2008年1月20日日曜日

米大統領選挙(その7)  SC&NV予備選

S. サウスカロライナ州&ネバダ州予備選 (1月19日)

サウスカロナイナが注目されているのは共和党では1980年以来サウスカロナイナ州で勝利した候補が共和党の大統領候補に選ばれているからだ。
しかもアイオワ、ニューハンプシャー、ミシガンの3州の予備選ではトップがそれぞれ入れ替わっているダンゴレース。 メディアはニューハンプシャーでの読み違いに懲りてなかなかPollを 発表していないので全く予想がつかない状況であった。

今回は初めての南部での予備選、 伝統的保守派が優位な社会、全米で最も黒人比率が高く(30%)-民主党票の50%を占める。  キャンペーンもこれまでとは違った展開をみせていた。 ミシガンでは経済問題が最重要課題であったがここでは候補者の価値観やパーソナリティが選挙民の選択肢となった。 

このような背景からすればハッカビーが僅かに有利で勝利すると思っていたが結果はマッケーンが33%を獲得してハッカビー辛勝した。 ハッカビーにとっては同じ南部を基盤とする保守派トンプソン候補が検討して16%の票を取られてしまったのが痛かった。
Primary 結果:マッケーン(33%) ハッカビー(30%) トンプソン(16%) ロムニー(15%)
マッケーンはここで弾みをつけてフロリダ経由Super Tuesdayに乗り込むことができる。 
ハッカビーも健闘しているのでSuper Tuesdayまではなんとしても頑張るだろう。

ミシガンで勝ったロムニーもフロリダに賭けているジュリアニもフロリダで勝たなければモメンタムをキープすることは難しい。(ロムニーは同日ネバダ州で勝ったが票が少なく問題にならない)

一方民主党は同じ日にネバダ州でPrimary予備選がおこなわれるため候補者はラスベガスに集中している。1週間遅れの1月26日にS.カロライナ州で予備選が行われる。
共和党も同日ネバダ州でPrimaryが行われるが全員S. カロライナに集中しているので実質的には今回は両党別々に予備選が行われていると言ってよい。

ネバダといえばラスベガス. カジノ以外に何もないといってもよい。 近年カジノの拡大・急成長で人口も倍増している。

(単位1000人)

Nevada    Population    Hispanic/Latino    African American
1900       1,202        124 (10.3%)       78 (6.5%)
2000       1,998        393 (19.7%)      135 (6.8%)
2006       2,495        610 (24.4%)      183 (12.4%)

特にHispanic/Latinoは5倍、黒人およびその他のマイノリティを合わせればマイノリティの比率が40%近くなると考えられる。 ホテルやカジノの下働きはほぼマイノリティの仕事で各職場ごとにUnion(組合)で組織されており候補者にとってはUnionのEndorsementが大きな支援になる。 政見が似通っており支持基盤が同じほど泥仕合になる傾向が強い。 
また選挙民のレベル・政治意識が低いところでは選挙活動・キャンペーンが次元の低い個人攻撃、単なる票集めのレトリックに終始しているようで残念でならない。マイノリティはほぼ民主党の選挙基盤だからクリントンとオバマで激しい票の奪い合いが演じられた。

予備選は党員による選挙だから規則は党によって決められる。(法律ではない) 今回ネバダでの選挙は投票所がカジノの中に設けられた。 (これはオバマ支持のCulinary Union (料理人組合)に有利としてクリントン側が抗議したが受け付けられなかった。)
TVで放映されていたカジノ・シーザーズパレスの一室で行われた民主党Primaryを見ていると英語がわからない投票者がかなりいる模様で係員がスペイン語で説明しているのが見てとれた。 PrimaryのChairwomanが投票者をオバマ支持者は部屋の右側にクリントン支持者は部屋の左側に集め未決定者を真ん中に座らせる。 グループごとに挙手させて支持を確認したあと投票用紙を回収する。 中立または未決定者を誰に投票するか決定させたあと総投票数を再確認する。ここでは熱気のある政策論議など期待できないしまともな選挙が出来ているのかどうかさえ疑わしい。
政治は現実だからきれいごとを言っては始まらないが選挙民のレベルが低いとレベルの低い選挙になりレベルの低い候補者が当選することになる。 それが選挙の現実かもしれない。
アイオワやニュウハンプシャーでみた投票風景とは全く違った雰囲気や光景で選挙に対する熱が少々冷めてしまった。

民主党では同日ネバダ州でPrimary予備選が 行われクリントンが(51%)を獲得して オバマ(45%)に勝利した。 エドワードは(5%)でジリ貧、もはや選挙をつづける意味が無くなってしまった。 早晩ドロップするだろう。 今後はクリントンVS.オバマの対決になるだろうが選挙経験が長く全国のクリントンマシーンがフル回転するクリントンの優位はさけられない。 選挙を終盤まで緊張させ本選に繋ぐためにも是非オバマ候補は頑張ってほしい。