨店だというかも知れないがそれは物のない時代のきらびやかな消費の象徴であって今のように大衆がほぼほしいものは手入れることができる時代、しかも個人の趣向がめまぐるしく変化する時代では時代遅れの巨象といわれてもしかたがない。 何時までも同じ手法で量的拡大を計る時代ではないともうのだが。