2008年3月31日月曜日

アメリカの医療保険

アメリカの医療保険

アメリカにはMedicare(メディケア)という65歳以上が加入できる高齢者用医療保険とMedicaid(メディケイド)という障害者・低所得者層の保険を除いて公的医療保険制度はない。 しかしMedicareは医者の診療と病院の施設入院費用をカバーするための保険で医薬品は含まれていない。 Medicareに加入している人でも薬代やその他の費用負担リスクをカバーするために補助的保険に加入している人が多い。
保険料は2008年度で月額$96.40 集積控除免責金額-自己負担(Deductible)は$135.00 そのあとは20%を自己負担する。  
(非常に細かな費用負担規定があるがここでは省く)

働いている人は会社が提供する健康保険に加入すればよいが自家営業やその他の人は自分で探して保険を買わねばならない。 
保険会社は数多くありMedicareに紹介されている大手保険会社だけでも20社以上もある。 各保険会社は地域別サービス別に数種の保険を提供しており全部数えれば数百種の保険があるだろう。 端的にいえば高い費用負担を回避しながら質の高いサービスをうけるために高い保険料を支払うか基本的に健康な人であれば少々のリスクをとって安い保険料で済ませるかは自分の健康状況と費用リスクを判断して決めればよい。 
しかし各保険条件を理解し比較することが非常に難しくどの程度費用がかかるのかは医者や病院にもよるので実際の支払いを見なければわからないことも多い。 保険選択の自由はあっても実際どれが最適なのかは一定期間を経験してみないとわからないというのが実情と思う。


医者は数社保険会社を選択して契約する。 これは完全なビジネスだから信頼度、事務処理スピード、カスタマーサービスなどを考慮して決められる。 大事なことはお気に入りのホームドクターに診てもらおう思えばこのドクターが契約している保険に自分も加入していなければならない。 
また医者は医療訴訟から自ら身を守らねばならないので個人の保険を買う必要があり訴訟費用が高く賠償額も巨額になるアメリカでは当然のことながら保険料が高い。 医療費高騰の主要な原因でもある。

個人で一般の医療保険を買うと年齢・性別・サービスの種類によって保険料は大きく違うが50歳代の夫婦2人で月額$1,000はかかると思う。 年間$12,000の負担は低所得層には支払える金額ではない。 だから全米で4,800万人もの無保険者がいるわけだ。
今回の大統領選挙でも最も身近な課題として真剣に議論されている。

保険料が高い理由はいろいろ考えられるが私が思い付くところを列挙すると
1. 医者・病院に対する法外な損害請求訴訟が多すぎて医者・病院の保険料がべらぼうに高い。
2. 医者の診療コストが高い。(医者になるための投資コストが高いため診療費が高いのは当然ともいえるが)
3. 医療検査器具が技術革新により早期に陳腐化し買い替えが頻繁に起こる。
4. 医療器具・検査サービスを惜しまず頻繁に使用する。

しかし質の高いサービスはコストがかかるのは当然でありそのための保険であると理解している。