2011年5月19日木曜日

オバマ大統領の中東政策

古くて新しきはアメリカの中東政策である。 5月16日オバマ大統領は新中東政策の演説を試みた。 歴代の大統領が中東和平を模索して幾度となくイスラエルとパレスチナの首脳を招集し合意を試みた。 いずれも最終的には目的を果たせずに任期を終わってしまった。 なぜこれほどまでに大統領が中東和平に注力するかといえば中東和平が大いにアメリカの国益に結びつくからである。 中東=産油国でこの地域の不安定は世界の石油供給に重大な影響を及ぼす。 アメリカ経済と世界経済に大いなるインパクトを与えることは明白だ。 またアメリカはイスラエルの以来建国莫大な援助でこの国を支えている。 アメリカはイラク&アフガニスタンの戦争で巨額の財政赤字に陥ってしまった。 これ以上財政赤字を増やすわけには行かない。 これを立て直すには戦争を止め巨額の出費を止めなければならない。
オバマ大統領は中東和平が一筋縄ではいかないことは百も承知であるが今がチャンスだと見た。 チュニジアやエジプトで民主革命が起った。 今まででは考えられない情勢変化である。 しかも中東全体で対決しているアルカイダの首領、オサマ・ビン・ラディンを殺害し中東の敵対勢力を弱体化に成功した。
オバマの提案はクリントン大統領が提案したのと同じ1967年合意に基ずく国境制定を目指すものである。 しかし翌日のイスラエル・ネタニヤフ首相との会談では即座にネタニヤフの拒否に会い何の進展も見られなかった。 しかしこれもオバマ大統領は折込済みである。
オバマは当事者同士(イスラエル&パレスチナ)の話し合いが重要といいながら外堀を埋めることから始めようとしている。 パレスチナ・ハマスをサポートしているイラン・シリアを巻き込まずにこの問題を解決できるわけがないからだ。
オバマの戦略は人気取りや選挙目当てなどではない。 オバマの目標はアメリカの建直しなのだ。 そのためには教育投資や産業の活性化がひつようだが基本は財政が健全でなければならない。 何としても戦争をやめる。 その延長で世界が平和でなければならないのだ。 オバマは再選を確信し尚自分の任期のあとにアメリカが再生することを見据えているように見える。