2009年1月23日金曜日

オバマ政権の実務と演出

オバマ政権 実務と演出

大統領就任式の翌日1月21日には上院でクリントン新国務長官が圧倒的多数で承認され1月22日には早速国務省入りしてホールに国務省の職員を集め、オバマ大統領のもとでバイデン副大統領や国防省、CIAなどと一致協力して国家の安全と国益を守るため外交を進めてゆくと基本方針を演説した。
この日の彼女は笑顔がいっぱいの晴れやかな顔をしておりロビーの階段の中段から時折ジョークを交えながら1000人を超える職員に呼びかけた。 
“I believe with all of my heart that this is a new era for America," Clinton told her colleagues. "President Obama set the tone with his inaugural address. ... Robust diplomacy and effective development are the best long-term tools for securing America's future.”
何度も言うがヒラリー・クリントンの抜きん出た頭脳、不屈の闘志、ねばり、卓越した弁舌は予備選キャンペーン中に証明済、しかも弁護士、アーカンソウ州知事夫人、クリントン大統領夫人、NY州選出上院議員と30年近く政治の中枢にいて人脈も豊富。 国際的にも最もよく知られた有能なアメリカ人女性でありいかなるポジションにつこうと右に出るものはいない。 特に内外とも厳しい情勢にあって彼女は国務長官として最適であり実績を上げるものと期待している日とは多い。
今日の圧巻は午後3時ごろオバマ大統領とバイデン副大統領が国務省を訪問しクリントン国務長官が新任のミッチェル中東問題担当大使(N.アイルランドとイングランドの紛争を仲介・調停を纏め上げた)とホルブルック・アフガニスタン・パキスタン担当公使(全国連大使、国務省次官)を紹介した。その後バイデン副大統領が外交問題の重要性を力説しミッチェル大使とホルブルック代表がそれぞれ豊富を語った。 いずれのスピーチも示唆に富み経験豊かな専門家であることを確認した。 上の5人がひな壇に並べば圧巻である。 これ以上強力な外交チームはありえない。 オバマ大統領の外交への意気込みが感じられ国務省の職員は大いに鼓舞されたことと思う。
最後に演壇に立ったオバマ大統領は一般外交演説とも取れる重要な演説を行った。 
-ブッシュ時代の一国主義を退けて国連および諸外国と協力して世界の問題解決にあたること。 
-イスラエル・パレスチナ共存を支持しそのための援助は惜しまない。 ハマスの暴力は断固退ける。 
-テロとの戦いのキーはアフガニスタンの対タリバン・アルカイダにあり早期に作戦を展開する。

これに先立ってオバマ大統領は国際的に評判の悪いキューバ・ガンタナモ基地にあるテロリスト収容所を閉鎖することを発表した。 リスクを冒して収容所を閉鎖するのはアメリカは変わろうとしているまず最初に印象ズけるためだと思われる。 イラクにせよアフガニスタンにせよ諸外国の協力なくしては解決できないし財政的にもアメリカに重い負担なっている。 まず自ら率先実行し相手を協議に引き込もうとするオバマ流のやり方だ。

いずれにせよオバマ政権は矢継ぎ早に政策を実行に移しアメリカ国民と世界にアピールしている。 心憎いばかりの演出である。 いくら良い政策を策定しても国民の理解と支持を得なければ実効は難しい。 オバマ政権は実務と演出を見事なスピードで実行している。

このようなオバマ新政権を見て麻生首相、内閣、自民党、小沢民主党はどう考えているのだろうか? 普通の人ならこうありたいと誰もが思うはずだが何が原因で彼我の差がこんなにあるのか? いずれの新聞論説やコラム、ブログの意見を見ても日本の政治の体たらくを嘆くばかりで政治を変えるためにどうすればよいのかの具体案を提唱する人はいない。
行動できる人も今は渡辺元行革大臣のみ。 これではいつまでも日本にChangeはやってこない。