2008年2月13日水曜日

米大統領選挙〈その14) オバマのモメンタム(1)

オバマのモメンタム (1)

Potomac Primary (Maryland, Virginia & Washington D.C.)

オバマの勢いが止まらない。 先週のルイジアナ、ネブラスカ、ワシントン、メインに続いて2月12日には首都圏 メリーランド、ヴァージニア、首都ワシントン特別区でオバマ候補がクリントン候補に圧勝した。 予備選の得票数でオバマ(1253)クリントン(1211)と逆転、 
2月5日のSuper Tuesday以降7連勝でオバマとクリントンの得票比率は開くばかりである。 僅か1週間前のSuper Tuesdayが随分前のことに思えるような様変わりだ。

なぜオバマの支持が増えているのか? 
黒人層や若者の支持だけでは勝てないしこんなに得票数に差が出るわけがない。 理由は今までクリントン支持基盤であった白人女性票でオバマの獲得票がクリントンを逆転してしまった。 白人全体でもオバマ支持が急速に増えている。 つまり60歳以上のシニアを除けば全カテゴリーでオバマ支持が増えているのだ。 

前日から負けが判っていたのかクリントンは選挙の結果を見ないで最後の決戦場テキサスに飛んでしまった。 3日前に選挙キャンペーンマネージャーが辞任したばかりだが昨日副マネージャーも辞任してしまった。 明らかにクリントンは追い込まれている。

このままで推移すれば最終的に得票数でオバマが勝利する公算が高くなってきたが予備選の選挙方式上決着がつかない公算が大きくなった。 どちらか候補が残りの州を55%-45%の比率で全部取ったとしてもDelegatesの数が比例配分されるので過半数に至らないのである。

民主党の場合はDelegates(3253) +Super Delegates(796) Total 4049 Delegates したがって2025票を獲得すれば指名獲得となる。 
2月12日現在オバマ1253票(Delegates 1096 +Super Delegates 157)クリントン1211票(Delegates 977 +Super Delegates 234) 残りのDelegates(1180)を残りの予備選で55%獲得すると649票になる。 これをオバマのDelegates獲得数1096に加えても過半数の2025票には届かない。 一方Super Delegatesは残り405票 この票の行方が指名候補を決定する。

Super Delegatesは元大統領、元副大統領を初め民主党全国委員会のメンバー、国会議員、民主党知事などいわゆる民主党のVIPで構成される。 Super Delegateは全国大会前に今回のTed KennedyやJohn Kerryのように早い段階で候補の支持を表明する場合もあるが多くのSuper Delegateは最終段階まで誰を支持するかを表明しない場合が多い。
Super Delegatesは途中で支持を変更することも出来るし特定候補サポートのために予備選でえらばれたDelegatesを20%まで勧誘することができる。 1980年にこの制度が導入されたが今まで実働したことはない。 通常大統領候補を指名する党大会までに候補が確定してしまうからである。

今回は予備選で指名候補が決定しない公算が大きい。 しかも総得票数にはフロリダ州とミシガン州のDelegatesの数がカウントされていない。 〈両州は民主党本部の以降を無視して予備選を早めたためペナルティとして投票はしてもDelegatesは割り当てないことになった〉 この2つの州ではクリントンが勝利しているから最終的に両候補の得票数が拮抗しクリントンが下回っている場合はクリントンは両州のカウントを要求するであろう。 民主党本部がどう対応するかがまず問題だが一旦決めたルールを変更するとなるとオバマ陣営も黙ってはいない。 
こうした事態と混乱を避けるため初めてSuper Delegatesが動かねばならないだろう。 

共和党の場合はPotomac Primaryで3勝したマッケーン候補がほぼ指名を確実にした。
候補確定には問題ないが共和党内部〈特に保守派〉がマッケーンのもとにまとまっていないので本選でモメンタムをキープできるかどうか疑問視されている。