2008年4月22日火曜日

米大統領選挙(その20)ペンシルヴァニア予備選

ペンシルヴァニア予備選

3月11日のミシシッピ州予備選から4月22日のペンシルヴァニア予備選まで6週間も間が開いてしまってデッドヒートを続けていた民主党の予備選もダレ気味である。 政策をめぐっての新しい論点がないので過去の些細な発言をめぐって双方が揚げ足取りを続けていては“初の女性大統領”も“初の黒人大統領”も色あせるというものだ。

人間誰しも何十年にもわたって終始一貫、言行一致などはありえない。 まして政治家の世界は現実社会の利益調整であるから常にきれいごとを言っていては務まらない仕事である。
新しい大統領を選ぶのに過去の言動に固執し細かなことをほじくるようなネガティヴ・キャンペーンは重要な大統領選挙の意義を損なうものである。

しかし何回も繰り返されるディベートとキャンペーンを通じて現在アメリカが直面する諸問題が整理し明らかにされてきた。
l 引くに引けないイラク戦争と長期化する対テロ戦争
l 不況と失業
l 1200万といわれる不法移民の取扱と国境・移民対策
l 財政赤字と貿易赤字 
l 目途のつかない銃規制
l 社会資本の老朽化
l 教育の荒廃
いずれも大統領が変わったからといってすぐに解決できる問題ではない。 アメリカ独自で解決できない国際的問題も多く抱えている。

一方日本の問題に目を向けると
l ねじれ国会
l 年金問題
l 格差社会
l 制度改革(行政改革、憲法改正)
l 少子化高齢化問題
など国内問題ばかりで国民の認識はできているから政治のスピードと実行力があれば比較的早期に行動が可能であり解決できる問題であると思う。 
しかしイライラが募るのは一向に前に進めない、歩みののろい日本の方であり、アメリカは非常に深刻で解決には難しい問題が山積しているにもかかわらず欲求不満が募らないのは十分な論議がなされつつ今秋の大統領選挙に向けて国民が自らの手で変革(Change)ができる政権を選ぼうとしているからであろう。

さて最後の大票田ペンシルヴァニア予備選は記録的な投票率だった。
ペンシルヴァニアの投票結果 クリントン 55%  オバマ 45%
予想された範囲内でクリントンの勝利だがクリントンが追いつき追い越すに十分かどうかは微妙なところ。 まだまだ気のもめる選挙戦が続きそう。 本選で民主党はガス欠(資金不足)を起こさないかと心配だ。

(追記)クリントンが勝利したあと24時間でクリントンは$1,000万の献金を集めたという。

”勝てば官軍” ネガティヴキャンペーン何のその!(ネガティヴキャンペーンが効をそうしたといわれている)急に勢いを得たクリントン陣営が次回のインディアナ以降の予備選に向けてまたネガティヴキャンペーンと人気取りの”ばら撒き政策”、”大衆不安”を煽るアジテーションを繰り返すだろう。 

国民の約25%を占める低所得層、低教育層にはこのようなキャンペーンがもっとも効果的であることをクリントン夫妻はよく知っている。 ヒラリーはミドルクラスと呼んでいるが実はそうではない。 社会の下半分に焦点を合わせた政治は大衆迎合主義で国の将来にとって決していい結果をもたらさない。