2011年8月7日日曜日

米国国債格下げ

米国国債格付けのAAAからの引下げは単にドルの信用問題だけでなく(これだけでも大変なことだが)アメリカの凋落の象徴的なできごとである。
とにかく発表のタイミングも悪い。 ぎりぎりまで決着がつかなかった米議会での歳出削減問題が一段落した直後の発表で米国経済の先行き不安を追認する形となった。  遠因は妥協の姿勢を見せないTea Partyにある。 
しかしドルの信用問題は今に始まったことではなくアメリカの双子の赤字が限りなく続いていることより折に触れ危惧されていた。 いよいよオオカミがやって来たということか。
ベルリンの壁の崩壊以降も政治的にはアメリカの単独覇権は続いていたけれども経済的には1980年台から地盤低下が始まっていた。 電気製品に見られるごとくMade in USAは20年前から姿を消していた。 象徴的なのが自動車で2009年トヨタの販売台数がGMを抜いてトップに躍り出たこと。 会社内容は云うまでもなく赤字続きでとっくに優良会社の看板ははずれていたとしてもついに破綻、GM神話も崩壊してしまった。 残っているのは航空機産業だけだがこれも最新鋭旅客機のB787は日米共同開発といい。 三菱重工や川崎重工の協力なくしては開発不可能だったかもしてない。
米国国債格下げの影響は国内的にも国際的にも複雑で且つ長期間に及ぶ問題であろう。
とりあえず週明けの株式市場は大きな波乱が予想されるが暴落することは間違いないと思われる。 問題はその後の収束の仕方による。 80年前とは時代が異なり世界も賢明になっている。 大恐慌にはならないことを祈るが当分社会は不安から逃れることはできないだろう。