2008年4月14日月曜日

マスターズ ゴルフ(5) ライブスポーツの魅力

スポーツのライブ放送

アメリカでスポーツの実況放送を見ていて思うのはキャスターと解説者の会話が実にスムーズにゲームの流れにフィットしていて邪魔にならないことだ。 主役はあくまでゲームとプレイヤーでありキャスターと解説者は控えめなところがいい。

マスターズゴルフでいえばTVのスクリーンで背の高い松林を吹き抜ける風の音やフェアウエーの緑とカラフルなツツジにいろどられたコースの景色のなかに流れるCBSスポーツの名キャスター、ジム・ナンツのナレーションが心地よい。
キャスターも解説者もプレイヤーがアドレスをしたりパターを構えるとそれまでのおしゃべりを止めてプレイに注目する。 ティーグランドやグリーンの周りにはしばらく静粛が流れる。
白いボールがグリーン上をホールに向かってころがっているかわずか数秒の間コースにいる人も地球の裏側でTVを見ている人も息を呑んで球の行方を注視する。 コトンと音がしてホールインすれば歓声が上がりわずかに外れるとため息が漏れる。 映像が100%ドラマを伝えているからこの時の解説は無用である。

スポーツ観戦の醍醐味はその一球その瞬間を同時に体験することにある。 ゴルフの場合はアプローチがピンそばにランディングしてどこにとまるのか。 パターした球がラインの上を転がり最後の一瞬でホールに転がり込むのか全員が息を止めてその瞬間を見守っている。  何もゴルフだけではない。 野球でもピッチャーが投げたその一球を打者のバットがヒットするその瞬間を視聴者は注視している。 その他のシーンはこの一瞬のためのセッティングであるといってよい。

昨年と一昨年はマスターズやUSオープンを日本で見た。 日本の解説者はプレイヤーが球にアドレスしてもパターを構えたときもしゃべりをやめない。 その無神経さに思わずTVの前で“シー!”といってしまった。 日本のキャスターと解説者はできるだけ多くしゃべり専門的な知識を披露することが仕事だと思っているようにみえるがゲームと選手が主役であることをよく理解してほしい。

ついでに言わせてもらえば日本の野球の応援もあまりにもゲームを無視した身勝手な応援で観戦を邪魔する最たるものだ。 せめてピッチャーが構えてからバッターがヒットするまで、またはキャッチャーが捕球するまでの1-2秒は音を出さずにゲームに集中できないものだろうか。