2008年1月29日火曜日

米大統領選挙(その9)  フロリダ予備選

1月29日 フロリダ予備選


アメリカの選挙はいろんなことが起こるものだ。
フロリダといえば2000年の本選で共和党ブッシュと民主党ゴアが最後の最後までDead Heatを演じた選挙が思い出される。 投票用紙の穴の開き方が原因で再カウントになりそれでも決着がつかないので連邦最高裁判所の決定でブッシュが大統領に就任した経緯がある。

今回は予備選なので問題は深刻ではないが1月29日のフロリダ予備選では民主党の投票はカウントされないことになっている。理由はフロリダの民主党が本部の承認を得ずに予備選を予定より早くしたことでペナルティとして投票の結果が出てもDelegates数は当てられないことになった。 したがって候補者たちは大票田フロリダ(総有権者数1020万人)には遊説には行かなかったのである。 しかし173万人もの有権者が民主党に投票にした。 選挙に対する関心の大きさを示すものだ。

一方共和党本部は投票の結果を尊重しDelegatesの獲得数に反映することにしたのである。 だから共和党の候補者たちはこの大票田で最大のキャンペーを繰り広げている。
特に元NY市長ジュリアニは1月3日のアイオワから始まった予備選を先週のS.カロナイナ州まで少数票田の州を殆ど無視してキャンペーンをせず殆どの時間と巨額の資金($3500万)をフロリダに注ぎ込んだ。 
予備選が始まる以前はPollでトップを走っていたジュリアニもこれまで6州の予備選で満足な結果を得られず〈殆ど4位-6位〉どんどんモメンタムを失ってしまった。
フロリダ予備選直前のPollではマッケーンとロムニーがトップ争いを繰り広げているのにジュリアニは4位に止まっている。 これは選挙戦略の大いなる間違いだと指摘されている。


開票の結果
民主党: クリントン(50%) オバマ(33%) エドワード(14%)
Delegates獲得数のないコンテストといえどもこの大差の勝利は圧倒的な支持を証明したわけで1週間後に控えたSuper Tuesday に向けて大きな力になるだろう。

共和党: マッケーン(36%) ロムニー(31%) ジュリアニ(15%) ハッカビー(13%) フロリダ予備選では勝者が全部のDelegates(57)を獲得するシステムだからマッケーンの勝利は大きい。 今までDelegates獲得数ではロムニーの後塵を拝していたがフロリダを獲得して一気にトップに躍り出た。 ジュリアニは$3500万もの大金を注ぎ込んだにも拘わらず15%にとどまりこれ以上キャンペーンを続ける意味も勢いも無くなってしまった。 ジュリアニは知名度が高くてもあくまでNYのジュリアニでありAll Americanでのジュリアニにはなれなかった。  この結果をみてジュリアニは早々に戦線離脱を決定しマッケーンのEndorseを決めてしまった。 ジュリアニとしてはこの結果を持って明日のロサンジェルスでの共和党ディベートに出たくなかったのだと思う。

1月初めより4週間にわたる予備選を見てまるで時間を置いて1人で全区を走る駅伝のようだと思った。 スタミナ(資金)不足で早々に脱落してしまう候補者がいる。 応援が無くて途中で棄権するものも出る。 スタートで出遅れ前半で勝負を投げてしまうものがいる。
前半の最大のヤマ場が来週2月5日のSuper Tuesday (ニューヨークとカリフォルニアを含む22州の同時予備選) 箱根駅伝の山登りみたいなものだ。 たいていの場合はここで勝負が付いてしまう。 今のところ共和党では本日勝利したマッケーンがジュリアニのEndorsementを得て俄然有利になった。 
民主党ではクリントンが有利だが来週までに合従連衡が起こらないとも限らない。
しかし今回の予備選は民主・共和両党ともデッドヒートが続き決着は付かないかも知れない。 
いよいよSuper Tuesdayだが明日30日にはロスで共和党のディベート、明後日には民主党のディベートが控えている。
各候補は今頃夜行の飛行機で西岸に移動中 飛行機の中でもバスの中でも休みなくレポーターの質問を次々に受ける候補者。 心身ともにタフでないと勤まらない。