2009年3月17日火曜日

倒産でも巨額のボーナス

アメリカに長い間住んでいるがこのところ最も腹立たしい日が続いている。 先日のMadoffの史上最高額の詐欺事件(ねずみ講)に続いてAIGのボーナス問題だ。 世界最大の保険会社が世界最大の負債を背負って倒産しそうなのであるがその影響があまりにも大きく米国のみならず世界の保険制度や金融制度が崩壊しそうなので潰せない。 米国政府も倒産させるわけに行かず$180Billionもの公的救済資金を注入し存続させた。
ところがその中からAIGは$165Millionものボーナスを400人のExecutivesに支払ったというのだ。  Top 7人は$400万を超え、100万ドル以上が73人、平均が40万ドルという。 金持ちが尊敬されるアメリカでもさすがにここまで破廉恥な経営者はきいたことがない。 オバマ大統領以下、ガイトナー財務長官、政府関係者はもとより議会の全員、国民全員が激怒している。  
AIGは今回の大不況の原因となった金融界一翼を担う巨大会社。 しかもリスクマネージメントを本来の業務とする保険会社。 経営の失敗で政府の資金援助を受けている巨大企業がこともあろうに巨額のボーナスを経営責任を問われるExecutivesに支給するとは開いた口がふさがらない。 本来ボーナスとは業績に付随して支払われるものと大抵の人は思っている。 政府の援助がなければボーナスの代わりに全員失業手当を受け取っていた人達なのに。
不況のあおりで失業したり倒産した経営者はこのままでは収まらない。大きな政治問題に発展しそうである。 資金を安易に提供したオバマ政権の責任を免れない。

AIGがボーナスを支給した理由が振るっている。 約束どおりボーナスを至急しないと優秀な人材が流出し再建が出来ないとなると国家にとっても損失であろうと。 もし本当に優秀で経営に長けた人材であればこれほどの失態を重ねなかっただろうと思われる。 厚顔無恥とはこのことだ。最近の金融界のトップはここ十年ほどで堅実な銀行マンタイプの経営者が追い出されブッシュ政権の自由化が招いたバブル経済の勢いで単に向こう見ずな“行けいけ”路線に乗っかった向こう見ずな経営者が実力を握っていたといわれている。 CitiBank, Merrill Lynch, Lehman Bros. AIG などがそうだ。 
日本なら債務不履行に追い込まれた経営者はひたすら謝り辞任せざるを得ないところで税金の投入で生き延びた会社の経営者が巨額のボーナスを手にするなど天と地がひっくりかえってもありえない。 単に日米の感覚の違いといって済まされる問題ではない。
オバマ政権はとんでもない問題を抱え込んでしまったものだ。