今年は寒さが続いている。 クリスマスが近ずいてきたので暖炉で薪を燃やすことにした。 昨年は暖かったので買った薪がそのままのこっている。 本格的に暖炉を使用するのはMtn. Lakes, NJ 以来12年ぶりだ。
普通の薪に火をつけ上手に燃やすには技術がいる。 点火のために新聞紙を丸め適当な間隔で薪を組む。 点火してもちゃんと燃えはじまるまでアテンドしなければならない。 うまく燃えているのはせいぜい5分程度、10分も続かない。 適当な火加減を保つには時折鉄棒で燃えている薪を適度な間隔に整えなければならない。中程度の大きさの薪を5本使って約1時間持つ。 この間まずその場を離れることができない。 また灰取りなど後始末も面倒だ。
というわけで最近は電気を灯すがごとくスウィッチひとつで点火するガス暖炉が人気である。 アメリカの家では普通セントラルヒーティングで暖房は付いているので暖炉は必要ないが南部や西部の暖房のいらない地域でもほとんどの家に暖炉がついているのはインテリア・デコレーションの意味が大きい。
それでも私は暖炉で自然の火を焚くのが好きである。 スタートする時に丸めた新聞の置き方と蒔きの組み方を考え点火がうまく行って好調に燃え始めると非常に満足感を覚える。 時折燻って煙たいこともあるけれどノスタルジックな焚き火の匂いがして懐かしい。 薪の炎はときに大きくまたは小さくゆらゆら揺れて常に変化する。 時々パチパチと木がはじける音の伴奏が付く。いつまで見ていても飽きないから不思議だ。
人間は何時から火を使うようになったのだろう。 火を使って煮炊きをし暖を取ることできるようになって人間の生活は飛躍的に進歩した。 薪をくべることから石炭やガスを使用するようになっても基本的には火を使うことに変わりわない。 私が子供の頃はまだカマドやコンロでご飯を炊き火鉢で暖をとった。 電気が主力になったのはごく最近のことだがオール電化まで登場し直接火を起こす機会はほぼ無くなってしまった。 最近の都会っ子なら焚き火さえ見たこともないだろう。
しかし火は人間文明の原点でありつい先頃まで何万年も使用していたことを思えばエネルギーや照明などの実用以外に不思議な魅力をおぼえても不思議ではない。
iPadから送信