2009年8月17日月曜日

医療保険改革

今年アメリカでは大統領はじめ政治家には夏休みはない。
アメリカ最大の国内問題ー国民健康保険ーをめぐって国中が喧々諤々、オバマ大統領は選挙公約でもある医療保険改革(国民皆保険)を強力に推し進めようとしているが議会や国民の強烈な反対に会っている。

何しろ無保険者が全米で4,600万人もいるというから尋常ではない。 皆保険を実行するには莫大な費用がかかる。
反対の理由は次のようなことがあげられる。
* 政府予算が莫大になるというのはつまるところ税金が高くなる。
* 保険選択の自由がなくなる。 (保険の種類ー給付と保険料、 医師、病院などの選択)
* 政府にシステムをコントロールされるのはいや。(医師も国民も)
* 保険会社は政府が介入することで市場の自由競争が阻害される。(政府の保険と競争しても勝ち目はない)
* 既存のメディケア(老齢保険)、メディケード(低所得者向け保険)など既得権のベネフィットが削られる恐れがある。

国民も医療関係者も政府も議会も改革せねばならないことでは一致しているが利害が複雑に絡み合っており「個人の自由」と「税金」には極度に敏感なアメリカ国民だけに一筋縄ではいかない。
そこで大統領は得意の対話戦術に出て時間のある限り各地に出向きタウンミーティングを重ねている。 毎日こんなに演説をする大統領を見たことはない。 難問に手を突っ込んだだけに大統領の支持率も急落、医療保険改革については支持率が43%まで下がってしまった。 
オバマ大統領は公約をひとつひとつ片付けていくのは予定の行動であって公約がいかに難題であっても先送りしないのはさすがである。 
地元に帰った議員さんも意見の分かれる地元選挙民への説明と対応で大変だ。 議会でも侃侃顎顎で結論を持ち越したままで今度は地元民の意見を総括して議会が大統領とまた話し合わねばならない。 そこにアメリカの議員さんの国民の代表としての大きな役割を果たしているのを見ることが出来るし民主主義のシステムが作動しているのが見えるのである。 
時間をかけて自由な議論をすることが最大の解決策なのだ。