2008年3月29日土曜日

米大統領選挙 (その18) 急展開:民主党指名争い 

急展開する民主党の指名争い

3月11日のミシシッピー州予備選から4月22日まで6週間も予備選はないが民主党の指名争いは急展開しつつある。
オバマはミシシッピー州予備選でヒラリーに61%vs39%と大勝したもののその後ライト牧師の説教問題で一時後退したが慌てず騒がず落ち着いて対処したことが帰って彼の信頼度を高めた。 
一方クリントンは経験を誇示するためボスニア訪問のエピソードを各地で披露していたがスピーチの内容に作り話がこめられていることが発覚して信頼度を落としている。 
最近のPollでは彼女の信頼度は調査開始以来の39%まで低下しネガティヴ度は51%まで上がり明らかにクリントン離れが始まったといえよう。

3月9日現在数字的にはオバマのDelegates獲得数が1625、クリントンの獲得数は1486となっており残り10州でクリントンが追いつくのは非常に難しいとみられている。
しかし両陣営のネガティヴ・キャンペーンは日を追うに従って激しく根堀り葉堀りの泥仕合で民主党首脳部は同党への支持が落ちるばかりか本選で共和党・マッケーン候補に利するばかりと真剣に心配しはじめた。 

下院院内総務ナンシー・ペロシはSuper DelegatesはPledged Delegatesの投票結果(一般選挙で獲得した代議員数)にフォローするよう勧告している。 Pledged Delegatesの数ではオバマがリードしておりほぼ勝利を確実にしたと見られることから彼女の発言は実質的にはオバマに投票するよう勧告しているのと同じでことである。 
民主党本部のハワード・ディーン委員長は全国指名大会での混乱を避けるためにもSuper Delegatesに7月1日までに投票するよう呼びかけておりこれもオバマへの投票を加速することになる。 
2月27日にはペンシルバニア選出ボブ・ケーシー上院議員がオバマ候補の支持を発表して4月22日の同州予備選に大きな影響を与えるものとみられている。
2月28日にはバーモント選出民主党の重鎮パトリック・レイヒー上院議員は始めて公式にクリントンの指名放棄を勧告した。

メディアも総じてクリントンに批判的でありクリントンはいまや四面楚歌、挽回はほぼ難しいと見られることから上記のようなクリントンおろしが始まった。

ロサンジェルス・タイムズ紙によれば「多くの民主党議員はクリントン家は民主党のためには何もしなかった。 ほとんど彼ら自身のために働いたみたいなものだ。 前クリントン大統領時代には大統領を守るために時間をとられて本来の審議ができず全国的にも州レベルでも議席を減らしずいぶんつらい思いをしたと思っている」と伝えている。
私もまったく同感でクリントンには2度とホワイトハウスに戻ってほしくないが多くのアメリカ人が同じようなクリントン・アレルギーを持っておりいっせいに声を上げ始めた。

このような状況下にあってもヒラリー・クリントンはまったく選挙戦より退出するような気配はなく数字的に決着がつかない限り身を引くことはないだろう。

世間はすでにマッケーン対オバマで動きつつありSuper Delegatesはそれを踏まえて6月末までには投票を終えて民主党として本選に臨むのではないかと思われる。