2011年11月28日月曜日

アメリカの保守主義(共和党)の矛盾

アメリカの保守主義の矛盾

2012年の大統領選挙は跡1年先に迫り共和党の候補者選びが注目を集めるようになった。
しかし昨今共和党のビジョンがはっきりと見えない。 レーガン時代は「強いアメリカ」でソ連を崩壊に追い込んだ歴史的事実がある。 ブッシュの時代はネオコンが率いる「自由と民主主義」の押売りでアメリカを弱体化させてしまった感がある。 功罪は別としていずれにしても時の政府と支持政党たる共和党が掲げる政策には保守主義の明確なビジョンがあった。
共和党のスタンスがはっきりしないのは世界情勢がこの20年ほどの間に大きく変化してきたことが大きく影響している。
まず最大の敵国・ソ連の崩壊と共産主義が弱体化、変貌して軍事的にもイデオロギー的にも対抗勢力がなくなったこと。 経済は好況不況を繰り返しながらも産業の空洞化が進み相対的経済力が低下していること。 経済のグローバル化が進み新興国の力、影響力が増大していること。
財政赤字、貿易赤字が極限に迫り対応に迫られていること。 国際的にはイスラム教国への不信感、終わりなきテロとの戦い。 中国台頭の懸念。 第二次大戦後共和党がベースとしていた世界情勢が大きく変貌したにも拘わらずこうした変化への対応できず目先の国内、国際問題への対応に追われ説得力あるビジョンを提示することが難しくなっている。 
「反共」は最早死語に近く標語にもならない。 「小さな政府」を目指しながらも大きな軍事力は維持したい。(軍事産業からの圧力) メキシコ国境警備のための連邦政府の役割強化。自由と民主主義は本来リベラル派の思想で茶会派の独立・無干渉主義とは思想的に異なる。
経済的には自由化を進めてきたにも関わらず国内的には(選挙対策としては)保護主義を匂わせる。 医療・保険制度もオバマの国民皆保険には反対といいながら共和党としての国民を納得させられる包括的な保険制度を提案するに至っていない。 
すなわちアメリカは国内的にも国際的にも複雑な利害が絡み合い大きなジレンマに陥っていて確固たる政策を打ち出せないで居る。 
これはオバマ政権にとっても同じことで最近オバマ大統領が精彩を欠いている原因でもある。
しかし選挙でオバマ大統領に対抗してゆくにははっきりしたビジョンを打ち出すべきと思う。 さもなくば共和党に勝ち目はない。