2010年4月27日火曜日

GS公聴会 巨大投資銀行の取引

2008年のサブプライム・ローンに端を発した金融危機を振り返って再びこのような事態を引き起こさないためにオバマ大統領はWall Streetの取引規制を強化しようとしている。 新金融取引規正法を成立させるためには上院で60票の賛成票が必要だ。 しかし今のところはるかに届かない。 
これが背景にあると思うがSEC(米証券取引委員会)は投資銀行No.1のGoldmann Sachs を証券詐欺の疑いで告訴した。 この件で今朝11時より上院調査小委員会の公聴会が開かれGSの新旧Manager、Executives, CEOが証言したが追求するほうの議員さんたちも法律の専門家らしくメールや社内文書を基に論理的で厳しく追求しまたGS側も一歩も引かずに明確に応答する実に見ごたえのある公聴会になった。
議員さんのほうには「取引はマーケットに対しては公平公明でなければならない」「巨大投資銀行の横暴を許してはならない」という大命題と国民の疑惑解明の期待にこたえなければならないという使命感が感じられる。 一方GS側は「自社と市場取引の自由を守らなければならない」という大命題がある。 実際に取引の仕組み(特にShort Selling -空売り)を取引の倫理に絡めて追求するやり方は論理的には問題あると思ったが取引の実態を明るみに出したのは成功であった。 法律的・倫理的な問題はさておき巨額の取引(Short Sales)はマーケットには大きな影響力があり結果として市場の暴落をもたらすと結論が導かれる。
一方GSもさすがにNo.1の投資銀行だけあってExecutivesの対応(返答の内容と言質を取られない言い回し)は見事であった。 GMやToyotaの公聴会とは異なり攻守が火花を散らして対決するスリルに満ちた公聴かいであった。
私はCNBC(通常はNY Stock Exchangeを中心としたマーケット情報を放映するTV局)を朝から夕方まで見ていたが面白いのはTV画面の右下5分の1ぐらいのスペースでダウ平均の株価指数がライブで表示されていて公聴会の一問一答に反応する。 GSが追い込まれるとダウが下がり、議員の追求がまずい、またはGSが応答で盛り返すとダウは上昇する。 ということはNY Stock ExchangeでもFloor全体がTVを見ながら取引しているということである。 あとで知ったがWall Street全体、 いや世界の金融関係者すべてがこの公聴会を見ていたらしい。 
公聴会は市場が引けてからも続いていたがダウ平均は前日比$213マイナスの大安値で引けた。 最終的には市場が証券取引の引き締めが行われると判断したためだろうか。

私としては巨大投資銀行の証券取引の仕組みや影響力を勉強するいい機会になった。